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#東京 #立憲民主党 #阿久津幸彦さん面会ルポ

面会日:2021年10月8日 10:30~11:30
担当:徳田悠希、内藤百合子、高橋悠太、中村涼香、本間のどか(オンライン)
ルポ作成者:内藤百合子

議員会館にて、立憲民主党衆院議員(東北比例代表)の阿久津幸彦さんと面会しました。 議員ご本人との面会は5回目。今回は私たちの活動が波及して阿久津さんの方から是非お会いしたいというお声をいただき面会が実現しました。

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阿久津さんの回答

① 核兵器の廃絶を目指すべきだとお考えですか?

もちろん廃絶すべきだと考える。
日本は唯一の戦争被爆国。これまでも核兵器がない社会を世界に向けて訴えてきた。広島・長崎中心に多くの被爆者、犠牲者とその家族がいて、その方々中心に核兵器廃絶のメッセージを出してきた。国民の総意として意思表示をするべき時期にきた

② 今年の1月22日に核兵器禁止条約が発効しましたが、議員個人として、核兵器禁止条約に賛同していますか?

賛同する。
議員個人としてという注釈付きであれば補足説明はいらないが、党内では核の傘の下にいる一方で核兵器禁止条約に調印することは自己矛盾するのではないかという考えの人もいる。外交とは継続性があるもので急には変えきれないということも含めて、慎重になる仲間がいるのだ。
ただ自分は衆議院外務委員会野党筆頭理事、外交責任者を務めている。その立場から全体を見ても、個人としては核兵器禁止条約に賛同していいとほとんどの人が思っていると思う。
また1月22日の禁止条約発効によってその流れは大きく前進したとも思う

③ 現在日本政府は、核兵器禁止条約に署名しない意向を表明していますが、日本は核兵器禁止条約を批准すべきだと思いますか?

批准に向かっていくべき。

④どのような条件のもとならば、日本は核兵器禁止条約に署名・批准することができるとお考えですか?また、署名・批准に至らない障壁となっていることはなんですか。

核兵器禁止条約に参加することがゴールではない。核保有しないということを進めなければならない。具体的には今はNPTが停滞してしまっているが、数を減らすという点では強力な効果を発揮したこともあった。現在、中小国を筆頭に、核を持たないと攻撃されてしまうという理由から核拡散してしまっている。その恐怖を取り除く努力をパッケージとして行う必要がある。核兵器を持たないような流れを作っていくべき。そしてその努力の中心の役割を日本がやるべきである

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核抑止と核兵器禁止条約との関係性

徳田)核の傘・核抑止と核兵器禁止条約との関係はどう捉えているか?

核兵器禁止条約については個々の国に判断の権利が与えられている。特に戦争被爆国という重大な立場である日本は、国連で批准が行われた条約であるため、もう一歩進むべき。
日本だけでなく複数国に関わる問題だから、核の傘から出るということは時間をかけて関係改善に向けていけば良い、急いで結論を出す必要はない。まずは自分の国の意思を表示することが先

徳田)日本が核兵器禁止条約を批准することの意義は?

これまで署名しない言い訳として、「橋渡し役」を担うということを言ってきた。日本は唯一の被爆国として、米国との同盟国として橋渡しをやるために条約に署名してこなかったと言ってきたが、国連で条約が採択された以上、日本はさらに一歩進む必要がある。
立憲民主党はオブザーバー参加をまず掲げているが、その先に条約の参加・批准があると思う。それをなんとか実現するために、自分は党内でもますます一生懸命やっていくつもりだ。

徳田)橋渡しという言葉や政府の言動について理事の立場からどのように現状を捉えているか?

自分だけ核の傘に守ってもらいながら、言葉の上で核兵器廃絶を訴えても説得力がないと思う。世界の国々が戦争被爆国ではないのに積極的に動いて条約の発効にまで至った。アメリカとの話し合いは必要だろうが、でも日本がはじめに飛び込みます、条約に参加します、まずオブザーバー参加からやります、と言って初めて橋渡し役に意味が出てくると思う。まずはオブザーバー参加、そして批准に向けて強烈に頑張りたいと思う。

内藤)頑張りたいとおっしゃっていたが、具体的に党内でやられていることやこれからやりたいことは?

党の選挙の公約の1つににオブザーバーという文言が入ったことが半歩前進。この意味合いを選挙を通しても説明して行くことが大事で、それが今後まずオブザーバー参加のあとに、条約批准へと進んでいくべきという被爆者の方の言葉に応える行動になると思う。

徳田)アメリカや他国との関係という言葉が先ほどからあるが、条約に参加するに当たってどのように説得することができるか?

理想に走りすぎるのはよくないが、最終的にはアメリカも核兵器を持たないようになる。日本も核の傘から出る。その時世界は無政府状態なのではなく、核兵器を持つメリットがないという共通認識が世界にできる、それが最終段階だと思う。そこに向けて、世界的なルールの中で条件を厳しくしていく、核をこれまで保有していない国が簡単に保有できないようにする、北朝鮮やイランなどがIAEAの査察をきちんと受ける、IAEAの公的な信用を高める。これらをパッケージとして一緒に進めて行くことが必要である。
核兵器禁止条約の署名がゴールではない、核廃絶がゴールだということがポイントである。

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NPTとの関係について

内藤)政府は、「核廃絶というゴールは共有している、その上でNPTを進める」と言うがそこに対してどう戦っていくか?

立憲民主党が政権を取らなければ変えることはできないと思うが、党としてまずはオブザーバー参加して、条約の効果などを検証し自らの立場を明確にするところから始まると思う。

本間)外務省・政府の説明について、NPTを軸に進めていくべきという説明が多いがそれを見てどう考えるか?核兵器禁止条約とどういう形で進めていくか?

ゴールに関しては共有しているだろう、問題はどこからスタートするか。こちらもNPTを否定しているわけではない。NPTを軸にしながらも、世界の情勢がだんだんと変わってきている。それを受けて核兵器禁止条約にオブザーバー参加を表明することで、”2枚看板”になり、少しずつ前進するのだと思う。その先にNPTと”両輪”で核保有国・非保有国ともに動いていくようになると考える。それで日本が橋渡しができるようになるのだと思う。
外務省もNPTだけではいけないと思っていて、”軸”として考えているはずだろう。そこからまずオブザーバー参加をして一歩踏み出し、核兵器禁止条約を全面に押し出せるように頑張りたいと思っている

党内の変化・日本の姿勢

高橋)この1年の間で党内の核兵器禁止条約に対する姿勢も大きく変化してきただろう、その変化は?また発効を受けてどのような姿勢になった?

今は中間地点にあると思う。自分は旗振り役として半歩進んでいると自認している。慎重な議員も反対しているわけではない。
これが逆行する懸念は核拡散の状況があると思う。北朝鮮の振る舞い(増やす、あたかも持っているかのように振る舞うなど)などに対して、それが無駄であるという意識を広める必要があり、そのための動きが核兵器禁止条約の批准までのムーブメントだと思う。日本のオブザーバー参加が他国の批准につながると思う。そうやって少しずつ進めていくことが必要。
党内ではいうまでもなく大きな変化が起きている

高橋)日本のオブザーバー参加が他国の批准につながると思うとおっしゃっていたが、今の日本の姿勢は世界にどのような影響を与えているか?

核兵器禁止条約を無視しているわけではないと思う。ただこれまでの国会答弁を打ち破るのには、勇気や条件が整っていないということなのだろう。
これを変えるためにはまず、与野党が接近する国会の状況を作っていくこと、つまり勢力が拮抗する状況を作ることが必要。そして議員の構成を変えていく、つまり女性と若い議員を増やしていくことが必要。これらが大きな刺激となりムーブメントを広げる大きな要因になると思う。

高橋)政治が決断すれば状況は変えられる。決断に対する決意を。

公約にオブザーバー参加は入った、次に政権交代したら公約を実行していく。アメリカなどへの状況説明などもしていく。これらは大変なことだが、着手していくことこそがその決断の第一歩。

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政治と市民の対話について

高橋)条約に非常に前向きだと感じる。どこにそのモチベーションがあるのか?

3.11が私の契機。当時内閣府の大臣政務官として3月14日からのべ半年被災地を回り、非常に多くの方からの話を聞いた。災害は近くにいた人皆に襲いかかるわけだが、それによってより深刻な被害を受け、長期にわたってその影響を受ける人とは相対的に弱い立場の人である。男性⇆女性、大人⇆子ども、貧困のような。そういう視点が、核兵器を見つめる視座でもある。

高橋)原発事故が起きれば自らの判断でその被害から逃れられない。核兵器を保有していれば知らないうちに加害者になることもある。市民は議員を選出するが政策を決められない。国会議員としてどういう役割があると思うか

発信することだと思っている。今日はいつも自分が思っているが発信できていないことを引き出してもらった、それをメディアの人も含めて発信してくれる。それを通して若い人が参画してみようという気になったり、発信が世界中に広がる、思わぬ人からいいねがついたりする。
ムーブメントを起こそうとする国会議員がいるのではないかということが伝わる。これが海外まで広がっていったら、日本の印象が変わるということになる。

中村)この活動もだが、ムーブメントが生まれ若い世代が声を上げている中で、今後市民と政治家のコミュニケーションについて、海外との比較も含めて、日本のこの点をどう見ているか?今後どうしていきたいか?

過去によくやっていたのがタウンミーティング。アメリカにいた時に聞いたもので、アメリカでは本当に頻繁にやっている。学校の教室に昼休みに議員が来る、そこで子どもや先生も混じって一緒に話す。市民の本当の想いを伝えてくれる場なのだ。
今は街頭演説の中で”お困りごと相談”、質問や要望を受ける。そこで意見のやりとりをしている、準タウンミーティングようなものだ。ただ街頭でやると多少感情的になるからやっぱり教室のようなところで、他の人の意見を聞きながらできることで、良い対話ができる気がする。Zoom参加ももう少しでできると思う。

中村)核兵器禁止条約に関しては賛同世論調査で7割、議員ウォッチで3割弱。この乖離をどう捉えるか?

迷う政策決定はたくさんあるが、条約への参加、賛同はそんなに迷っていない。だからやっぱり議員の構成を変えていかなくてはならないのだと思う。国民が考えていることと議員の間に乖離があるが、主権者は国民だ。国民の意見が議員の側に反映されるように議員を入れ替える、議員が考え方を柔軟にするという2つの意味で議員を変えていかなくてはならないと思う。

高橋)議員の方の考え方というのはどうしたら柔軟になる?

議員というのは自分がどこの位置にいるかを把握する能力は高い。だから全体が変わっていくのを知れば、自分の位置を見て態度を変える可能性が上がる。また若者がこの問題を真正面に捉え、発信・拡散すると、若い議員にも触れていく。若い議員の方が傾向として賛同すると思う。このプロジェクトも大きな意味がある。

ICAN議員誓約

最後に、「自国の核兵器禁止条約参加のために努力する」旨を宣言する「ICAN議員誓約」にサインしてくださいました!

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議員とコミュニケーションを取るのに有効なことは?と質問した時に、

「今日はとても刺激を受けている。質問されることを通して言語化して自分を見せることができたと思う。だからこういう形でやっていけば影響を与えられる。議員は色々な意見を聞く。だからこの広がりを大きくしていくことが大事。」

という力強いお言葉をいただきました。

核兵器の問題に関して、人権の問題なども含めた多角的な視点から、ご自身の言葉で語ることのできる数少ない議員の方だと感じました。

また市民との対話、そしてそれを政治の場に反映することに関してもしっかりとしたお考えをお持ちな方でした。

お忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

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*先日KNOW NUKES TOKYOが編集し外務省に提出した「被爆国日本のU25による提言書」も手渡しました。

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