スマブラDXの歴史を知ると少し見え方が変わるかもしれない#FreeMelee運動のあれこれを日本のスマブラDX大会主催が早口で語る
現在、悲しい事にスマブラDXが今までにないほど注目を浴びています。どうして急に19年も前に発売したゲームが今更Twitterのトレンドに入ったのか?実は今日まで遊ばれ続けていて、とある大会がアメリカ任天堂より中止するように言われたのが今回の騒動の始まりです。
はじめに
軽く自己紹介を、わっちと申します。自分は国内でオフラインのスマブラDX大会をたくさん開催(多い時年間130回くらいオフライン大会を主催)してきました。そこまで大会を開くきっかけなったのが海外コミュニティでした。
初めての海外遠征で海外コミュニティの大きさ、熱意、凄さに感銘を受けて日本でも同じことができないかと思い色々活動してきました。その時にまさに今問題の渦中にいる大型大会を主催する人達に出会って色々教えてもらいました。
おそらく、国内でも今起きていることがどういうことなのかを理解しているランキング上位だと思うので説明していこうと思います。
このノートでお伝えしたい事は大きく5つです
1.スマブラの歴史について説明
・まず筆者は海外コミュニティの背景をお伝えしたいだけです。皆さんの意見を変えてほしいとか間違ってんぞ!とかそういう言う感じじゃねーです!DMに犯罪者がっ!!!とか来てますけど俺に言われても困るっす
2.海外スマブラDXコミュニティは違法集団なんか?
・そもそも今回大会で使用予定だったものは、アメリカの法律のにおいては合法になるように作られたもので、裁判の判例などからも違法ではないです。だが同時に任天堂はあらゆる事を訴える権利も同時に持っています。(つまり合法なのに…任天堂がおかしい!!って事でもない)
3.大型大会中止の理由は?
・実は今回の大会の中止理由は当事者(今回中止を受けた大会主催者)にすら明らかになっておらず、憶測の範囲を超えていない。おそらくSlippiだろう…んでその中でもisoデータだろう…という感じです。
4.#FreeMeleeの真意とは?
・#FreeMelee活動は今回が初めてではなく、以前の活動で生まれた言葉であり『自由にスマブラがしたい』という意味。またその活動の結果として現在、任天堂パートナー大会であったり競技的なスマブラに寄り添った姿勢ががある事。
5.海外コミュニティが目指す場所とは?
・基本的にコミュニティは公式からの金銭的サポートを目的として活動していません。自分たちの好きなゲームをただ遊びたいという考えをもとに成長してきました。現在ある公認大会も任天堂から金銭的サポート(会場費や賞金やゲームソフトの提供など)は一切受けてないです。
今回、一つの大型大会が中止になった背景は第三者から見ると非常に単純に見えますが、実のところ色々複雑な背景があります。
今回の一件はこちらの記事が非常に分かりやすく説明をしてくれています。
自分は任天堂側の言い分(オンラインの大会の主催をしないでくれは)は理解できますし、実際、自分は今後オンラインの大会を開く予定はありません。ですがわざわざ沈黙が金である事を知りつつもこのnoteを書いたのは海外のスマブラコミュニティは長い歴史の中で、色々な出来事があった為に今回の#FreeMeleeに至った事を伝えたいからです。
1.海外スマブラの歴史
インターネットの掲示板で俺が多分世界で一番スマブラが強いぜ!って書き込みにいや俺の方が強いが?から始まったコミュニティは世界中から1000人以上が集まる大型大会まで成長しました。色々あったんですがめっちゃ長いのでだいぶ割愛します。
19歳なんで仕方がないね…そういえば今日(11/21)誕生日なんですよねスマブラDX君…ろうそく多すぎでは?ってくらい燃え盛ってますね
それまでに何度もコミュニティと任天堂との衝突がありました。そもそもコミュニティが始まったばかりの頃(2006年)も配信の許可は得られず、小規模の大会の開催を止められたりしていました。もっと詳しく始まりの歴史を知りたい人はこちらを
背景として『スマブラDXコミュニティは長い間サポートがなかっただけでなく公式より弾圧されていた』と当時の選手たち表現します。自分達で頑張ってコミュニティを大きくしたい時に幾度となく開催自体を止められていました。MLGという賞金付き大会も中止にさせられたりしました。この時の大会はブラウン管テレビにゲームキューブで公民館や学校のような施設を自分たちで開いていて、有志のイベントでもちろん違法性はありませんでした。
スマブラXが発売したあともコミュニティはスマブラDXを続け、自分達でコミュニティを大きくして行きました(この時スマブラXもまた大会の中止を迫られることがありました)、苦しい時期が続きましたが2013年のEVO時に復活を遂げます。
世界的な格闘ゲーム大会である EVOで1タイトルだけ投票で決められる事になりました、もっとも募金を行ったタイトルが選ばれるという事でコミュニティは力を合わせて1000万円近いお金を集めました、これをきっかけにさらにコミュニティが発展するだろう、絆を見せるべきだと一人の男が中心となってコミュニティが動きました(それらのお金は乳がん支援団体に募金されました)。
だが大会が始まる3日前に任天堂から配信をしてはいけないというメールが届き中止に追い込まれます。ですがその時再度コミュニティは力を合わせて任天堂に抗議を行った結果、その日のうちに任天堂は中止を撤回し無事配信され、高いドラマ性のある大会内容も手伝ってスマブラDXコミュニティはより大きいコミュニティとなりました。(最終的に同時視聴者13万人という歴代最高記録に)
結果としてコミュニティは何度も任天堂からの開催中止を断り自分たちの意見をきちんと主張したことで結果として、自分たちの居場所を獲得しました。最終的に任天堂パートナー大会、DXの上位選手をSP告知大会の招待、SP開発協力依頼まで至ることができました。自分たちの伝えたい意見である『ただ自分たちの好きなゲームを自由にやりたいだけ』をアピールするためにEVO2013年の時に#FreeMeleeを掲げています。
海外の任天堂の社長がスマブラDXのコミュニティから生まれたスラング(ノージョーンズ)を使うくらいの関係性になりました。
ノージョーンズとは?【負けた時に言い訳をするジョーンズ君がいて、そこからジョーンズ(いいわけ)するなよ!ってスラングが生まれた、なおジョーンズ君は決して弱くなく実はそれなりに強い選手】
2.スマブラDXは違法集団なのか?
前提として、基本的にアメリカにおいてはエミュレーターやModは合法です、さらに文化的に日本に比べてModは広く浸透しています。日本でいうところの同人誌のような感じです(親告罪であり合法である点、慣れ親しんだ感覚として近いという意味)。ですが、だからと言って我々にすべての権利がある!!!とはならないです、任天堂には中止を求める権利がいつでもあります。(日本だとマイクラとかのModやファンが作成した日本語化Modとかがなじみ深いかもしれません)
またアメリカにおいて参加費を徴収してそれを賞金に当てることがアメリカは法律的に可能です。金儲け!!!って意見が多いですが基本的に大会運営は赤字、選手も賞金で生活が可能な金額でもありません(大体スポンサー費、YoutubeやTwitchでの配信が大体主な収入源です、悲しい事に世界的な大会であるEVOの8位の賞金が参加費より安いってくらいには賞金額が低いです)、そもそも古くから合法的に行われ続けた方式って感覚が近いです(印刷代を考えてひとまず一冊500円みたいな感じです)。
なので、このエミュレーターや賞金はつい最近現れたものではなく、かなり昔から存在していたものになります(Slippiは比較的新しいが、ドルフィンと呼ばれるものが古くから存在し大会なども行われていた)。
そもそも任天堂公認(パートナー)の大会がアメリカ複数あります。今回のTBHやGenesisなど。それらの大会は過去何回も参加費を徴収し、同人販売ブースを置き、コントローラーの不具合修正プログラム(Mod)を使い、大規模な賞金付き大会を開いています。(米任天堂の社長がこれからTop8始まるぜ!とかツイートしてくれたりしてます)。
3.中止の理由は?
ソースが不明瞭ですが、任天堂は今回以下の理由で中止をお願いいしました。(文章や使ってる単語がいまいち公式っぽくないのと…ソースが弱いです…オフィシャルサイトでの中止の詳細は今のところされてません)
Unfortunately, the upcoming Big House tournament announced plans to host an online tournament for Super Smash Bros. Melee that requires use of illegally copied versions of the game in conjunction with a mod called “Slippi” during their online event.
記事曰く、『スリッピーと組み合わされる非正規のソフトデータ』が理由のようです。
エミュレーターやModや賞金はどうやら理由ではないようです(ここら辺を違法にすると思ってるより多くのコミュニティや文化に飛び火するので配慮してくれていると思われる、今までのオフライン大会やTASとかレトロゲーム互換機とか)。ですが今回中止されたTBHの主催曰く、『中止はメールできた、その後のミーティングでスリッピーを使って大会を開いてほしくない的なことを直接的にスリッピーという言葉を使わずに濁されて伝えられたそうです』と述べており、また別の大型大会の主催も『自分の大会にも今後オンラインを開く予定はないよね?と聞かれて開いてほしくない理由を尋ねたがわからなかった』具体的な理由を質問しても返事はなかった。とのこと
つまり、今の状況は中止が来たけど多分Slippiじゃないか?から進展できてないのです。オフィシャルサイトとかに意見が出ていないです。なので今回の中止の理由は謎です。今回が初めてのSlippiを使った賞金付き大会ではありませんでした…なぜTBHが最初の大会なのか?というのもわかっていません。
なのでコミュニティは理由を探っています、技術的にコストはかかるがエミュレーターの使用以外はどうにかできるからです(持っている物理的なソフトを使って起動など)。ですがわからないうちはどうすることもできません。19年も経ってるスマブラDXを始めようって人でソフト持ってないって人いるんだろうか?ちなみに私は30枚ありますヨーロッパ版とアメリカ版も持ってます。
4.#FreeMeleeの真意とは?
なんでわざわざ正義は我にありーーーーーー!みたいな感じで騒いでるん?って意見があるんですが、そこら辺のニュアンスの理解は非常に難しいです。
おそらく抗議する権利の重みが違うというのがあるからだとです、この国の人々にとって、『抗議する権利』はとても大切なものです
今回に限らず、デモについて語るときにアメリカの人々がしばしば口にするのが、「ファースト・アメンドメント」です。この条項は表現の自由や報道の自由と共に、「平和的に集会する権利」を保障してます。
つまり、集会を開いて声を上げるということは、憲法で定められた主権者の大切な権利ということで、これは、イギリスの植民地支配に対して人々が立ち上がって共和制国家をつくったという、この国の歴史から来てるかもしれません。たぶん…しらんけど…
常識はその人の人生の経験と知見の結晶だと思うので、全く違う歴史と場所に住む人たちと同じ考え方を完全に理解するのは不可能だと思います。なんとなーくそんな感じなんだろうなーにしかならんのです。だから『へーそんなんすねー』って思ってもらえたら幸いです
そもそもゲームごときになんでそんなマジになって騒いでるんだよ迷惑な奴らだなぁってなるのもまた自然です。人生を救われたり人生をかけるに値するゲームに出会わなければわからない感覚です。
オタク文化やゲーム文化も弾圧されていましたが、広く文化が浸透することで理解されて市民権を得るみたいな感じです。わからない人から弾圧されるのは自然だと思います、わからないものって怖いですし、自分の常識を崩されたくないですしね。
(あなたの食べているラーメンは健康を害します!って言われてもうるせーーーーー!俺は食べるんだよーーーーあほがっ!!!ってなりますし、でもちゃんと理解して週2くらいにするか…ってなるのむずいっす…俺は毎日ラーメンが食べたい)
なので当事者たちは、マジで正当な権利として活動していて、それは図々しいいという空気感もなく悪意も我々が感じているよりもないです。(だからと言って正しいと言ってるわけではないです)今まで通り、コミュニティの熱意と願いを伝えて解決しようとしています。その伝え方が文化的にこういう方法って感じです。(で活動しないと基本的に返事は帰ってこない)
その中で反応があり要因や原因を知り、また解決までもっていきたいって感じです。
そしてこの活動は思ったよりも規模が大きくなり、Twitterでも世界のトレンドになってます。スマブラDXやってない登録者が500万いるYoutuberやら、別のゲームのトップ選手やらも賛同しています。日本からは想像できないほど数多くなファンとプレイヤーがいます。
これは任天堂を貶めるよりももう少し認めてあげてもいいんじゃない?って意見が多いからです(これも文化の違いかなって思います、反対意見は日本が多いそうです、だから日本がおかしいとかじゃないです、なぜならこれはどちらが正しいいという話ではなくてこう思っているんだという宣誓だからです、ここから正解を導く感じです)
これから海外は#whatmeleemeanstomeを今後拡散していくようです。これはどうしてスマブラDXが自分にとっていかに大切なものかを伝えるためです。これは任天堂を攻撃したいのではなく、どれだけ必要なものだったのかを伝えたいという意味が含まれています。実際にコロナであったオンラインはたくさんの人を救っているようです。(これも深刻度が違うので本当に精神的に救われている人が多いです)
5.海外コミュニティが目指す場所とは?
先日、そういった主催が集まって話し合いが行われています。彼らは今までも何度も任天堂から中止をお願いされることがありました、うるせぇ!それでもやるんだよ!って感じよりは、何が中止の理由でそこを解決したうえで大会が開けないか?という動きをしています。大抵の場合、中止の理由は明かされないためコミュニティの声を集めてアピールし、その結果として中止が覆り、主な理由がわかったりしました(EVO2013はEVOからの手続きがきちんと行われてなかったという理由だったと後に明かされました、その結果としてきちんと話し合いのうえ許諾を得た公認大会が生まれています)。
何度も言いますが、コミュニティは公式から金銭的サポートを得たいわけでも、金儲けをしたいわけでもないです。好きなゲームを遊び続けたいだけです。最前線で動いている人は何度も任天堂と直接話したり、実際に働いている友人もたくさんいます。その話し合いの中でコミュニティが大きくなる中でできる限りの譲歩をしてきています。ですが今回のように突然中止をお願いされるが繰り返されています。
またなぜここまでオンラインにこだわっているかというと…
コロナが日本よりもものすごく深刻な状況にある海外にとってオンラインでの対戦や大会の存在はコミュニティの存続に非常に重要なものです、選手に目標や目的を与えるからです。長い歴史の中で何も行われていない空白の時間は確実にそのコミュニティを消滅させるのを知っているからです。(実際にそれによって消滅した別のコミュニティがありますし、日本のスマブラDXは一度消滅したので小さいと言われたりしています、本当に仕事も失い外出もままならない中で、人とのコミュニケーションツールとしてのスマブラDXは精神的に多くの人を救いました。作者に多くの声が集まっているそうです)
スリッピーはたった1人の開発者がよりラグの少ないオンラインのスマブラDXを作るために仕事をやめて何ヶ月も時間とお金を捧げて作っています(実は未完成で現在も作成中)。もちろん違法にならないように気を付けて作成されています。
海外のコミュニティもできる限り合法な方向性を探って来た事を知って頂きたいです、悪意を持って活動していないです。modの進化は基本的にコントローラー毎の不具合の修正、より快適な対戦を目的としたものが中心です。よりコストがかかってしまうが外部機器として作成し、販売せずに配布したりと出来る限り合法になるように努力しています。またパートナー大会はコントローラーの修正modを使って行われています。
好きなゲームをし続けた結果として、コミュニティは大きくなりました、大きくなったら果たさないといけないことがあります、それをお金や時間をかけてでも解決してきました。今までもこれからも変わらないスタンスを続けています。7年ぶりに大きい問題が発生しました、現在コミュニティは真摯に向き合って解決に向けて団結しています。
最後に
かなり長くなってしまいましたが、なんとなく背景が理解出来たらうれしいです。筆者は別にこれを読んで…賛同してくれ!!!とは思ってないっす。正直やり過ぎてる奴も居るし、DXを語って好き放題してる奴もたくさんいます(過激発言してるから勘弁して欲しい、第三者からみたら騒いでる奴みんなDX勢なんだろうって見えますしね)
特に日本で誤解や勘違いしている人が多かったので、なんとなく説明したいなぁと思って書きました。あんまりいい説明文ではなかっと思いますが…もしふーんそうだったんだねぇ…って思ったら幸いです。
知らないままで終わってほしくないくらいスマブラDXは面白いコミュニティなので…
13年間そいつらしか大会で優勝していない選ばれし5人の神とか…みんなが雑魚キャラクターと呼んでいたキャラクターの評価をひっくり返し強いと証明した選手達だったり…嫌われすぎてカニを投げつけられた悲しい過去と戦う世界最強チャンピオンとか…たくさん変な話があります
本日はスマブラDXの誕生日です。筆者もまたスマブラDXが好きです。筆者はこれからもオフラインで大会を開いていくつもりです。そのためであれば何十万もお金使って大会開き続けたり、重いブラウン管テレビで腰痛めたします。
なんでわざわざそんなことをするかっていうと…ゲームがめちゃめちゃ面白い事、そのゲームで出会ったたくさんの友人がいる事、それで出来上がったコミュニティが無くてはならないものになっていたことが何年も続いている理由です。
変なきっかけとなってしまいましたが…もしこれでスマブラDXに興味を持った方がいましたらいつでも大歓迎ですので、お気軽にお声がけください。
自分の大会を開く信条は『あの日友達と遊んだ楽しい対戦の日々をいつまでも』と『このゲームめちゃめちゃ面白くてやりごたえあるんだけど一番うめぇの誰よ?』だけです。日本も海外も悪意を持っていないことが伝われば何よりです。
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