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みてきた:三島喜美代ーー未来への記憶

先日訃報も出た三島さん。奇しくも都内公立美術館で開催中ということで、会期ギリギリになってしまいましたが行ってきました。

私と三島作品のファーストミートは記憶に新しい六本木・森美術館で開催していた『アナザー・エナジー展』でした。

現代アートへの造詣に深くない私は、現代アートの入門のような位置付けで足を運んだ展覧会。
私にとってはとても学びのある展示だったのですが、三島さんの作品を見てびっくり、さらにご本人を知ってびっくり! の驚き尽くしでした。

ゴミを自分の手で作ってアートにするだと…?

デュシャンよろしくこれまでアートになり得なかったものが作品になるのが面白いところですが、ゴミをさらに自分の手でまた作るとは。その労力に驚いたと共に、その姿勢になんだか痺れるものを感じたものです。

その後もちょこちょこ作品を拝見していましたが、今回は東京では初の個展だそうです。

展示作品は初期のものから最近の物まで、三島さんのこれまでを概観できる内容になっています(本文中の写真は全て自身で撮影してます)。

ヴィーナスの変貌Ⅴ 1967年

三島さんとのいえば立体作品をイメージされる方も多いと思うのですが、初期は絵画も描かれていたそうな。
私はこの《ヴィーナスの変貌V》がなんとなく面白くて好き。


そしてなんとも圧巻なのがこちらのインスタレーション、《20世紀の記憶》

全体像

《20世紀の記憶》(1984-2013年)は、三島の代表作にして最大規模のインスタレーション作品です。床に敷き詰められた中古の耐火レンガは1万個を数え、表面には20世紀の100年間の新聞記事が転写されています。

練馬区立美術館:三島喜美代ーー明日への記憶


1万個も!?と思わず数えそうになりますが、そこをグッと堪え、この部屋を見渡してみると、私たち人類が歩んできた100年間の重みに、撃ち抜かれた気分に。

現実世界で起きていることをよくその時の点で捉えてしまいがちですが、実は人類の歴史は脈々と繋がっているもので、それが安易に一言では語れないものであること、その歴史の重みの上に今は自分が立っていることをなんだか実感させてくれます。

関東大震災、満州国、終戦のワードが並ぶブロックたち

ブロック1つ1つに目を向けると、そこには日本だけでなく人類が辿ってきた100年、20世紀を構成する途方もない「記憶」を目の当たりに。


そして三島さんの缶に直接触れるコーナーも。陶器だから当たり前ですが意外と重い!


また、参考資料として流されてる三島喜美代さんご本人のインタビュー映像も必見です。


会期は今週末7/7(日)まで。
興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

公式HP:https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202401281706414617


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