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Apple CEOの秘密兵器、「トランプに直言」

CEO自らトランプと直接交渉

WSJによるとAppleの最高経営責任者のティムクック氏は、中国の貿易戦争問題が激しさを増していた8月ごろに大統領上級顧問でトランプが義父でもあるジャレッド・クシュナーに連絡し、トランプ大統領との間の電話会談を手配してもらったという。

ティムクック氏はこのクシュナー氏が取り次いだ電話会談で、中国にたいする貿易関税によってiPhoneの価格をおし上げ、サムスンのようなAppleのライバルとの間の競争力を損なう可能性について、大統領に直言する機会を得たという。


その電話会談のあと数日以内に、トランプ政権は、クリスマス商戦前に消費者に負担をかけたくないという理由で、iPhoneを含む電子製品の関税計画を遅らせることを発表した。WSJは政府関係者の話としてクック氏からの電話は政権の決定に大きな影響を与えたと伝えている。

リベラルよりのクック氏は多くの政治的問題でトランプとはとても馬が愛想にもないのだが、アップルの利益を守るためにコンサルタントやロビイストを介してではなくCEO自らがトランプと親密な関係を築くことに腐心したという。クック氏はトランプと家族ぐるみの関係をもち、ニュージャージー州にあるトランプ氏のゴルフクラブで過去2年間、夏に一緒に食事をとったという。またクック氏は政権の労働力政策委員会の顧問を務めるなど、トランプ政権にも協力している。

トランプを動かすには「身内さ」が最も重要

政権に身内を登用しまくるトランプ氏の性格を見ても分かる通り、トランプは身近な人を優遇する。クック氏はどちらかというとリベラルな同社の従業員や同社製品の愛好者の怒りを買わないように慎重にトランプの身近な存在になろうとしているのだ。そうした取り組みが成功しているのはトランプの発言からも見て取れる。WSJによるとトランプはクック氏のことを「素晴らしい経営者だ」 「他の人は高給な政治コンサルタントを雇うが、ティムクックはドナルドトランプに直接電話するんだ。」と評価したという。発言からはCEOが自ら赴いて、直接トップディールで交渉する「直言スタイル」を好むことがうかがわれる。Center for Responsive Politicsが集計する2017年以降のAppleのロビー活動費は、,1800万ドルでこれはAmazonやAlphabet が費やした金額の半分以下。ロビー活動費を費やすより、トランプを立ててCEO自らトップディールに臨んだ方が効果的というわけだ。

トランプ寄りと見られるリスクも


このようなCEO自らの積極的関与は、一般的にはリスクが高い。今までトランプ政権に擦り寄ろうとした多くのCEOが消費者や従業員から激しい反発にあってきた。例えばアンダーアーマーCEOのケビン・プランク氏は、トランプ擁護をし大炎上した。


TeslaCEOのElon Musk氏も政策上の不一致でトランプ政権の経済諮問委員会を辞任している。またUberの前CEOトラビス・カラニック氏も同じ委員会のメンバーだったが、#deleteuberなどの反発によって辞任に追い込まれた。各社、トランプ政権との距離の問題は非常にセンシティブで綱渡りの感覚が要求され、用意なことではない。しかしApple CEOのクック氏はこの問題に関して絶妙なバランス感覚で対応しているといえそうだ。


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