もっとInDesignを活用してスピードアップを図りませんか?
ペラものもInDesignで組んでみませんか?
ページものはInDesignで、ペラものはIllustratorで作成。
なんとなく、こんな認識の人が多いのではないかと感じてしまうことがあります。
「InDesignはIllustratorにページ機能がついたようなものでしょう」
「ページ物を作る仕事はほとんどないし、あったとしてもその時はIllustratorで作っている」
こんな声がよく聞こえてきそうですが、皆様の周りではいかがでしょうか。
InDesignにはIllustratorにはない便利な機能がたくさんあります。
たとえばペラものを作るにしても次のような場合はInDesignの方が楽に速く組むことができます。
①文字数の多いのテキストを扱う
②大量に画像を配置する
③表の作成
④バリアブルデータの作成
などなど。上げていくと切りがなさそうですね。
今回は「ページものはInDesignで、ペラものはIllustratorで作成」という括りをなくして、今までIllustratorで組んでいたものもInDesignで組みませんか、というお話をしたいと思います。
Xでアンケートを取ってみたらIllustratorが人気すぎて驚いた
InDesignはレイアウトソフトなので、もちろんページ物の作成に特化していますが、それだけではありません。たとえば文字関連の設定はIllustratorよりも便利で細かく設定できますし、検索・置換も断然InDesignの方が便利です。さらに正規表現も標準で使えるのでInDesignで文字を組む快適さに慣れてしまうとIllustratorで文字を組むのが面倒に感じます。
普段の仕事で受ける入稿データはIllustratorが多く、名刺やハガキ、特に凝ったことをしていないチラシなど、これならInDesignで組んでPDF入稿した方が楽なのでは?と思うことがよくあります。
InDesignの方がIllustratorよりも後から出てきたものだから、やはりIllustratorで慣れてしまうとInDesignで組むのが面倒と感じてしまうのかもしれませんが、わたしは逆です。
この辺のことが気になってXでアンケートを取ってみました。
アンケートにご協力いただきありがとうございました。
アンケート結果にわたしはとても驚きました。InDesignが大差をつけて勝つと思っていたのになんと最下位だったからです。
Illustratorがどれだけ人気であるかがわかる結果になりましたね。
仮に20名分の名刺としましたが、わたしはIllustratorでアートボードを20個作るなんて大変じゃないのかなと思いました。
まして、Illustratorを20ファイルも作ることは非効率だと思っていました。これって共通の修正が入ったら20ファイル修正するということですよね。
仮に台紙になる部分は別のAiファイルを配置していたとしても、結局全部開いてリンクを更新しなければならないわけですよね。
それぞれの環境や状況があるのでこうあるべきだ!というような言い方はしません。
だけどやっぱりもっとInDesignをガンガン使いましょうよ!と声を上げていきたいと思いました。
20名分の名刺を作るのにInDesignを使うメリットは?
InDesignならデータ結合を使えば一瞬で組み終わってしまう
マスターページ(親ページ)を作ってしまえば、あとはページを増やして必要な部分に手を加えるだけで済む(※マスターページはバージョン2022以降「親ページ」と改称されました)
修正が入っても親ページで制御していれば修正漏れもない
レイアウトのバリエーションが数パターンあってもマスターページを増やせばよい
段落スタイル・文字スタイルを使えば修正が入ってもスピーディーに対応可
再版の時も名前で検索して、その人の分だけPDFで書き出して入稿・下版すればOK
仮に1,000人分でもInDesign1ファイルで管理できる(実際にわたしは1,000名以上の名刺データをInDesign1ファイルで管理しています。PCに負荷がかかって作業しづらいということもありません)
アンケートの引用ポストの中で、「たとえ1枚でも、そこに組版がある限りInDesign一択ですね。」とポストされていた方がいました。わたしの言いたいことはまさにこれでした。
InDesignの素晴らしさがもっと多くの人に伝わるといいなと思いました。
【初心者向け】まずは簡単な名刺くらいはInDesignで組むようにしてみませんか
そんなわけでInDesignの布教活動の一環として、簡単な名刺くらいはInDesignで組むようにしてみませんかという提案をしたいと思います。
先にも述べました通り、文字(テキスト)の扱いはInDesignの方がIllustratorよりも断然優れています。印刷物でいちばん大事な文字。まずはInDesignの段落スタイル・文字スタイルの使い方を理解してしまえば、Illustratorで文字を組むことは減るでしょう。
しかし、このInDesignの段落スタイル・文字スタイルについてはDTPを何年もやっている人でも使っていないという人が多い印象です。そんなわけあるかと思われるかもしれませんが…あるんです。
あと、もうひとつとても問題なのが、段落スタイル・文字スタイルの違いが正しく理解されずに使われていること。言ってしまえば段落スタイルは一切使われずに文字スタイルのみ使用されているというデータを見かけることもあるのです。
これからInDesignを始める方はこちらに必ず目を通していただきたいです。
とりあえず、テキストフレームを使って組んでみましょう
こんな感じの名刺があったとします。
テキストフレームの数は少ない方がいいでしょうけど、自分が扱いやすいように組んでいいと思います。
あと、テキストフレームのほかにフレームグリッドというものがありますが、最初のうちはテキストフレームの方が扱いやすいと思います。
段落スタイルの設定は面倒でも必ず割り当てる癖をつけてしまいましょう
下の図を見ていただくとわかるように、テキストには段落スタイルをあてる癖をつけましょう。
段落スタイル・文字スタイルをあてることによって、次のようなメリットがあります。
修正が入っても一瞬で片付く(たとえば、違うフォントにしてくれを言われれば段落スタイルを編集すれば、その段落スタイルが当たっている段落に一括で反映される)
選択した段落が、設定した内容と違っているときはスタイルパレットのスタイル名の横に「+」マークがつくのでオーバーライド(本来の設定と異なっていること)にすぐ気が付く
検索・置換で特定の段落スタイル・文字スタイルが当たっている範囲で処理できる
さらに正規表現を覚えてしまえば、たとえば「電話番号だけ色をかえる」というのも自動で設定できるようになります。
正規表現も少しずつ覚えていきましょう
InDesignでの組版に正規表現は欠かせません。とはいえすぐに覚えられるものでもないので、市川せうぞーさんのサイトを参考にされるとよいかと思います。
わたしはネットでこんなものを見つけてしまったので、これをプリントアウトして覚えました。これも市川せうぞーさんの著作ですね。
http://www.lynx.co.jp/download/DBPublisher_i/regex_guide.pdf
文字組みアキ量設定について
文字組みアキ量設定については、大石十三夫さんが+DESIGNINGから配布されているものを使わせていただいています。お恥ずかしい話ではありますが、わたしはここが理解しきれていません。それでもどの項目をいじると文字組がどう変化するか、いろいろいじってみるといいと思います。
こんな感じで、まずは文字の扱いからInDesignに慣れていくとよいと思います。
スピードと正確性が求められるDTPは、便利な機能を有効に活用し、効率化を図らなくてはなりません。InDesignはその点でとても優れていると思います。
最後に少しだけ余談を…
【余談1】
わたしはIllustratorの段落スタイル・文字スタイルは使用しません。InDesignのそれに比べて非常に使いづらいですし、そもそもIllustratorで段落スタイル・文字スタイルを使う必要が出てきたらその時点でInDesignで組んでしまうからです。
Illustratorの段落スタイル・文字スタイルはこちらに詳しくまとまっているので、是非読んでいただくことをお勧めします。
【余談2】
InDesignとIllustratorで組版をする場合、たとえば画像をひとつ扱うにしても、次のような意識の違いがでてくるのではないかと思います。(デザイナーの指示通りに組む場合を除く)
[InDesignの場合]
予めグラフィックフレームをつくってからそこに画像を読み込むので「この位置に、この大きさで」という意識が働く
[Illustratorの場合]
とりあえず画像をアートボードに配置してからサイズ調整ができるので「これくらいかな…あぁ、やっぱりこれくらいかな」という感じで「なんとなく」という意識でやってしまう
いかがでしょうか。ざっとではありますが、この記事を読んで「それじゃあ名刺くらいはInDesignで組んでみようかな」という方がひとりでも増えたらいいなと思いました。
冒頭のアンケートも何年か後には「InDesign一択で!」というようなDTP業界になればいいな…
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未経験者からDTPオペレーターになりたいという人が作品を作る際に、データの作り方で分からない部分をサポートしていきたいと思っています。メールで「こういうときはどうしたらよいのか」といったやり取りをして、データを完成させていくということです。
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