![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154420194/rectangle_large_type_2_5e57852774b7acccb5aeed7ff54c7dc2.jpeg?width=1200)
映画と車が紡ぐ世界chapter153
アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン:
レクサスRC-F USC10系 2015年式
Avengers: Age of Ultron:Lexus RC-F USC10 2015
カーステレオをONにした後
運転席の窓を解放して 僕は RC-Fから降りた
空を見上げると
ペルセウスに寄り添う アンドロメダが いつもより輝いて見える
昨日 通過した台風によって
都会のスモッグが一掃されたため ということが真実だったとしても
もっと他の意味があるように思えた僕は
小さな声で 三度お願いした
「お待たせっ!」
セミロングの髪をフワリと靡かせて カノジョはやってきた
今日は いつもより15分早い
それでも 時が くしゃみをすれば すぐ明日になってしまうような時間だ
![](https://assets.st-note.com/img/1726397829-oAKLV0N2cPthnZY9QJ5zxFqr.jpg?width=1200)
毎日 僕は RC-Fで 40kmの距離を通勤していた
そして・・・
カノジョのオフィスは その中間にあった
大粒の雨が降ったある日
傘もささずに 桜田通りに立っていた カノジョは
キリリとした直立姿勢で 落ちてくる雨粒を 見上げていた
その姿に 吸い込まれるように 停車したRC-F
その時初めて
カノジョが 高校時代のクラスメートだということに気付いた
翌日から 僕とRC-Fは カノジョの帰宅専属ドライバーと車になった
ご機嫌なサウンドで カノジョを迎え入れようと
RC-Fが選曲したバラードも パチリと消され
カノジョは 部下に指示メールを打ち続ける
高校時代の のんびりした雰囲気は 残っていない
男勝りの仕事ぶりは ブラックウィドウ(Scarlett Johansson)に見えた
僕が 密かに気に入っていた
失敗したときにペロリと舌を出して はにかむ カノジョは
もう存在していなかった それでも・・・
僕とRC-Fは
20Kmのドライブを楽しんでいた
何故かって・・・
いつも 残り10Kmで プカリと眠りに落ちるカノジョ
右に15度 首を傾けた その顔には えくぼが浮かんでいた
それは 高校最後の年
卒業アルバム製作委員に選ばれた 僕とカノジョが
夜遅くまで作業を進めた帰りの電車・・・
僕の肩に頭を乗せて 居眠りをしたカノジョの 笑顔そのものだったから
「アベンジャーズだって 仲間は必要だよ」
僕は ハルクとナターシャのロマンスを思い出しながら
眠っているカノジョに そっと話しかける
夢の中の カノジョに 届くはずもないことはわかってる
「左肩でよければ いつでも空いてるぞ・・・」
街の灯りが映りこむ運河の街に到着すると カノジョは 目を覚ました
「今日も ありがとう!!」
いつものように
元気に飛び出すカノジョを見て RC-Fは 動きだした・・・
Kon! Kon!
そのとき 運転席側に廻ったカノジョが ドアをノックした
「見て!!」
運転席から飛び出した僕は カノジョが指す 夜空を見上げた
♪ Giovanni Mirabassi - Howl's Moving Castle ♪
Waaaaaaaaaaaaaaaaaa!
アンドロメダ座とペルセウス座の間を 一月遅れの 流星群が流れた
「あの輝き・・・ アイアンマンじゃない?」
ウインクしたカノジョは
高校時代のように 少しだけ はにかんでペロリと舌を出すと
僕の左肩に 頭を乗せた
「僕は変わってない・・・ そして 君も」
アンドロメダに願った思いが 少しだけ 叶えられた夜
僕にも 夜空に流れる星たちが
アイアンマンとビジョン そしてウォーマシンに見えた
いいなと思ったら応援しよう!
![hiropapaman](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64848506/profile_0fc1191ec591594f74fb685eb3171fd2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)