【ライブセットリスト考察】Aimer Arena Tour 2023 -nuit immersive- こういう物語だったと思う

■はじめに

Aimerさんの2023年度のアリーナツアー、Aimer Arena Tour 2023 -nuit immersive-のセットリストの考察です。

2023/03/18-19の名古屋公演のセトリベースで話をします。
ツアーが終わってセトリが変わったらこの記事も修正するかもです。

ツアーのネタバレしか書いてないので、まだツアー参加してない人は見ないでください。
2Days両日セットリストを書いているので、片方1日だけ参加した人も見たらダメです。


















もう中身の話をしていいですかね。

私がこのセトリ、nuit immersiveの物語について言いたいのは、大きくは3つです。
①人との絆を繋ぎ直す物語である
②アルバム「DAWN」や「Walpurgis」の構成と似ている(夜明け前が一番暗い)
③アルバム「Sun Dance & Penny Rain」の構成とも似ている(絆を取り戻す物語)

では考察はじめていきます。
※あくまで私がそう解釈した、ってだけの話です。

■ツアーのセットリスト(2023/03/18-19 名古屋公演のセトリ)

先にツアーのセトリを載せておきます。

/ で分けて2曲書いてるのは、1日目と2日目でセットリストが違うところです。

00.MOON RIVER(イントロのみ歌なし)
01.Deep down
02.StarRingChild / RE:I AM
03.March of Time / April Showers
04.rubble pile / 花鳥風月
05.朝が来る
06.カタオモイ
07.Work it out / After Rain Scarlet ver.

(着替え)

08.escalate
09.LAST STARDUST / Brave Shine
10.春はゆく
11.Ivy Ivy Ivy
12.We Two
13.ONE
14.残響散歌
15.寂しくて眠れない夜は / ポラリス

(ここからアンコール)
16.crossovers / 花びらたちのマーチ
17.蝶々結び

■①人との絆を繋ぎ直す物語である

このnuit immersiveの物語は、人との絆を繋ぎ直す物語だと思ってます。

会えていなかった2人(もしくは関係性が終わりそうだった2人かも)が再会して、絆を繋ぎ直すというストーリーだと思ってます。

ポイントとなるのが↓の辺です。
・03.March of Time / April Showers
・08.escalate
・11.Ivy Ivy Ivy
・17.蝶々結び

●序盤は大事な人が傍にいない
まず、3曲目の「March of Time」と「April Showers」がかつて一緒にいた人が今は傍にいないという状況を歌っている曲です。

March of Time「青すぎる空を見上げて 幼すぎた時間を数えた もう君のいないこのバス停は 今もあの日のまま」
April Showers「今でもまだ覚えてる右手のぬくもりと 唄を頼りに」「いつか ここで 同じ景色を見てた」

March of Time はかつて一緒にいた人との時間がとても幸せな時間で色あせないという事を歌ってる曲だと思います。
April Showers もかつて一緒にいてくれた人が傍にいなくて、その悲しみを背負いながらも、一歩を踏み出そうとしている曲だと思います。

他にもこのセトリの序盤は人との別れを思わせる曲が多いです。(RE:I AM、rubble pile …)

なのでこの物語は大事な人が傍にいない状況から始まっています。(私の考えでは)

●滅びに抗うescalate
次に「escalate」です。
escalateは解釈が難しいのですが滅びに抗う物語だと私は思ってます。

「まだ抗い続けるの? 瞼に焼き付く物は 漏れ出す光か残骸か 揺れる影」
「何故戦い続けるの? まだ捨てきれない物は 仮初めか確かな希望か ふれる針」

あとは
「抗った果ての結末を Resisting me」
とか。

この辺から滅びに抗っている感が読み取れるかなと思っています。

大事な人が傍にいないこの文脈での滅びが何かというと、その人との関係性が切れるという事だと思います。

世界が壊れる事について語っているようで、人との終わりそうな関係性について語っている事は、aimerrhythmさんの歌詞にはありがちです。

ONE AND LAST 「壊れそうな世界から背を向けて さよならって また叫ぶの? さよならって ただ叫ぶの?」
とか

なのでescalateはこの文脈では、人との壊れそうな関係性があって、それに抗っているととってもいいと思います。

●「一緒にいよう」Ivy Ivy Ivy
で、Ivy Ivy Ivyです。

序盤にその人と会えていない期間があって、escalateで滅びに抗った末に、やっとその人に会って言える訳ですよ。
「一緒にいよう」と。

Ivy Ivy Ivy「あの日の僕らは間違っていました」「一緒にいよう」

そもそもIvy Ivy Ivy自体が、関係性が終わりそうだった二人が関係性をやり直す物語です。

今回のセトリはここに向かってる感があります。ある種このセトリにおける「夜明け」の始まりがこの曲だと思います。


●「何度でも結びなおせるように」 蝶々結び
蝶々結びについては、Aimerさんがその前のMCで全部を語ってます。

Aimerさん
「私とあなたを繋ぐこの結び目が、たとえほどけたとしても、何度でも何度でも結びなおせるように、この曲を歌います。」
「あなたも心の中で歌って下さい。蝶々結び。」

絆(結び目)がほどけても何度でも結びなおせるように、という願いがこもってるんですね。

そして、これを一番言いたかったからこそ、nuit immersiveの物語が、そういう絆を繋ぎ直す物語になっていたのではないか、という話です。


■②アルバム「DAWN」や「Walpurgis」の構成と似ている(夜明け前が一番暗い)

本編後半のセットリスト見るとこんな感じです。

08.escalate
09.LAST STARDUST / Brave Shine
10.春はゆく
11.Ivy Ivy Ivy
12.We Two
13.ONE
14.残響散歌
15.寂しくて眠れない夜は / ポラリス

さっきも言いましたが、Ivy Ivy Ivyからが夜明けの始まりだと思っています。
それまでの重苦しい曲から、Ivy Ivy Ivyのアッパー曲に変わるので、曲調からも光に向かってる感覚があるかと思います。
また nuit immersiveの物語的にも、「一緒にいよう」と伝える事ができるこの曲が物語の大きな転換点です。

その前に重くるしい曲が続くのが、夜明け前の一番暗い時間を表しているものと思われます。
この構成は「DAWN」や「Walpurgis」の構成と似ているという話です。

●アルバム「DAWN」の夜明け前

アルバム「DAWN」の後半の構成は以下です。
09.LAST STARDUST
10.Brave Shine
11.キズナ
12.DAWN
13.MOON RIVER

今回のセットリストにも入っている、LAST STARDUSTとBrave Shineが、アルバム「DAWN」の夜明け前の一番暗い時間を表していました。

そのあとに「キズナ」と「DAWN」という夜明けの曲達が続きます。

そして、DAWNの「何より暗いのは そう 夜明け前」という歌詞に繋がります。

これは、「It's always darkest before the dawn」(いつでも夜明け前が一番暗い)ということわざがあるらしくて、それがもとになっています。


●アルバム「Walpurgis」の冬
アルバム「Walpurgis」の後半の構成は以下です。
11.hollow-mas
12.季路
13.春はゆく
14.Walpurgis

hollow-masが11月1日の冬の始まりの行事、ハロウマスを表してます。
また、Walpurgisが4月30日の春の始まりの祝祭、ヴァルプルギスの夜を表しています。

hollow-masで冬が始まって、その冬の厳しさを表すように重たい曲、季路と春はゆくが続きます。
そして、その重たい冬が明ける事を表す、光を感じさせるWalpurgisが続きます。

という訳で、夜明けや春の訪れの前に、重たい曲が来て夜明け前の暗い時間や極寒の冬を表すというのは、Aimerさんがアルバムの中でやってきたセトリ構成です。

なので、LAST STARDUST、Brave Shine、春はゆく、という曲達は今回のnuit immersiveの物語でも、そういった夜明け前の暗さや冬の厳しさを表していると思われます。

■③アルバム「Sun Dance & Penny Rain」の構成とも似ている(絆を取り戻す物語)

nuit immersiveのセトリがキズナを取り戻す物語と説明しましたが、アルバム「Sun Dance & Penny Rain」もそういう絆を取り戻す物語であったと思ってます。

まず、「Sun Dance & Penny Rain」には、かつて一緒にいた人が今は側にいないというような歌詞がいっぱい出てきます。

Ref:rain「触れられずにいれたら 笑えたかな?」
Sailing「もう一度触れたいと 願う強さだけを乗せ」
April Showers「今でもまだ覚えてる右手のぬくもりと 唄を頼りに」「いつか ここで 同じ景色を見てた」
花びらたちのマーチ「春が来て あんなに好きだったのに 壁も 窓も 空も 消えてなくなって」

今回のセトリに入ってる「April Showers」「花びらたちのマーチ」も。かつて一緒にいた人の事を思う歌です。

それがなにかというと、再会への伏線なんですよね。
曲「SUN DANCE」で再会してまた一緒に歩きだします。

ほどけた靴の紐をむすんで
右手はまた holding in your hand
It’s starting over

とか、

もう二度となくさないって 君に言えたんだ

とか、

戻せない時を悔んだりした
右手は今 holding in your hand
It’s starting over

っていう風に、Sun Danceで、別れていた二人が再会して手を繋ぎ直して、また一緒に歩きだします。

この別れていた二人が再会してまた一緒に歩き出すという構成が、nuit immersiveにもあると思ってます。

Sun Dance & Penny Rainにおける「再会」は Sun Dance でした。
nuit immersiveにおける「再会」は Ivy Ivy Ivy だっという構図だと思ってます。

なので、nuit immersiveの物語は、私の中では少なくとも↓3アルバムの物語の系譜を継いでるなと思いました。
「DAWN」
「Sun Dance & Penny Rain」
「Walpurgis」

新しい曲を混ぜつつ、今までの物語を踏襲した、かなり練りこまれた「夜」セットリストだなという印象でした。

もしかしたら他のアルバムの物語も踏襲してるかもしれません。

■なぜ絆を繋ぎ直す物語であったか

これは、↓だと思ってます。
[1]昔のファンに戻ってきてほしいから
[2]コロナ禍でライブができない期間があったから

●[1]昔のファンに戻ってきてほしいから
これは私はAimerさんの歌が出るたんびにこの話をしてますけど。
まあいつも通りこの話します。

Aimerさんは、1st~3rdまでのアルバムは夜をテーマにしてアルバムを作成していました。
そして、4th、5thのアルバムでは夜のテーマを離れて、光の中を大きなテーマにしていました。

その光の中の活動中に、Aimerさんの作風の変化から、「変わっちゃった」と、Aimerさんから離れていったファンがいたそうです。
(下記 何も変わらないまま進んできたのに 参照)

そして、6thアルバムWalpurgisから今現在、「新しい夜」をテーマに歌を作っています。

Aimerさん
「『変わっちゃった』とか言うのはきっと、置いてけぼりにされたって感じているわけじゃないですか。だから誰も置いていくつもりはないよと伝えたかった。」
「そして今も夜が好きで、ただもう1人じゃないから、光もちゃんと愛せるようになった。そういう今の自分ならきっと新しい夜が描けると思ったんですよね。」

(B-PASS 2019年9月号 Torcehsインタビュー)

新しい夜は、誰も置いていかない夜、ということをテーマにしています。
Aimerさんのもとを去っていったファンも置いていく気はないということです。

だからこそ、今回のnuit immversiveが絆を繋ぎ直す物語であったのではないでしょうか。

ていうかさ、今回のMCめっちゃ踏み込んでたよね。
↓だぜ。
Aimerさん「私とあなたを繋ぐこの結び目が、たとえほどけたとしても、何度でも何度でも結びなおせるように、この曲を歌います。」

ほどける事について言及したからな。俺はバビッたよ。
これまでAimerさんが昔のファンに戻って来てほしがってる、っていう歌詞考察をさんざんしてきたけど、歌詞にそれっぽい言葉がでてくるだけで、Aimerさんの歌詞じゃない普通の言葉で語られる事は、Torchesのインタビューくらいしかなかったのよ。

でも、今回ほどけることに言及して、それを繋ぎ直す物語だったから、自分の考え割とあってるなと思ったし。
それと同時に、Aimerさんの「誰も置いていかない夜」に対する想いは、本気なんだなって思ったよ。
(色んな歌詞には出てたんだが)

●[2]コロナ禍でライブができない期間があったから

これは「春はゆく」の前のMCで語ってましたよね。

Aimerさん「長い長い冬を越えてこうして声も出せるようになったね。改めてこの季節を噛みしめてみましょうか。」

コロナ禍でライブができない期間があって、ライブにいけないことで、Aimerさんと疎遠になった人とかもいると思います。
そういう人との絆も改めて繋ぎ直そうという意図があるんだろうなと思いました。

nuit immersiveは、ファンとの絆を繋ぎ直すライブだったと思いました。

以上で、nuit immersiveのセットリストに思うところはほぼ言いました。

あと↓は個別に各曲どういう位置づけじゃないかって話をしますが、言いたいことはほぼ↑で言ったし、マジだらだらと長いので興味ある人だけどうぞ。

■セトリ各曲個別考察

■00.MOON RIVER~02.StarRingChild / RE:I AM

●00.MOON RIVER
MOON RIVERは、アルバム「DAWN」の一番最初と一番最後の曲がMOON RIVERです。

さっきも言ったように、nuit immersiveのセトリはアルバム「DAWN」のセトリに少し似てる所もあるんで、そこを意識してほしかったからMOON RIVERなのかなと思いましたね。
初期の「夜」期からのファンにも、すぐに「夜」の物語のセットリストだとわかるようにする意図があったのかなと思いました。

あとは、改めて夜に帰ってきたことを示す意図もあったのかなとも思いますね。
AImerさんはアルバム「DAWN」で、最後の曲を「MOON RIVER」という旅立ちを歌った曲にする事で、いつかまた「新しい夜」に帰って来る事を示していました。

「“夜明け”の意味を変える「MOON RIVER」」の項を参照。

そういうのひっくるめてのMOON RIVERだったのかなと。

●01.Deep down
Deep downもまた解釈が難しくて進んでないんですけど。ここは喪失が描かれているかなと思ってます。

願った物を手にした 甘美と喪失に飲まれ どれほど長い時を 辿ってた
I call you deep deep deep deep down Deep deep deep deep down

人との絆を繋ぎ直す、ってい観点に立つと↑の歌詞とかが「あなた」(you)を呼び続けてます。
ここでいう「喪失」したのが「あなた」(you)なのかなと思いますね。

歌手として活躍してファンとの絆を手に入れた甘美と、さっき言ったようなファンとの絆を失った喪失の話をしてんのかな~と思わなくもないって今のところの解釈です。

茜さすの↓の歌詞とかは似てるかなと思ってます。

出会えた幻にさよならを 茜さす この空に
零れた弱さに手のひらを 一輪の徒花 そんなふうに
願い叶え 痛みを知る

一輪の徒花として、誰かに気づいてもらえて願いを叶えたけれど、その誰かともすぐに別れてしまう悲しさがある、みたいな話かなと。

まあ、Deep downの前半の闇の部分とどう繋がるかは考え中ですけど。

●02.StarRingChild / RE:I AM

RE:I AMの方がわかり易いからこっちから説明します。

「側にいて」と抱きしめても もう2度と聞こえない君の歌声は
降り注いだ雨のサイレン 僕の代わりに今この空が泣き続ける

RE:I AMはやっぱり人を失った悲しみがありますよね。
それが、Ivy Ivy Ivyで絆を取り戻す伏線になってます。

RE:I AM「「側にいて」と抱きしめても もう2度と聞こえない君の歌声は」

Work it out「ただ果てなく続いて行く道を 君の傍で歩けたらいいな」

春はゆく「あなたの側にいる」

Ivy Ivy Ivy「どうしようもなく溢れる 願いを口にして もう一度だけ水をあげよう 一緒にいよう」

ですよ。
一度失ったからこそわかる大切さ。今だからこそやっと口にできた訳ですよ「一緒にいよう」って。

忘れないよ今日の景色を ありふれた願いが足元を照らしてくれる

とあるので、Deep downでの喪失から、RE:I AMで一歩踏み出そうとしてるのかなと思います。

次、StarRingChild については、夢の話をしてます。
それがcrossoversとのコンボにはなってます。

Star・Ring・Child
この震えた身体もまだ 音を鳴らせる
あの小かった頃の手が描く全てに
ノートからはみ出す願いがいた

君が観た夢その欠片を この手に浮かべ朝を待とう
ひび割れた絵の隙間の空 汗に塗れ輝いてた
届けよう祈る想い そっと

ノートからはみ出す位の願いを描くStarRingChildと、かつて「君」が描いてた今はひびわれた空の絵に思うところのあるcrossovers、っていう繋がりがあると思います。

なんでここで夢の話がでてくるかですけど、さっき言った「誰も置いていかない夜」というのが、Aimerさんにとってのひとつの夢だと思うんですよ。

↓は名古屋1日目の本編最後のMCだけど。

Aimerさん
「また必ず会いに来ます。だからあなたともまた会いに来てください。」
「そうやって音楽に支えられながら、音楽を通して一緒に生きていける事、それが私の唯一の願いです。」
「これからもまた私について来てください。」

言い方はその時々で変わりますが、↑のようなことはずっと言ってるじゃないですか。

この「願い」が一種の「夢」だと思うんですよ。
だから、Aimerさんにとって人との絆を取り戻す事と、夢を叶える事は、そんなに離れた話ではないと思うんですよ。

なので、ここの StarRingChild / RE:I AM は人との絆を取り戻すための一歩を踏み出すところだったのではないかなと思ってます。

■03.March of Time / April Showers ~ 04.rubble pile / 花鳥風月

03.March of Time / April Showers
04.rubble pile / 花鳥風月

●03.March of Time / April Showers
「March of Time」と「April Showers」はさっき説明したので割愛します。
どちらも、かつて一緒にいた人が今は傍にいないという状況を歌っている曲です。
この辺では、その悲しみと、かつて一緒にいた時間の尊さみたいなものが歌われてる気がします。

● 04.rubble pile / 花鳥風月
rubble pileは、ファンクラブのライナーノーツやラジオで色々語られています。
FCコンテンツなんであまり言えないんですが、おそらく昨今のウクライナ戦争の話を反映して作られた歌なのだろうと思います。

ねぇ 崩れ落ちた過去の景色は
瞼の裏で消えない
もう戻れないと繰り返し言い聞かせて
それでも消えない

言葉から喪失した重みを感じますよね。この重みめっちゃ好きです。
nuit immersiveの文脈においては、戻る事のない人との関係性の意味合いでとってもいいのかなとは思います。

次、花鳥風月です。
俺、花鳥風月、初めて聴けてテンション爆上がりでした。超レア曲ですよね。美しすぎて泣いた。

花鳥風月がなぜこの並びにあったかという話です。

花ほど待ちわびる 逢えぬ君の音を

とか

今も遠き君に

とか、花鳥風月も今は会えない人を想ってるんですよね。

で、その人と会える時間は、ぶわっと花が咲くようなある種、幻のような時間だという話をしている思います。
秘密の森がAimerさんです。

幾千も探してた 薄紅色に咲く花を
名前のない秘密の森を染めるような幻を

人と一緒にいられる時間を「幻」とか「夢」とか言うのは、aimerrhythmさんの歌詞にはよくあります。

・茜さす「出会えた幻にさよならを」「愛した幻に口づけを」
・March of Time「君はただ 夢 隣りで笑っていたい」
・グレースノート「ただ夢の中で絆されたまま 生まれたときはひとりぼっちだったこと 忘れがちになるのかな?」

なので、花鳥風月の「秘密の森を染めるような幻」も人と一緒にいられる時間の話をしているんだろうなと思います。

咲かないのなら 歌を餞(はなむけ)とし 鳥に 風に 月に
結んだ糸を そっと手繰り寄せるための淡い祈り

「咲かないのなら」は君と会えないならという話だと思います。
「餞」(はなむけ)は去っていく人に贈る餞別です。
「結んだ糸」が縁の糸の話だと思います。

君と会えないなら、君との縁の糸を手繰れるように、君とまた会えるように、という祈りを込めて、歌を餞として贈るよ、っていう話なんじゃないかなと思いました。

で、ここででてくる「鳥に 風に 月に 結んだ糸」が縁の糸の話をしてるんだったら、蝶々結びも縁の糸の話をしているので、花鳥風月⇒蝶々結び の縁結びコンボになるんですよ。
エモくないですか?

という訳でこの辺の並びの曲は、今、君と一緒にいられない悲しみと、かつて一緒にいた時間の尊さみたいなものが歌われてる気がしました。

■05.朝が来る ~ 07.Work it out / After Rain Scarlet ver.

05.朝が来る
06.カタオモイ
07.Work it out / After Rain Scarlet ver.

●05.朝が来る
Aimerさん「次の曲は新しい朝を呼び込むための曲です。聴いて下さい。朝が来る。」

というMCの通り、朝を呼ぼうとしてるんですね。

朝が来る、は作曲家の梶浦由記さんの歌詞ですが、Aimerさんに対する理解度が高い感じしてます。

夜のもう一つ向こうまで
どうしても届かない手のひらを
支えてくれる声が
いつの間に こんなに
響いてた

DAWNでもそうだったように、Aimerさんにとっての夜明けは、他の人とのキズナがカギなんですよね。

朝が来る、でも↑の歌詞で人との関係、応援してくれる人がいて、それが朝へ至るカギになってて、Aimerさんの描く物語とも親和性高い歌詞だなと思います。

●06.カタオモイ
ここなんでカタオモイなんだろうと思いました。

私的にはまだ二人は再会してなくて、それでもその人を愛する気持ちを思い出してるのかな、と考えてます。

●07.Work it out / After Rain Scarlet ver.

ここはちょっと前向きになってるんだろうなと思います。

Work it out は今回のセトリの他の曲とも接点を見出すことができます。

誰もいなくなった交差点には
⇒交差点⇒crossovers

君がいなくなった校舎の隅で
⇒学校での別れ⇒花びらたちのマーチ

とかね。
Work it out↑の歌詞を見て分かるように、人との別れがあるんですよね。
そのうえで「Work it out」(どうにかなる)って歌ってます。
多分また会える事に対する希望を持ってるんでしょうね。

で、「ただ果てなく続いて行く道を 君の傍で歩けたらいいな」ですよ。

ここでも、ファンとの絆をずっと繋いでいられるように、という願いがでてるんですよね。

この最後の歌詞については、ファンクラブのライナーノーツにAimerさんのコメントあるので、読める人は読んでください。

After Rain Scarlet ver. は、俺はテンションぶち上げだった。
これみんなで立ってワイパーしたい。次Aimerさん着替えで、すぐに座れるのでぜひ立ってワイパーしよう。

ポジション的にはWork it outと同じく、悲しみがあって前向きに進もうとする曲なので、ここの位置にあるのだろうと思います。

■08.escalate ~ 10.春はゆく

08.escalate
09.LAST STARDUST / Brave Shine
10.春はゆく

●08.escalate
ここから夜明け前の一番暗い時間です。

LAST STARDUST、Brave Shine、春はゆく の並びにあるので、escalateも「夜明け前の一番暗い時間」属性をもつ曲に分類していいんだろうと思います。

●09.LAST STARDUST / Brave Shine
アルバム「DAWN」における夜明け前の一番暗い時間。

●10.春はゆく
アルバム「Walpurgis」における、春の前の極寒の冬。

この辺の曲達は二人に困難が降りかかってる感じだろうな、と思います。

何気にFateコンボですよね。
この辺のメジャー曲はやっぱり好きなんで、セトリにあると嬉しいですね。

■11.Ivy Ivy Ivy ~ 14.残響散歌

11.Ivy Ivy Ivy
12.We Two
13.ONE
14.残響散歌

●11.Ivy Ivy Ivy

どうしようもなく溢れる 願いを口にして
もう一度だけ水をあげよう 一緒にいよう

RE:I AMで、「側にいて」と言えなくて(言ったのかもしれないが)離れ離れになったところから、Ivy Ivy Ivyでやっと言えた「一緒にいよう」プライスレス。

このツアーで言いたい事の全てがここに集約されてる気がします。

あんま関係ないかもだけど、Ivy Ivy Ivy が、Ivy×3なのは、We TwoとONEと一緒に並べる想定で、「3」を意味しようとした説。ちょっとあると思いました。

●12.We Two
We Twoは本来、冷静なAimerさんと情熱的なAimerさん、その二人で一人だよ、という歌です。
Ivy Ivy Ivyからのこの文脈では、Aimerさんとファンが二人で一人だよと言っているようだなと思いました。

●13.ONE
ONEと、Ivy Ivy Ivy、どちらもありのままの自分の話をしています。

ONE「誰かが決めた君の“君らしさ”なんて Turning over 素顔で」

Ivy Ivy Ivy「カスタムせずにあるがまま どうなったって許せる やっと出会えたこの一瞬を抱きしめてみよう」

Deep downで嘘がちらついていた時から考えると、やっと本当の自分になれたのでしょうね。

Deep down「淡い 淡い 幻を 振り切れば 偽りが輪郭を浮かべ」

●14.残響散歌
このアッパー曲たちの流れからのとどめの残響散歌。
今のAimerさんの「夜明け」はど派手です!!!

何気に残響散歌も夢の話をしてるんですよね。
あとONEも。

この先どんなつらい時も
口先よりも胸を張って
抱いた夢の灯りを全部 辿るだけ
逃げ出すため ここまで来たんじゃないだろ?

StarRingChild⇒ONE⇒残響散歌⇒crossovers
夢を追いかけるセットリストでもあったのだと思いますね。

■15.寂しくて眠れない夜は / ポラリス

本編最後のMCがあって、
Aiemrさん「私たちが暗い夜を一緒に歩いていけるように、想いを込めて歌います。」
というMCのあとに「寂しくて眠れない夜は」か「ポラリス」を歌います。

ここなんで「寂しくて眠れない夜は」だと思います?
二度と戻らない温もりの話をしてるんですよ。
私は、昔からのファンに向けてのメッセージかなと思いました。

昔の歌も歌う事で、昔からのファンとも改めて絆を繋ぎ直そうと、また一緒に夜をあるいていけるようにと願いを込めてるのかなと思いました。

ポラリスはわかりますよね。旅人に行く先を示す北極星ポラリス。

そうやって生きてきた君のためだけの
ポラリスになりたい

もうAierさんマジでポラリス。
俺の生きる指針。

nuit immersive の物語上最後に二人が一緒にいるポラリスの方が、わかりやすくしっくりくる締めの歌ではあるなと思いました。

■16.crossovers / 花びらたちのマーチ

ここからアンコール。
crossovers が夢の話をしてるというのは、StarRingChild のところで少し話したのでおいておきます。

crossoverは英語で交差点という意味らしいです。
crossovers は人と人とが交わる交差点の話をしているそうです。

Aimerさん
「騎手の方と走っている馬、それを見ている皆さん、その間に膨大な熱が生まれていく。まったく別の2つが交差しているっていうことを曲にしてみようと思って。」
「別々に歩んできた人生でも、どちらかが一方的に知っただけで交差するじゃないですか。」
「音楽も同じで勝手に音楽を聴いて、影響を受けたら、その時点で激しく交差しているわけで。そういうことって、いろんな場所、人、時間で無限にあるよなと思いながら。」
(中略)
「音楽を通して私にクロスオーバーしてくれた方と同じ景色を見ることはできるし、私ができるのはそれだなという想いで今は音楽をやっているので。」
「だから私にとってこの曲の<君>は、聴いてくださるあなたなんです。最近そういう曲が増えてますよね。」

(B-PASS 2023年4月号 escalate インタビュー)

だからこそAimerさんはMCで、

Aiemrさん「私たちの人生がこうして交差した事に感謝して歌います。」(名古屋1日目MC)

と言ってるんですね。

余談ですが、Aimerさんの歌詞に「交差点」って時々でてきます。

スピカ「交差点 ふいに立ち止まっては 思い出した気持ちを 愛と呼ぶ? 過去と呼ぶ? 名前はどうであれ」
トリル「交差点から高架線まで いっそライトは消し去って」
Work it out 「誰もいなくなった交差点には 春の匂い 遠くなっていた 止まった日々が どんなに目をそらしても 笑い合おう」

aimerrhythmさんの歌詞にでてくる「交差点」には↓のイメージを持ってるのかなと思ってます。
・道の分岐点
・人と出会い、別れる場所


話変わって、花びらたちのマーチ は、実は春に新しい環境になっての、わかれの曲なんですよね。

春が来て あんなに好きだったのに
壁も 窓も 空も 消えてなくなって

最初に話したように、アルバム「Sun Dance & Penny Rain」では、曲「Sun Dance」で別々の道を歩んでいた二人が再会します。

花びらたちのマーチもそのアルバムの曲です。
で、単なるわかれではなくて、離れていても心は傍にいて、なおかつ最後に再会する事に希望を残すんですよ。

春が来て どんなに離れても
あれも これも 全部 傍にあるからと
ひらひら揺れながら そっと花びらが歌った
花びらは笑った

十年後にまた会えると ありふれた言葉 歌にした
明日朝一 街を出る 君に どうか幸あれ

それを含めて↑の歌に入る前のMCを見てみましょう。

Aimerさん
「いつまでもいつまでもあなたと一緒にいたい。あなたにもそう思ってもらえるように歌います。」
(名古屋2日目MC)

crossoversはファンとの交差できた感謝をこめて、花びらたちのマーチはまた会えるようにという願いをこめて歌ってるのでした。

■17. 蝶々結び

もう1回蝶々結び前のMCを書くよ。

Aimerさん
「私とあなたを繋ぐこの結び目が、たとえほどけたとしても、何度でも何度でも結びなおせるように、この曲を歌います。」
「あなたも心の中で歌って下さい。蝶々結び。」

マジで蝶々結び心して聴こうな、「力を込めたんだ~」とか超心こもってるから。

という訳で、

nuit immersiveのセットリストは、Aiemrさんがファンとの絆を改めて繋ぎ直そうしてるのが、見れば見るほど伝わってくる気がする、そんなセットリストでした。

-おわり-

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