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手を差し伸ばすか、差し伸ばさざるか

 僕は定期的に精神病院に通院している。僕の通院している精神病院は清潔感があり、どこか無機質な感じはあるが、機能的で、落ち着いて診察を待つことができる。外来の患者さんの多くは、症状が安定しており、暴れだしたりだとか、叫びだしたりだとか、そういう状況を目にしたことはない。精神病院はとても安全で安心できる場所なのである。誰でも内科の外来にかかったことがあると思うが、待合室の雰囲気は内科のそれとほとんど変わらない。

 しかし、多くの患者さんは、心に問題を抱えており、つらい思いをして病院に来ている。僕も同じだ。だから、待合室で診察を待つ間、ふとした時、心が乱れることがある。暴れたり、発狂したりするほどではないが、突然涙がこみ上げてきたり、自殺する計画を考えたりする。これは病院だから、というより、デフォルトの症状である。家でもそういう事はある。

 僕でいうと、最近、電車で遠出した時、突然悲しい気持ちになり、泣いてしまったことがあったのだが、近くに座っていたインド人の女性に背中を擦ってもらって落ち着いたということがあった

 インド人は日本人にとても優しい。
 僕が高校生の頃、初めてインドカレー屋さんに行った時、その店主は、僕が若いから足りないだろうということで、どんどんおかわりを持ってきてくれた。ナンのおかわり自由はよく見かけるが、カレーとご飯のおかわりまで出してくれたのだ。もちろん追加料金無しで、である。
 以来、僕はインド人に対してとても好感をもっている。あのとき出会ったインド人店主は今も元気だろうか。

 少し話がそれたが、僕たちメンヘラは、突然精神が不安定になるのである。

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