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南紀白浜「ホテル川久」に圧倒される

GWに紀伊半島の南をぐるりと旅してきた。

まずは、パンダが見たい!ということで南紀白浜へ。
きちんと下調べせずに白浜といえばアドベンチャーワールドのパンダ、くらいの軽いノリで行ったのでもったいないことをしてしまった。

白浜の街を車で走っていると、何やら重厚なお城のような建築物が。。。
建物を見るまで存在自体忘れていたが、もしかしたらあの有名な「ホテル川久」では!

随分前に読んだ、都築饗一さんの「バブルの肖像」に確か載っていた。
ホテル川久について、私の記憶に残っているのは、バブル期に信じられないほどの贅を尽くして作ったがあっけなく破産してしまった、くらいだった。

もしかしたら廃墟になってるんじゃないか(←勘違いしてます)と思って、近くで見ようと行ってみると、綺麗に整備されていて、スタッフもいる。


黄色い瓦が輝いている


直線と曲線が混じりあって、不思議な印象を醸し出している


聞いてみると「川久ミュージアム」として中を見学できるという。たったの1000円であの豪華絢爛な建物の中を見学できるのだ。さらにプラス1500円で日帰り入浴もできる。これはお得すぎる。
あの川久もホテルを廃業して美術館になってなんとか生き残ったんだなあ(←勘違いしてます)と感慨に耽っていたのだが、どうも何かおかしい。
スタッフの皆さんが美術館の職員というよりも、どう見てもホテルマンだ。対応や言葉遣いが全然違う。

ここらあたりでようやく私も勘違いしていることに気づいた。普通にホテルとして営業していたのだ。恥ずかしい。。。そして川久さん、ごめんなさい。

調べてみると、1泊2食付きで一人28,000円~くらいで泊まれるようだ。しかも全室スイートだ。東京のラグジュアリーホテルと比べると破格の安さだ。
これは泊まっておけばよかったと後悔した。この金額でこの設備!お得にも程がある。オープン当時は、宿泊できるのは会員か会員の紹介のみで、会員になるのになんと2000万円!だったそうだ。倒産したおかげで庶民がなんとか宿泊できるホテルになった。皮肉なものだ。もったいないことをした。次回、白浜に来たら絶対に泊まろうと誓った。


バリー・フラナガンのウサギの彫刻。世界最大のサイズ。
巨大なエントランスホール。天井は金箔。


柱1本で1億円!


瓦は北京の紫禁城と同じもの。国外では歴史上初だそうだ。紫禁城と同じ瓦にしよう、なんて普通思いつきもしない。ものすごいこだわりだ。


床はイタリアのローマンモザイク


和室も美しい。川久が和風旅館だった頃のシャンデリアが使われている。


陶板の壁には、ダリ、ビュッフェ、東山魁夷、平山郁夫など、さまざまなアート作品が飾られている。今となっては時代を感じさせるメンバーばかりだ。


オープン当時のスタッフのユニフォーム。これも時代を感じる。たぶんお客さんより目立ってる。
ハートのユニフォームはさすがにやばい!


透かし天井。和とイスラムが混ざった感じ。


イギリス製のレンガ


入り口の反対の海側。重厚感がある。

床のタイル、陶板の壁、巨大な柱、金箔の天井など、ホテル内はどこを切り取っても、その豪華さに圧倒される。ホテルそのものが一級の美術品である。当時の金額で総工費400億円かかっているそうだ。また中国の骨董美術、西洋絵画、日本画など、初代オーナーが集めた作品もこれでもか、と展示されている。

大浴場もすごかった!残念ながら写真には撮っていないが、今までにこれほど贅沢な空間の温泉には入ったことがない。ラグジュアリーの極みだった。

訪れる前は、バブル時代の成金趣味の豪華なホテル、といったイメージを持っていたのだが、全然違った。

とにかく全てにおいて世界最高のものを使い、お金はもちろんだが圧倒的な情熱をかけて、こだわりにこだわり抜いて作られた世界唯一の建築物だった。
妥協を許さず、世界最高のホテルを目指した初代オーナーには脱帽だ。例えお金を持っていたとしても、これほど大きな夢を描いて形にするのは普通の人間にはできない。事業としては失敗してしまったかもしれないが、初代オーナー 堀資永氏、そして同じ夢を描いた建築家 永田祐三氏、そして優れた職人たちの情熱がなければこのような稀有な建物はこの世界に存在しなかった。そしてこれからも歴史に残るに違いない。
感動しました。





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