米大学、SATの義務化廃止が相次ぐ

アイビーリーグ2校がSAT・ACTの義務化廃止へ

アメリカの大学は、入学希望者に対してSATやACT(日本のセンター試験のようなものなどに代表される「標準化試験」を受験しスコアの提出をもとめてきた。しかし今、米国ではSATなどのテスト)結果を入学の必須要件としない大学が増えている。SAT・ACTスコア不要の大学は多くはカレッジスクールが中心となるが、SATやACTで上位1パーセントに当たるスコアが必要とされるようなアイビーリーグ2校が、大多数の学生を対象に入学のためのテストスコアを不要とするとした決定を下した。

そして、カリフォルニア大学の9つのキャンパスは、入学時にテストスコアを引き続き使用するかどうか現在議論中だという。非営利団体のFairTestによると、2018年9月から2019年9月までに学士号を授与する50近くの認定カレッジおよび大学は、SATまたはACTスコアの入学要件を撤廃すると発表したという。非営利団体によると、これにより標準化テスト不要とする認定校の数は1,050に達し、全体の約40%になるという。

アメリカで雪崩を打ったように共通入学テストを必須から外す動きがでている原因としては公平性の問題がある。


標準テストにはバイアスがある

低所得層やマイノリティーの学生にとって、これらのテストの受験料が高過ぎるために受けられず、機会均等の原則に反しているという批判がある。また仮に受験できたとしてもACTとSATのスコアは、家族の収入、母親の教育レベル、人種に強く関連していることは様々な研究で一貫して報告されている。これに対して ACTを運営するCollege BoardとACT Inc.は、テストが大学での成功を予測するものであると反論するが、別の方法でそのことを示すことができるという研究もある。

また今年になって連邦政府の調査により、SATスコアが改ざんされていた事件が明らかになった。SATスコアを改ざんした容疑者には裕福な家庭のものもいた。

こうした標準化テストの問題点が指摘されているにも関わらず、SATとACTのスコアばかりがいつしか過度に重要視され始めた。アメリカの大学ではSATもACTも提出物の一部にすぎないが、ほかの提出資料を次第に無視するようになった。その揺り戻しが今起きているのだ。

https://www.washingtonpost.com/education/2019/10/18/record-number-colleges-drop-satact-admissions-requirement-amid-growing-disenchantment-with-standardized-tests/

追記

University of Missouri Kansas City(ミズーリ大学カンザスシティ校)もSAT・ACTの義務化廃止を決定した


 #SAT #試験 #民間試験 #米国大学



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