【ニンジャスレイヤーTCG】総合ルール解説④「カードや能力の処理」
最終更新日 2024.9.27
ドーモ。waterです。
この記事は、初めて「ニンジャスレイヤーTCG」を遊ぶニンジャヘッズ達に向けて、難しいTCGのルールをできるだけわかりやすく解説することを目的に作成されたものです。
本記事からご覧になった方は、前回記事からご一読いただけるとより理解しやすいかと思いますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。
能力と効果
ゲーム中で、最も参照する機会が多いのが「能力」と「効果」です。カードごとに能力や効果が異なるため、特にTCGを始めたばかりの頃はこれらの処理を理解するのに苦労されることだと思います。
非常に難しい内容にはなりますが、まずは能力と効果を分類することで基本的な処理を理解してもらい、「コストの支払い」「カードと能力のエントリー」「カードと能力の解決」について理解を深めてもらえればと思います。
能力
能力はその処理の仕方によって、「起動能力」「誘発能力」「常時能力」「ウケミ能力」「コトダマ能力」に分けられます。ここでは分類を覚えることが第一になるので、箇条書きでそれぞれ解説します。
起動能力とは、コストと効果を持った能力です。起動能力は、「コスト:効果」という形式で表記されます。プレイヤーは優先権を持っているときなら、コストを支払うことで、自分の起動能力をいつでもエントリーできます。
誘発能力とは、条件と効果を持った能力です。誘発能力は「~した時(条件)、効果」という形式で表記しています。条件を満たした時点で、ルールチェック処理によってエントリーされます。
常時能力とは、その能力が有効である間(キャラクターならば場にいる間)、常に効果を適用し続ける能力です。
ウケミ能力とは、ダメージチェック処理でエントリーする能力です。詳しくは、前回記事「ダメージチェック処理」をご参照ください。
コトダマ能力とは、エントリーされた「コトダマカード」が解決される際に処理される指示のことです。具体的にはコトダマカードのテキストに書かれているのがコトダマ能力になります。
効果
効果とは、能力によって実際に行う処理そのものを指します。効果はその処理の仕方によって、「即時効果」「持続効果」「置換効果」に分けられます。
即時効果
即時効果とは、その処理時にその内容を1度だけ実行し、それで終了する効果です。コトダマカードはもちろん、「〇〇した時、〇〇する。」というような誘発能力が多いです。
持続効果
持続効果とは、一定の期間あるいは期間を指定しない場合はそのゲーム中、何らかの処理を適用し続ける効果です(ネザークイーン=サンのフリーランス強化など)。複数の持続効果がカードに適用される場合、以下の優先順位に従って適用を行います(カードに書かれている情報による効果を適用の基準とします)。
属性を得る効果
能力を得る効果
数値以外の情報を変更する効果
これまでカードに存在していなかった数値の項目の情報を追加する効果
数値の情報を変更する持続効果
置換効果
置換効果とは持続効果の一種で、ある指定の行動が行われようとしている場合に、その行動を行わず、代わりにこの効果で指定された行動を行う効果です(ナンシー・リー=サンのコストを支払わずに場に出す効果など)。置換効果は、以下のルールで適用されます。
ある事象の発生に対する置換効果がある場合、その元の事象は発生せず、置換後の事象のみが発生します。
同一の事象に対する置換効果が複数ある場合、その事象が本来適用されるプレイヤーまたはカードの支配者が、そのうちいずれかの置換効果を1つ選んで適用します。
すべての置換効果は、置換すべき事象がある限り、あらゆる置換効果を適用する前のその事象1回につき1回のみ適用されます。置換することを選択できることが明確になっていない限り、置換効果を適用しないことはできまん。
コストを支払う
カードや能力のエントリー時には、コストとして「行動を実行する」ことが求められます。コストとして求められた行動において、一部でも実行できなかった場合、カードや能力はエントリーされません。
また、コストの支払いに関しては、以下のルールがあります。全て覚える必要はありませんが、ゲーム中で悩んだ際は参考にしてみてください。
コストとして実行した行動が、置換効果によって別の行動に置換された場合、その行動は実行したものとして扱います。
コストとして求められた行動が複数ある場合、それらがテキストに表記されている順番で実行します。
コストで求められた行動で、数値が0以下になった場合、それは実行したものとして扱います。
能力などで「〇〇して、〇〇してもよい。」とテキストに記載されていた場合、そのコスト(〇〇しての部分)を求められたプレイヤーは、その解決時にコストを支払うかどうか選択することができます。コストを支払わなかった場合、その効果は実行されません。また、「これがエントリーした時、手札を1枚選んで捨てて、あなたのオヒガンのコスト1以下の〈サヴァイヴァー〉を1枚選び、アンブッシュしてもよい」という能力の解決時に、その効果の支配者の手札が0枚で手札を捨てることができなかった場合でも、その効果は実行されません。
コストを支払う際に、プレイヤーの指定がない能力や効果だった場合、原則、それはその効果の支配者が実行します。
エントリーする
カードは、エントリーすることによって指定された領域に置かれます。手札のキャラクターカードはエントリーすることで場に出ますし、起動能力や誘発能力はエントリーすることで、その効果を処理します。カードや能力は以下のルールに従ってエントリーされます。
そのカードや能力を持つカードがいずれかのプレイヤーに対して非公開なら、そのカードを公開します。
カードや能力に「次から1つ選択する」などの選択肢があるなら、それを選びます。この時点で選ばれなかった選択肢は存在しない物として扱います。
カードや能力のテキストに、「X/X」などの不定数があるなら、その値を決定します。
カードや能力が対象を選ぶ場合、プレイヤーはその条件と数を満たした対象を選択します。適正な対象を選択できない場合、そのカードや能力はエントリーできません。
対象数が0以下だった場合、対象は選択しません。
対象数が2以上である場合、その対象の選択において、同一のものを2回以上選ぶことはできません。
カードや能力で「その後、○○する」や「○○なら」というテキストなどで、対象を選ぶ表記がある場合、カードや能力の解決時に選択した対象が選べなかった場合でも、そのカードや能力はエントリーできます。ただし、「〇〇なら」という指示がエントリーに必要なコストだった場合は、この限りではありません。
コトダマ空間上にあるカードや能力は、自身(発生源)を対象にできません。
対象の条件として、情報を持つことを求められた場合、その情報がすべてのプレイヤーに明示的に示されているもののみを対象として選択できます。
対象の数を指定する場合、対象の数はエントリーする時点で固定されます。以降、対象の数を決定する手段や参照する値が変更されても、対象の数は変更されません。
効果が複数の対象に適用され、その適用される内容が均等でない場合、どの対象にどのような内容を適用するかを決定します。対象に「割り振る」という表記がこれに含まれます。その際、すべての対象に少なくとも割り振る数を1以上割り振る必要があります。
また、カードや能力をエントリーするために、コストとして必要な行動がある場合、以下の順で処理します。
カードのエントリーでは、コストに等しいエテルを支払います。また、能力のエントリーでは、そのコストとして「指定された行動」を実行します。
行動の内容や数量の増減以外で、他の内容に変更する効果が存在するなら、それを適用します。
行動の内容や数量を増加する効果を適用します。
行動の内容や数量を減少する効果を適用します。
コストとしての行動が決定されます。これ以降、実際にその行動が実行されるまで、その内容や数量は固定されます。
決定されたコストの支払いを実行します。実行できない場合、カードや能力はエントリーできず、エントリーする直前までゲームの状態が戻されます。
効果などにより、カードや能力が「コストを支払わずにエントリーする」という指示がある場合に限り、コストは支払ったものとして扱います。
能力をエントリーする場合、その能力を疑似的なカードとして、コトダマ空間に移動します。
持続効果が適用されているカードをエントリーする場合は、その持続効果はそのコトダマ空間に移動したカードにも同様に適用されます。コトダマ空間に配置されると、エントリーに必要な処理は終了し、カードや能力はエントリーされたものとして扱います。
カードや能力の解決
エントリーしたカードがコトダマ空間から取り除かれ、実際にカードや効果を処理することを「解決」と呼びます。カードや能力は、以下のルールに従って解決されます。
カードや能力が対象を必要とする場合、エントリー時に選択した対象がこの時点で適正であるかを確認します。適正でない場合、その対象となったものに関する処理は実行されません。ただし、カードや能力のすべての対象が適正でなくても、対象に関わらない処理は実行されます。
エントリー時に決定されていない不定数があるなら、この時点で決定してカードタイプに応じて次のように処理します。
キャラクターカード:そのカードを支配者の場に置きます。
コトダマカード:そのカードの効果を実行し、そのカードを持ち主のオヒガンに置きます。
コトダマ空間において、持続効果が適用されているカードが解決されて場に出る場合、そのカードは持続効果が適用された状態で場に出ます。能力の場合、その効果を実行してその能力をコトダマ空間から取り除きます。
直前情報
カードの情報や状態を参照するとき、そのカードが参照すべき領域から別領域に移動していた場合は、そのカードが移動前の領域にあった最後の時点での情報を参照します。このような情報を「直前情報」と呼びます。
発生源
プレイヤーやカードが行ったアクションは、誰がその行動を起こしたかを明確にするために「発生源」を定義します。発生源は以下のルールに従って定義されます。
効果の発生源は、その効果を発生した能力です。
能力の発生源はその能力を持つカードです。
効果によってダメージが与えられる場合、特に明記されていないならば、その発生源は、その効果を発生した能力を持つカードです。
イクサダメージの発生源は、そのイクサダメージを与えたキャラクターです。
カードが「キャラクターを殺す」ことを参照する場合、以下のいずれかの条件が満たしたことを参照します。
そのカードが、キャラクターにダメージを与え、直後のルールチェック(キャラクターダメージ処理)で、キャラクターが殺された。
そのカードが発生源である「殺す効果」によって、キャラクターが殺された。
キャラクターが、そのカードに「殺された」ことを参照する場合も、同様の条件を参照します(デビルフィッシュ=サンの能力など)。
プレイヤーによって、指定された領域の移動を参照する場合、以下のいずれかを満たしたことを参照します(リー・アラキ先生の能力など)。
プレイヤーが支配者であるカードや能力のコストとして、指定された領域の移動を行わせた。
プレイヤーが支配者である効果によって、指定された領域の移動を行った。
優先権処理
この記事でカードや効果のエントリー及び解決について、一通り理解してもらったと思います。そこで、「ターンの進行」の記事で少し触れた優先権の処理について、再度ここで解説したいと思います。また、優先権処理と合わせて、コトダマ空間の処理についても理解を深めてもらえたらと思います。
おさらいですが、優先権があるときには以下の行動ができます。
優先権をパスする(相手に優先権を渡す)。
手札のコトダマカードを1枚エントリーする。
キャラクターなどの起動能力をエントリーする。
手札のキャラクターカードをエントリーする(ターンプレイヤーかつ、キャラクターフェイズ中で、コトダマ空間にカードや能力やダメージチェック処理が置かれていない場合)。
「ターンの進行」のところでは言及しませんでしたが、基本的にフェイズとステップの開始と終わりで発生する優先権は、カードや能力の解決前にも発生しています(カードや能力の処理に対してプレイヤーに優先権処理を行う)。例えば、コトダマカードを使ったり、キャラクターの起動能力を使ったり、誘発能力が発生したりすると優先権処理が発生します。
実際に優先権が発生して処理を解決するまでには、場のキャラクターや相手のプレイングに左右されて複雑化しますので、ここではリアルな状況を例にして優先権処理について深く理解していただければと思います。
ヨロコンデー!×クローンヤクザ
例として取り上げるのは、定番コンボ「ヨロコンデー!」と「クローンヤクザ」です。「クローンヤクザ」は「登場したとき、場にいる他のクローンヤクザ1体につき、1枚ドロー」という効果で、「ヨロコンデー!」は「デッキからキャラクターをアンブッシュする」という効果となっており、「ソウカイヤ」ならコスト2以下かつ2体までアンブッシュできることから、「クローンヤクザ」を2体配置して、2枚ドローするという非常に強力なコンボとして有名です。
プレイヤーBのアイサツによって、プレイヤーAの「ヨロコンデー!」のウケミ効果が発動して「ヨロコンデー!」がエントリーしたところから解説します。
ウケミ効果で「ヨロコンデー!」がコトダマ空間に配置され、プレイヤーAに優先権が発生します。特に行動がなければ、パスしてプレイヤーBに優先権を渡します(図1)。互いに優先権をパスしたことで「ヨロコンデー!」が解決されます。基本的に優先権はターンプレイヤーから発生しますが、誘発したカードや能力の場合、その支配者に優先権がまず与えられます。
プレイヤーAの「ヨロコンデー!」を解決し、デッキから「クローンヤクザ」2体が場にアンブッシュされ、コトダマ空間に「クローンヤクザA」と「クローンヤクザB」の効果が配置されます(図2)。その後、プレイヤーAは特に行動することもないので、優先権をパスします。
プレイヤーAが優先権をパスしたことで、プレイヤーBに優先権が与えられます。行動がなければ、「クローンヤクザB」の効果が解決されます。クローンヤクザAの効果を解決するときもお互いがパスすれば「クローンヤクザA」の効果が解決されます。最終的に、プレイヤーAはカードを2枚引くことになります。
「クローンヤクザB」の解決前に時間を戻します。キャラクターが場に配置されたあげく、カードを2枚引かれるのはほとんど違法行為なので、「クローンヤクザB」の効果の前に、プレイヤーBは「クローンヤクザA」を対象に「TAKE THIS!」をエントリーし、プレイヤーBは優先権をパスします(図3)。
プレイヤーAはできる行動がないため、そのまま優先権をパスして「TAKE THIS!」が解決され、プレイヤーBは「クローンヤクザA」を殺します。「クローンヤクザA」はオヒガンに置かれ、場には「クローンヤクザB」だけが残り、コトダマ空間にはクローンヤクザ2体の効果が残ります(図4)。
この状態で、お互いのプレイヤーが優先権をパスして効果を解決すると、「クローンヤクザB」の効果は対象がいなくなり、カードを引かずに終わりますが、殺された「クローンヤクザA」の効果は場に「クローンヤクザB」がいるため、カードを1枚引きます。これは、配置されたときに自分の場のクローンヤクザの数を参照しているためです。
今回は、一例として「ヨロコンデー!」と「クローンヤクザ」の優先権処理を取り上げましたが、コトタセマや誘発能力、常時能力などの複数の要素が絡むとわからなくなる部分もあると思います。そういったときは、1つ1つの要素を個別に分けて、コトダマ空間での順番を意識するようにすると整理しやすくなるかと思います。優先権の駆け引きはこのゲームの醍醐味でもありますので、ヤバイ級までいかなくとも、ウカツ!とならないように鍛錬しましょう。
以上、ニンジャスレイヤーTCGにおける「カードや能力の処理」に関する解説でした。
今回は特に論理的な部分で、なかなか理解するのが難しいと思います。もし、気になった点をコメントで残していただければ、できるだけ早く回答したいと思います。また、実際にゲームを進めながら確認していただけると、より理解しやすいかと思います。
次回「用語」
前回「ルール処理」
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