コロナ時代の今こそ知っておきたいチフスメアリーの逸話
1900年代初頭のニューヨークで、裕福な家庭の料理人で、産科病院のコックでもあったメアリー・マロンの話をご存知だろうか?感染症の研究において歴史的にとても有名な事例で、大きな影響を与えた。彼女がある雇用主から別の雇用主に移っていくうちに、腸チフスが発生し、その後、10人に1人の割合で死に至る脅威の感染症が流行した。後に公衆衛生当局は、彼女がこの病気の原因菌であるサルモネラ・チフスの感染者であることをつきとめた。新聞では「チフス・メアリー」と呼ばれていたが(人権…)、彼女自身がいたって健康であったことから、チフス菌を保有していても症状を示さずに感染してしまう可能性があることがわかった。
現在では疫学者がこの現象を「サイレント・トランスミッション」と呼んでいます。それ以来、麻疹、インフルエンザ、エイズなど、多くの病気でこのようなサイレント・トランスミッションが観察されています。そして現在猛威を振るっている新型コロナウイルス(covid-19)のパンデミックがこれほど強い感染力がある理由もこの「サイレント・トランスミッション」が大きな原因だとされています。現在までの医学的証拠を分析すると、このウイルスが引き起こす感染症の拡大の大部分が、症状がまだ現れていない人、チフスメアリーのように症状が全く現れない人が多くの人と接触することで起きているとされています。だからこそ各国はコロナパンデミックを抑制するために「サイレント・トランスミッション」を抑制する方法としてソーシャルディスタンスを保つことに躍起になっているのです。というわけでそんな話効いたことなかったぞという方は以下の記事をぜひ一読されることをお勧めします。
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