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初夏

水辺を見ました。私の大切にしている季節になったのだと、頭より先に皮膚が気付いていたように思います。
そちらはどうでしょうか。

木漏れ日を眺めながら自転車を漕いでいたら小さな子供たちとすれ違い、今日が土曜日であることを思い出しました。高い笑い声が空に突き抜けて、昨夜の深酒が祟り調子を落としている胃の不快感も和らぐようでした。どうにかして夜は食事を摂りたいところです。明日も仕事なので、体調を持ち直さねばなりません。

労働は嫌いですが、先頃からは働いている方がずっとマシな気がしています。余計なことばかり考えてしまうため、休みの前日には無茶な飲み方をすることが増えました。そういう夜にだけ、涙腺が忘れたように動きだします。素面では涙さえ出せなくなりましたが、朦朧としているときだけは泣くことができるのです。

起きている間も薄ぼんやりして、ただ日々を繰り返すことにも疲れました。それでも暴れ出さない自分がいっそ哀れです。ずっと前に自分のことは諦めたのに、諦められない人たちがいる故にこうして生き長らえて、健全そうな顔とおべっかばかりの口八丁で社会人を遂行しています。

けれど、どれだけ苦しくても己の本心を汲み取らなければいけない瞬間はあって、どうやったって善人にはなれない私にも、善人でなければいけないときがあります。すり減るのは大抵がそのような場合です。

美しい人間になりたかった。なれなかった。美しさってなんなのでしょうか。本当にそんなものになりたかったのかも、もう何もわからない。本当に、わからない。
ただ、ひどく疲れました。

私はあなたを傷つけているのでしょうか。
もうすぐ6月です。