【アルバム考察】Aimer DAWN期末期の物語 終わらない夜の夜明け
■はじめに
Aimerさんの3rdアルバムDAWNが、Aimerさんの歌詞世界の物語として、こういう物語だったのではないかという考察です。
いつもどおり、私はこう思ったという話です。
苦手な人はご注意を。
あと、Aimerさんの物語といいながらも、私がタイアップ先のFate/UBWの物語が好きすぎて、考察の中でUBWの話をいっぱいしてます。
Fate/UBWをこれから見る予定の人はネタバレなので、ご注意を。
個人的に注目してほしいのは初期夜期のAimerさんの「弱さ」が描かれている、という所です。
Aimerさんはライブとかで「LAST STARDUST」を歌い出す時に、「弱さとの決別するために作った曲です。」って曲の紹介をされる事があるんですが、その「弱さ」はDAWN期の歌の歌詞に一応書いてます。(めっちゃわかりにくいけど)
「弱さ」は、Fate/UBWの衛宮士郎の弱さだったり、「Brave Shine」製作時期にAimerさんに起きた悲劇の話だったり、で解釈する事はできると思います。
しかし、Aimerさんの歌詞上の物語としても「弱さ」は書いてあるので、そこは今回言いたいところです。
じゃ、考察していきます。
■Aimerさんのアルバムと各活動期のテーマ(一応)
先にAimerさんのアルバムよりも広いくくりでのテーマの話をしておきます。
今回はあまりこの話必要ないですが、一応。
Aimerさんのアルバムのテーマは以下のようになってます。
Aimerさんは、1st~3rdまでのアルバムは夜をテーマにしていました。
そして、4th、5thのアルバムでは夜のテーマを離れて、光の中を大きなテーマにしていました。
そして6thアルバム以降では「新しい夜」というテーマになっています。
今回はその初期夜期の最後のアルバム3rdアルバムDAWN(夜明け)の物語を考察します。
■DAWNの曲順
3rdアルバムDAWNの曲順は以下です。
01. MOON RIVER -prologue-
02. Believe Be:leave
03. 君を待つ
04. broKen NIGHT
05. Noir! Noir!
06. Re:far
07. AM04:00
08. 誰か、海を。
09. LAST STARDUST
10. Brave Shine
11. キズナ
12. DAWN
13. MOON RIVER
このうち↓の曲の歌詞を見ていき、DAWNの物語がどういう物語だったか、という話をしていきます。
broKen NIGHT
↓
(holLow wORlD)
↓
LAST STARDUST
↓
Brave Shine
↓
キズナ
↓
DAWN
↓
MOON RIVER
「holLow wORlD」はアルバムには入ってませんが、シングルの「broKen NIGHT」のカップリング曲で、語っている内容としては「 LAST STARDUST」とほぼ同時系列なので一緒に話します。
主に話す歌の歌詞のリンク置いておきます。
・broKen NIGHT
https://www.uta-net.com/song/176690/
・holLow wORlD
https://www.uta-net.com/song/176689/
・LAST STARDUST
https://www.uta-net.com/song/191014/
・Brave Shine
https://www.uta-net.com/song/187377/
・ DAWN
https://www.uta-net.com/song/191012/
・六等星の夜
https://www.uta-net.com/song/115843/
■夜を飛び立てなくなるAimerさん
broKen NIGHT
「重ねた 愛しい罪 優しい嘘 眠れぬ悲しみ」
「祈り呟く 翼を奪われた幻(ゆめ)に わずかでも星(ひかり)を」
「失くした 愛しい月 優しい雨 眠れる囁き」
「飛び立つことを 忘れた鳥たちは 歌う 儚さと 痛みを」
1stアルバムSleepless Nights(終わらない夜)から始まった夜の物語は、2ndアルバムMidnight Sunで真夜中の太陽に出会います。
そして、その後も夜明けを求めて夜の中を旅をするのですが、broKen NIGHTで物語上のとても大きな転機が訪れます
broKen NIGHT では、ずっと夜明けを探していたはずのAimerさんが、夜を飛び立つ事ができなくなります。
そして、「祈り呟く翼」を失い、本来「愛しい月」「優しい雨」「眠れる囁き」であった祈りの歌が、「愛しい罪」「優しい嘘」「眠れぬ悲しみ」の歌、つまり「儚さと痛み」の歌しか歌えなくなっていきます。
初期夜期で悲しい儚さと痛みの歌を沢山作ってきた事と、1つの夜が夜明けをむかえないまま3rdアルバムまで来ている事、タイアップ先のFate/hollow ataraxiaの物語をふまえて、そういう物語にしてると思われます。
なぜ、夜を飛び立てなくなったかというと、夜が終わるのを怖がっているからです。
この時のAimerさんはデビュー曲「六等星の夜」からずっと夜をテーマに歌っているので、夜を歌うことを自分の意味だと考えていたと思われます。
なのでそれを失うのは怖いでしょう。
夜明けへ飛び込むことの怖さは「holLow wORlD」に書かれています。
「In this place, I have to dive? There's no time for guessing at I lost the game」
(この場所は私が飛び込むべき場所?考えている時間はない。私はこのゲームに負けた。)
「Is this your craze that you drive? I'm confusing like a child I lost your faith」
(この狂気があなたを駆り立てるもの?子供のように混乱し、私はあなたを信じられなくなった)
夜にいるAimerさんにとって、夜明けは狂気(craze)として表現されています。
自分が探していたはずの夜明けなのに、それを前にして子供のように混乱して、自分を信じられなくなっています。
あとででてきますが、「holLow wORlD」は1番のAメロで終わらない夜に苦しむ姿、2番のAメロで夜明けを恐れる姿が描かれています。
なので、この時のAimerさんは夜の中で八方ふさがりの状態なのです。
また、夜が自分の意味だったということは、「Torches」に書かれています。
「ふいに失くした意味に怯え 道を誤ることはない」
Torchesは、私の考えでは、1番が初期夜期のBrave Shineの誕生物語を表しており、2番が光の中期のSailing誕生物語を表していると思っています。
(灯火を抱け⇒Brave Shine、荒波を行け⇒Sailing)
(Brave Shineの誕生物語はあとの説明ででてきます。)
Torchesのこの歌詞は、2番の歌詞で、初期夜期が終わり、夜という自分の意味をなくしても、誤らずに自らの道を進むAimerさんの姿が描かれています。
あと、インタビューの切り抜きにはなりますが、一応Aimerさんが夜明けについて悩んでたコメントもあります。
●アルバムタイトル「DAWN」について
「正直、自分がこういうふうに夜明けっていうものを打ち出した作品をリリースしたら、今まで夜の中で居心地良く私の曲を聴いてくれてた人はどう思うんだろう?ってすごく悩んだんです。でも実際は、曲たちを完全に光の中へ見送ったっていうわけではなく、どちらかと言うと影を帯びている曲が多いと思いますし、夜というものはこれからも自分にとって大切な存在なので。ただ、今の私じゃないと表現できない夜明けを受け取ってほしいなと思って作ったアルバムなんです。」
(B-PASS 2015年9月号 アルバムDAWNインタビュー)
broKen NIGHTとholLow wORlDには、その辺の悩んでた部分が歌詞に出てるんじゃないかと思ってます。
■重ねてきた嘘
broKen NIGHT
「重ねた 愛しい罪 優しい嘘 眠れぬ悲しみ」
私は、初期夜期に「嘘」があったということを、Aimerさんのいろんな歌が告発していると思っています。
broKen NIGHTはその1つです。
初期夜期にどんな嘘があったかはおそらく色々ですが、ここでは、
『夜明けへの祈りを歌いながら、夜を飛び立てなくなったこと。儚さと痛みの歌を歌い続け、夜を継続させていること。』
だと思っておいてください。
夜明けへの祈りを最初に歌ったのは、「六等星の夜」です。
六等星の夜「夜明けは来るよと 囁いていて 嘘でもいいから」
そのあとも度々夜明けへの祈りの歌が歌われています。
・悲しみはオーロラに「世界中の孤独をつなぎあわせ 悲しみ包むオーロラ 祈りは果てしなく どれくらいの願いをかなえるだろう どれくらいの想いが まだ見ない明日へと届くだろう 」
・星の消えた夜に「ほら 夜が明けるよ ほら夜が明ける」
・Iris「忘れかけていた夢や優しいメロディー 思い出すまで眠ろう 朝が来るまで」
でも、Aimerさん世界に一向に夜明けが来ていないので、六等星の夜の歌詞通りに「嘘」になってしまっているわけです。
broKen NIGHTの「嘘」の詳細は詳細は語られてないんですが、Aimerさんの「嘘」の記述の結構な割合が「夜明け(朝)は来るよ」系なので、ここでもそう捉えて問題ないかと思います。
・六等星の夜「夜明けは来るよと 囁いていて 嘘でもいいから」
・STAND-ALONE「最初に 君がついた嘘 夜明けは来るよと囁き」
・ONE AND LAST「過去の嘘 秘めて、今 遠くの朝を祈っていた」
・crossovers「朝は逃げないからそう言った君を憂いながら」「作りかけの玩具箱 優しい嘘でなんとなく 忘れていた」
ここでは詳しくは話さないのですが、この初期夜期の「嘘」や「弱さ」が後々までずっと尾を引いています。
Black Bird、Ash flame、STAND-ALONE、ONE AND LAST、とか。多分Deep downも。
Aimerさんの重めの曲は、大体この時期の自分を批判していたりします。Aimerさんにとって当時の葛藤だったり反省点だと思われます。
broKen NIGHTは、初期夜期の中にありながら、その「嘘」について語られている貴重な曲です。
■夜の閉塞感
そうして、夜を飛び立てなくなり、嘘を重ねるAimerさんは、終わらない夜の世界でさまよい続け、疲弊していきます。
broKen NIGHT
「いつまで続くんだろう 螺旋の闇 逆さまの月」
holLow wORlD
「In this place, I have to stay? My memory wearing off I lost my name」
(ここは私のとどまるべき場所?記憶はすり減り、私は自身の名前を忘れた。)
「Is this dark haze that you said? I walk like a lost child I lost your face」
(この暗い靄はあなたが言っていたもの?迷子のように徘徊し、私はあなたの顔も忘れた。)
「Is this where I live? Or is this where I leave?」
(ここは私のいるべき場所?それとも去るべき場所?)
LAST STARDUST
「ふりしきる強い雨描いた夢の果て 震える肩濡らし歩き続けた」
「擦り切れた小さな手 隙間を埋めるまで 色の消えた記憶拾い集めた」
Brave shine
「右手には空の記憶 誰もしらない世界の果て やまない雨にうたれていた」
「すれ違う赤の軌道 何も知らない子供のまま 明けない夜を彷徨ってた」
ちなみに、「broKen NIGHT/holLow wORlD」のタイアップ先である「Fate/hollow ataraxia」は、ある4日間(の聖杯戦争)を永遠にループする話で、そのループの謎を解き明かしていきます。
そのループを終わらせたいけど終わらせたくない、というキャラもでてきており、ゲームの物語と歌の物語とのシンクロ率がハンパないです。
ついでに、Aimerさんのファンクラブのギャラリーにある「行き止まりの空」とかも初期夜末期の閉塞感を表していると思っています。
興味ある人は見てみてください。
■記憶の収集・欠落・脚色
そうして夜をさまよっている時に記憶を拾い集めています。
broKen NIGHT
「ひび割れた記憶 この目で追いかける」「飾られた記憶 終末(おわり)を問いかける」
holLow wORlD
「In this place, I have to stay? My memory wearing off I lost my name」
(ここは私のとどまるべき場所?記憶はすり減り、私は自身の名前を忘れた。)
「Is this dark haze that you said? I walk like a lost child I lost your face」
(この暗い靄はあなたが言っていたもの?迷子のように徘徊し、あなたの顔も忘れた)
LAST STARDUST
「擦り切れた小さな手 隙間を埋めるまで 色の消えた記憶拾い集めた」
Brave shine
「右手には空の記憶 誰もしらない世界の果て やまない雨にうたれていた」
これはおそらくですが、Aimerさんの歌は(初期夜期に限らず)思い出を振り返る事が多くて、ここでも思い出を振り返ろうとしていたのだと思われます。
思い出が、祈りを呟くために必要なものだったのかもしれません。
ですが、その記憶も長い間夜の世界にいるせいで擦り切れたり、色が消えたり、脚色されたりしています。
以下は初期夜期の思い出を振り返る歌の例です。これらと同様の事を「LAST STARDUST」などの曲でもやろうとしていたのだと思われます。
・あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~「いつも夢の中では あなたは笑ってる どうして ねえ 消えないの?」
・今日から思い出「今日から思い出 素敵な思い出」
・7月の翼「思い出の公園や 懐かしい教室も今でもあの日と同じままかな?寂しげな街灯と 最後に見た駅のホーム溢れ出す景色に手を伸ばす」
・君を待つ「瞳閉じれば記憶の海 深く沈み手を伸ばす」
■炎の帰還
そして、色の消えた記憶を集める中で、失くしてしまった炎が返ってきます。
holLow wORlD
「Eternal flame just back in my hands Like a double-edged sword I don't care」
(永遠の炎がこの手に戻ってきた まるで諸刃の剣のように それでも私はかまわない)
「Eternal flame just back in my hands Like trouble with doubt I don't care」
(永遠の炎がこの手に戻ってきた まるで疑いの苦しみのように それでも私はかまわない)
「It's time I have to go that way Cause I got ready to break my endless days」
(今この道をいくべき時。終わらない日々(夜)を終わらせる準備はできたのだから)
LAST STARDUST
「愛しさ 優しさ すべて投げ出してもいい 失くしたもの見つけたなら」
「傷つくのが運命(さだめ)だとしても 心はまだ 色を放つ」
「傷だらけの 硝子の心が 忘れかけた 熱を灯す」
さながら、衛宮士郎が記憶の中から、衛宮切嗣の願いを見つけるように…
そして、holLow wORlDに「Cause I got ready to break my endless days」とあるように、この炎が戻ってきた事により夜を明ける準備ができています。
この炎は、情熱だったり、勇気だったり、夢だったり、するかと思いますが、一言で言うなら「Brave Shine」です。
■願い・約束
●約束
holLow wORlD
「許されない約束」
Brave shine
「交わした約束(ことば)の中に 独りを支えた確かな理想(ゆめ)を添えて」
の約束は、おそらく
六等星の夜
「夜明けは来るよと 囁いていて 嘘でもいいから」
です。
●願い
LAST STARDUST
「願いの 破片よ 届け」
「願いの破片よ 永遠(とわ)へ」
Brave shine
「左手に隠した 願いは願いのままで 覚めない幻(ゆめ)見てた」
の願いは、おそらく
六等星の夜
「終わらない夜に願いはひとつ "星のない空に輝く光を"」
です。
何が言いたいかというと、全ての根底はデビュー曲「六等星の夜」だったのではないか、という話です。
約束については、六等星の夜の「夜明けは来るよと 囁いていて」という約束は、夜明けを恐れるAimerさんにとっては「許されない約束」となり、夜明けを決意をしたAimerさんにとっては「独りを支えた確かな理想(ゆめ)」となります。
願いについては、「星のない空に輝く光を」という願いが、六等星の夜では夜に寄り添う星だったものが、LAST STARDUSTやBrave shineでは夜明けの光を求めた願いとなります。
ついでに、私はBrave shineにでてくる「青い星」も六等星の夜だと思っています。
「光ること忘れた 青い星が残してく 消えない影見てた」
夜明けを恐れるAimerさんにとっては「六等星の夜」は、「光る事を忘れた青い星」だったということです。
衛宮士郎
「これがお前の忘れたものだ。確かに始まりは憧れだった。けど、根底にあったものは願いなんだよ。この地獄を覆してほしいという願い。」
「誰かの力になりたかったのに、結局何もかも取りこぼした男の、果たされなかった願いだ。」
Aimerさんの根底にあるものも原初の願いでした。
■弱さとの決別(焼却)
holLow wORlD
「Eternal flame The hollow world I see, the sorrow deeply I feel Now they're perfectly burned out」
(永遠の炎 私が見ている虚ろな世界、私が感じている深い悲しみ、今それら全てが燃え尽きる)
LAST STARDUST
「さよなら Judas 灰になれ Dust to dust いつかの弱さへ」
弱さとの決別です。
DAWNの物語上では、broKen NIGHTにあった「夜を飛び立てない」という弱さです。
その弱さは、AimerさんにとってはJudas(裏切り者)だったわけです。
その弱さと決別します。
衛宮士郎
「お前には、負けられない。」
「誰かに負けるのはいい。でも、自分にだけは負けられない。」
「手も足もまだ動く。負けていたのは俺の心だ。お前を正しいと受け入れていた、俺の心が弱かった。」
「お前の正しさは、ただ正しいだけのものだ。そんなもの俺はいらない。」
「俺は正義の味方になる。」
「お前が俺を否定するように、俺も死力を尽くして、お前という自分を打ち負かす。」
Aimerさんにとっても、弱い自分、夜明けを恐れ、夜の世界にしがみつく自分との戦いでした。
■夜明け前の一番暗い時間
Brave shine
「Break down 崩れ堕ちてゆく星座が 傷つけあう夜 You're breaking dawn」
DAWN
「消えてゆく月と 星のない夜空 何より暗いのは そう 夜明け前 朝日まで もう少し」
Brave shineにあるように星座が傷つけあって、崩れ落ちています。
この星座は、初期夜期の歌を表しています。
Aimerさん初期の夜には星の歌が多いです。
・六等星の夜
・冬のダイヤモンド
・ポラリス
・星の消えた夜に
・星屑ビーナス
・7月の翼⇒七夕の星の話
・StarRingChild
・小さな星のメロディー
・LAST STARDUST
・スピカ(daydream期)
・Stars in the rain(daydream期)
他…
(歌詞の中で言えばもっとある)
この夜の星たちが傷つけあって崩れ落ちていきます。
これは自分との戦いを表していると思ってます。
そして、星も月もない夜明け前の一番暗い時間が訪れます。
これは、「The darkest hour is just before the dawn.」(いつでも夜明け前が一番暗い)という英語のことわざがあるらしくて、それがもとになっています。
あと、2014年の「Maiden Voyage」というツアーで、ライブ中に声がでなくなるというアクシデントがあったらしく、その経験は「Brave Shine」に反映されているそうです。
その辺は詳しくはインタビューに載っています。興味あれば。
「The darkest hour is just before the dawn.」
「Aimerと「Fate UBW」に起きた悲劇的で恵まれた偶然」
■夜明け
Brave shine
「Break down 崩れ堕ちてゆく星座が 傷つけあう夜 You're breaking dawn」
「守りたいものを守れるのなら すべてを受け入れて 未来(あした)を探す 夜明けを灯す」
「重ねた涙の果てに光をみつけた My brave shine」
DAWN
「眠れない想いを抱きしめた夜に 朝は来るよ 手を伸ばせば 朝は来るよ」
Brave shineの「Break down」と「breaking dawn」がかかってます。
またそれは、holLow wORlDの「break my endless days」ともかかっています。
holLow wORlD
「It's time I have to go that way Cause I got ready to break my endless days」
(今この道をいくべき時。終わらない日々(夜)を終わらせる準備はできたのだから)
こうして、壮絶な星座の最後(自分との戦い)の後に、夜明けがおとずれました。
■夜が明けて残ったもの
キズナ
「何を失っても キズナだけは壊せない」
DAWN
「勇敢な想いがつまずいた夜も そばにいるよ 何があっても そばにいるよ」
夜の星も月もなくなって、何が残ったかというと、「キズナ」が残りました。
「キズナ」については、しばらく封印されていたそうです。
そして、ツアー「Maiden Voyage」のライブでの挫折があり、その際にファンやスタッフの人達に支えられた経験から改めて歌いたい、と思ったそうです。
詳しくは同じインタビューに載っています。
「ツアーファイナルで感じたリスナーとの「キズナ」」
■MOON RIVER
アルバムDAWNの最後の曲はMOON RIVERです。
なんでまた月がでてきてるのか?と思うかもしれませんが理由があります。
AImerさんは最後の曲を「MOON RIVER」という旅立ちを歌った曲にする事で、いつかまた「新しい夜」に帰って来る事を示したのだそうです。
詳しくはまた同じインタビューに載ってます。
「“夜明け”の意味を変える「MOON RIVER」」
そんな新たな約束を交わして、アルバムDAWNは終わるのでした。
めでたし。めでたし。
ここから時を経て、光の中期を終えた後で、Aimerさんは、17thシングルの「Torches」という曲でまた夜に戻って来ます。月がでてくる曲です。
ですが、それはまた別の話。
「Torches」のカップリング曲、「Blind to you」については、こちらで考察してますので、よければご覧ください。
■余った考察
●夜の最後の星 LAST STARDUST
LAST STARDUSTがなぜ最後(LAST)とついているかというと、名実ともに初期夜期の最後の星の曲だからだと思われます。
(星の歌自体は「 LAST STARDUST」以降もありますが)
LAST STARDUSTの歌詞に「earth to earth, dust to dust, ash to ash」とかいう歌詞がでてきますが、これはキリスト教の葬儀の時などに使う祈りの言葉らしいです。
「土は土に、灰は灰に、塵は塵に。」
なので、LAST STARDUSTは夜の終わりに捧げるレクイエムだと思われます。
Brave shineで星座が傷つけあっていますが、LAST STARDUSTが他の星を砕いているのだと私は考えています。
星を終わらせる使命を帯びた星、「星は星屑に」ということです。
●Brave ShineのMVの終末感
Brave ShineのMVの世界観は、終末世界の感じがあります。
Brave Shineの歌詞上でも、夜という世界の終末を描いています。
なので、MVも終末世界観になっていると思われます。
終末世界の最後に二人の「キズナ」があったというのも、アルバムDAWNの物語にあっていて、私的には超解釈一致なMVだなと思ってます。
●Aimerさんと士郎の地獄のリンク
Aimerさんって、15歳の喉の酷使で声がでなくなって、そして前述のとおり「Brave Shine」制作時期にも声がでなくなってます。
で、Fateの衛宮士郎は、子供の時に第4次聖杯戦争の冬木の大火災で地獄を見て、成長して第5次聖杯戦争でまた地獄を見ています。
地獄を見るタイミングがリンクしてるんですよね。
悲劇的な話ではあるのですが、ここまでリンクしているのは凄いですよね。
衛宮士郎「最初に、その地獄を見た。」
●holLow wORlDと挫折とBrave Shineの順番
「holLow wORlD」と、「Brave Shine」「LAST STARDUST」の物語は似ているのですが、曲が作成されたタイミングが少し違うので整理しておきます。
・2014/12/17 7thシングル broKen NIGHT/holLow wORlD リリース
・2015/01/17 Maiden Voyage 大阪公演(Aimerさんが声が出なくなった公演)
・2015/02/15 Brave Shine リリース日の発表
・2015/03/22 Fate/UBW 2ndシーズンPV公開(Brave Shineが聴ける)
(https://www.youtube.com/watch?v=1X8ZBVgairo)
・2015/06/03 8thシングル Brave Shine リリース
「holLow wORlD」が先にできて、Aimerさんのライブでの挫折があって、その後に「Brave Shine」や「LAST STARDUST」ができた流れです。
「holLow wORlD」で大まかな夜明けへの流れはできているのですが、挫折を経験して、色んな人に助けられたからか「holLow wORlD」に比べて、「Brave Shine」や「LAST STARDUST」は人との関わりのプラスな単語がでてきてる気がします。
「守りたい」とか「you save my life」とか。
■おわり
DAWN期の曲はタイアップ先である、Fate/hollow ataraxiaや、Fate/stay night [Unlimited Blade Works]の物語とのリンク率がハンパなくて、タイアップ先の物語として歌詞は読めると思います。
しかし、Aimerさんの歌詞世界の物語としても、夜の終わり、星の終わりの物語として読むことができる、という話でした。
アルバムDAWNはめちゃくちゃかっこいいですよね。星の終わり、夜の終わり、この劇的な物語がめちゃくちゃかっこいいです。(この崩壊エンドはAimerさんにとってあとを引いてますが)
そして何より「LAST STARDUST」が好きすぎる。
それでまた、士郎のセリフがAimerさんにもあてはまりすぎて、リンクの仕方がエモいんですよ。
DAWNはいいぞ。
-おわり-