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The Second World ~世界のつくりかた~(セカワー) 感想と考察と妄想

はじめに

The Second World ~世界のつくりかた~ とは?

 The Second World ~世界のつくりかた~ (以下、セカワー)とは、ホロライブ所属のVTuber「宝鐘マリン」さんが中学生の頃から作成していた、RPGツクール製のRPGです。(戦闘やシステムなど、ゲーム部分は当時の友人が作られたとのこと)
 本人は黒歴史と称してしばらく封印していたものの、ここ最近の配信で解放され、その全貌が明かされました。

↑ マリン船長本人によるプレイ配信。2章後半までのプレイとなっており、この時点では主にクオリティの高いイラストや、「マリン構文」なる独特な、いわゆる「痛い」言い回しが注目されていました。
 ラストの、RPGツクールでやりがちなミスを詰め込んだ調整に、マリン船長の不慣れなRPGスキルが噛み合った地獄のコウモリ戦は必見。

↑ その後、同じくホロライブの「博衣こより」さんがマリン船長の許可を取って5章までぶっ通しでプレイした配信。9時間半もの超長時間に渡って気合の入ったフルボイス演技を続けたこよりさんの熱意と耐久力。そして見事なRPGのプレイングにバッドエンド回避力に震撼させられました。

 この配信で、本作の魅力的なキャラクター達や、特に3章~5章の感動的なストーリーに多くの視聴者が心を掴まれ、本作をただの「黒歴史」に留まらない名作として数多くのファンが生まれました。

↑ そしてこよりさんとマリン船長のコラボとなった最終回。本作が未完であることは事前に伝えられており、謎や伏線が投げっぱなしのまま強制終了してしまうのでは、という不安を抱いて数万人のセカワーファンは見守っていましたが……

 実際はその真逆。確かに未完ではあったものの、6章では本作の作り込まれた世界観が説明され、これまでの謎や伏線の多くが解決。物語も佳境を迎えたところで……

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↑ 絶望の未完END。あまりにいい所で終わりを迎えてしまい、最初は「黒歴史」と嗤っていたリスナーたちも続きを熱望する事態に。実際、この時はこよりさんと同じくショックに叫んだよね。

 この後はマリン船長がこよりさんのプレイでは明かされなかった多数のバッドエンドや伏線の一部を紹介し、本作の更なる作り込みにこよりさんとリスナーを驚かせました。
 残念ながら船長は本作の続きは作らないと明言しているものの、ホロライブメンバー・ガチ声優の双方による本作の声優オーディション企画を予定しているとの展望を明かしました。
 今後もしばらくセカワーから目が離せそうにありません。

 以下、セカワーについての個人的な感想・考察・妄想をだらだらと書き連ねるだけの記事です。本作のネタバレを含むので、気になる方は先に上の配信を見ましょう。こよりさんの配信を2本見れば全部網羅できます。合計11時間半あるけど。

感想

 本作が「黒歴史」ネタに留まらない評価を得て、私もこんな記事を書くに至ったのは本作に魅力を感じ方からに他なりません。「中学生の頃にほぼ一人でこれだけ作れたら凄いじゃん」ではなく、ガチで本作に感動し、感銘を受けたのです。
 その魅力はなんといっても個性的なキャラクター達、そして真っ直ぐ感動的なストーリーや台詞にあります。

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 本作のキャラクター達について。マリン船長曰く「ひぐらしやテイルズに影響を受けまくっている」とのことですが、メインキャラクターの主人公セフォー、聖女ナリリシャ、闘士ディザ、謎の少年グアット、斧戦士リアンナ、その兄トール、そして大道芸人のロリっ子ティーナ。
 彼らはいずれも非常にキャラが立っており、そして随所に日常パートを挟むことでキャラの魅力を存分に発揮させています。キャラの立たせ方は大いに参考になるくらいの描きっぷり。

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↑ 3章で加入するティーナちゃん。めっちゃかわいい。恰好がえっち。3章はシナリオがマジで良くて、彼女の可愛さと共にリスナーをセカワーの魅力に一気に惹き込みました。

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 そしてそのシナリオですが、とっても素直で王道なんですよね。特に3章~5章のキャラ掘り下げエピソードは、各キャラが抱える悩みを仲間たちと解決していく、まさしく王道ストーリー。キャラ同士の暖かいやり取りで事態を解決させる展開が多く、真っ直ぐな台詞が感動を誘います。

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↑ 4章最大の見どころ、仲間のピンチに全員集合してボス戦!という王道中の王道シーン。文章で書いてしまえばそれだけなんですが、視聴中は感極まってガチ泣きしそうになりました。

 そして6章では、これまでタイトルや物語の随所で匂わせられた「ファーストワールド」の謎が明かされ、この世界の真相が紐解かれていきました。セフォー(ヴィーリラ)は、グアットは何者なのか。セフォーという名前がどのような意味を持つか。(これは船長本人の口からですが)
 まさしく解答編といった内容であり、この真相を知ってから改めてそれまでの章を見ると綺麗に伏線が貼られていたことが分かります。
(5章のグアットとディザの会話とか)

 それ以外にも、30分の自由行動といった独自要素や、ギリギリながら突破できるように調整された戦闘バランスなど、魅力を挙げればキリがありませんね。

考察

儀式とは結局何なのか?

 ナリリシャさんが13連敗の女と弄られる原因である、例の儀式。結局6章になってもそれが何なのか、儀式に成功すると何が起きるのかは明言されずに終わってしまいました。しかし明かされた情報でなんとなく推測することはできます。

 まず、儀式を失敗し続けるとどうなるかは作中で明かされています。創世者であるナリリシャの力が失われると世界から緑が失われ、魔物が増える。
 今度の儀式に失敗すれば、6章でナリリシャが見た夢?幻覚?がいつか現実のものになってしまうかと思われます。

 では、儀式に成功するとどうなるのか。上記の逆であれば、緑が復活し、魔物が消える。これは作中でも明言されています。
 魔物について6章で、白ナリリシャが生んだ「負の感情」によって生まれたと説明されています。
 また、序盤に現代のナリリシャが服の色について長々と語るシーンがありますが、青い服が未熟な状態だとしたら、それに対する「成熟」した状態、つまりあるべき姿は白い服のナリリシャだと捉えられます。

 このことから儀式は、現代のナリリシャを白ナリリシャに変えて(もしくはかつての白ナリリシャと融合などをして)、負の感情を消し去ることによって魔物を消す。もしくは、かつて白ナリリシャが行ったように世界を消して、また新たな世界を作る。あるいは、ファーストワールドに負の感情が生まれる前の状態に戻す。

 いずれにせよ、「リセット」の機能を果たすのではないでしょうか。
(負の感情を消すだけでは魔物は消えるけど緑は蘇らないので、やり直しの方が濃厚か。白ナリリシャの力を得ればどちらも果たすことができるので、儀式はあくまで白ナリリシャの力を得るための過程にすぎないのかもしれません)

 しかし、白ナリリシャもリセットには否定的に見られます。ファーストワールド(ヴィーリラ)を消してしまった(殺してしまったこと)のを後悔していますし、負の感情無き世界は現代でも否定しています。
(本作のストーリーはいずれも仲間達が負の感情を持ちながらもそれと向き合い、乗り越える話であり、負の感情を丸ごと消し去ってしまうのは違う、というメッセージ性は十分に伝わってきます)

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↑ 最序盤の、ナリリシャが13連敗の言い訳をしているようにしか見えないシーンですが、魔物を消すこと = 負の感情を消すことだったら、これも納得が行きますね。
 ちなみに、この直前に出てくる「創世者様」とは白ナリリシャのことでしょう。白ナリリシャの記憶の残滓が、セフォーに会いに行くようナリリシャに命令したのだと思われます。最後まで見てから最序盤で新たな発見があるという感動。

妄想

物語はどう完結するのか

 ここからは完全にただの妄想。

 ついに来た14回目の儀式。仲間たちの支え、そして夢の中で現れた白ナリリシャの存在を思い出したこともあって儀式成功は目前となります。
 しかし、ナリリシャが白ナリリシャとしての力を取り戻すとともに、セフォーはヴィーリラとしての記憶を取り戻し、この儀式の目的を仲間達に話します。

 儀式が成功すれば世界から負の感情が消えて魔物が消え、緑を蘇らせることができます。
 しかしそれは世界をやり直すリセット行為に他ならない。何より、負の感情が消えればそれによって生まれたカリゴであるグアットも消えてしまう。
 それは絶対に許されない、と仲間達も力を合わせてナリリシャの儀式を阻止します。

 すると、中途半端な形で儀式を阻止したせいで、かつての白ナリリシャが分離し、実体化。白ナリリシャもまたリセットに否定的ではあるものの、このままでは世界は再び負の感情で満ち、ナリリシャが悪夢で見た地獄の世界と化してしまう。

 そうはならない、と反発する仲間達。ファーストワールドの時と異なり、今ではセフォー達が負の感情と戦っています。セフォー達以外の人間も、負の感情と向き合い、戦わなくちゃいけない。セフォー達は人間の可能性に賭けることにしたのです。
 そこで、「では人間の力を示してみよ」と白ナリリシャが立ちはだかります。ラスボスは創世の聖女・白ナリリシャです。

 見事白ナリリシャに勝利した面々。流石の白ナリリシャも引き下がり、静かにこの世界の行く末を見届けると誓います。
 しかしこのままでは魔物はともかく、緑が枯れてしまう。
 そこで、「世界そのもの」であるセフォーが、ナリリシャと共に世界に力を与える新たな儀式を行います。
 それは、世界を「白」紙に戻す儀式では無く、「青」い空を取り戻すための儀式。儀式は無事成功し、世界に緑が蘇ってめでたしめでたし。

 1年後、再び儀式の日。パーティメンバーはそれぞれ住んでいた街に戻っており、各地で人間たちが負の感情と向き合い、戦っていることが描写されます。祈りの街の弱腰だった守衛も、今では頑張って魔物と戦っています。

 そして、仲間たちは今年の儀式の成功、そしてナリリシャの誕生日を祝うため、再びかつての教会に集まります。
 かつてのように皆で作った料理を囲み、セフォーから衝撃の発表が。

「俺たち、結婚することにしたんだ」

その相手は、もちろん……

ティーナである。

おわり。
ちゃんちゃん。


 いや、どう足掻いてもラストはセフォーとナリリシャの話になるだろうし、好感度要素を上手くストーリーに組み込むのが難しいという当時のマリン船長の気持ちが良く分かります。
 それこそ、こよりさんが提案したように、色々すっ飛ばして攻略対象キャラと結ばれてENDでいいと思うのですが……それだとディザ×グアットが、という理由で頓挫したのはなんとも船長らしくて面白いですね。

 続きは作られないと明言されているので、もうこのような形で妄想することしかできませんが、私個人の感想としては「どのような形であれ、完結して欲しい」と思っています。
 続きを作るのがマリン船長でなかったとしても、です。

 ともかく、まずは声優オーディション。これも色々なハードルがあると思われるので確定ではありませんが、楽しみに待っていましょう。まだまだセカワーを楽しめそうです。


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