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映画と車が紡ぐ世界chapter158

フィフス・エレメント:ロータス・ヨーロッパ S2 1975年式
The Fifth Element:Lotus Europa S2 1975


カノジョとの出会いは
コーベン・ダラス(Bruce Willis)と
リー・ルー(Milla Jovovich)のように 突然だった

遥か彼方で
ゆっくり進む台風のいたずらで発生した霧雨が 
フロントウィンドウを白くする
そんな モノトーンの世界の中に たった一つ・・・
カートゥーンの世界から飛び出したような 
ピンク色の Peugeotのスクーターが
僕のロータスヨーロッパの前を走っていた

左折の前に 
チョコリと右に首をかしげ
右折の前には 左にチョコリ
ライダーの 可愛らしい仕草と
カーステレオから流れるRyley Tate Wilsonの歌声に
僕もいつの間にか つられて 首を傾けていた

♪ A Girl / Ryley Tate Wilson ♪

と その時!!

カートゥーンのスクーターが 
コテンと倒れた
スウェーデン最大の島 ゴッドランド島の街並みを思わせる
白亜の壁のカフェの前
金木犀の香りが漂う 左カーブの坂道だった

「大丈夫かい・・・
 こんな日に二輪を走らせるのは 巨大な隕石の落下より 危険だよ」

これがカノジョとの出会い 6年前のことだ・・・

しかし
僕たちは 5つのエレメントを 揃えることができずに
3年目に別れた

「あの頃の君は 
 助手席でも ハンドルをきるたびに コクリと首を傾けていたね
 あの仕草は ホントに可愛らしかった」

電話の向こうで カノジョは言った
「そんな私を 笑ったあなたも
 いつの間にか 一緒に首を傾けるようになっていたわ・・・」

カノジョの言う通りだった
曲がり道で 首を傾ける癖は しっかり僕にも定着していた

「ダーウィンの進化論を 立証したのさ
 変化に適合するものが 先に進める」

フワリと 風が流れた・・・

「あの頃の僕たちに無かったもの・・・
 それは 時間だ・・・ 別れた後の3年間が
 君への想いを 増幅させた」

「もう あの頃の私では ないかもしれないわ・・・」

全てが パステルカラーに見える 
ポカポカの秋晴れの日 
僕はオープンテラスで ワインディングロードを眺める

♪ 松田聖子-ピンクのスクーター ♪

上り坂を
ピンク色のPeugeotのスクーターが登ってくる

右に左に コクリと首を傾けるライダー
やがて
金木犀の香りに さそわれるように
Caféの駐車場に入ってきたスクーターは
ロータスヨーロッパのボディーに映り込み そのまま 静止画になった

ロータスと スクーター
ミュージック と ハート・・・ 
4つのアイテムに 時が加わり 
僕たちの 5つのエレメントが成立した

「今の 僕らなら 地球も救えるよ」

ヘルメットを外すと 目を瞑ったままで カノジョが呟いた

「その前に・・・ 紫外線から 私を救っ・・・」

太陽光から守るため 近づいた唇から
言葉のエンディングとともに カノジョの温もりが 広がった 


♪ Inva Mula-Çako - Lucía di Lammermoor ♪

※ フィフスエレメント
 ・連邦最高の歌姫ディーヴァ・プラヴァラグナの歌声をどうぞ!



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hiropapaman
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