鈴鹿の竜ヶ岳。1粒50分。上り3回、下りも3回帰りたくなったけどまた歩きたくなる不思議はあれが原因だった。
もう二度と来るもんか、って思いながらだいたい下っています。その前に予兆というのは当然あって上り、つまり行きでは3回程
「もう帰りたい」
ってなります。歩きはじめて初めての急登で1回、樹林帯が終わって岩稜帯に差し掛かるとき1回、そして頂上付近の急登を前に1回、という感じです。山によって当然差はありますがだいたいこんな感じ。
この間登った鈴鹿の竜ヶ岳がまさにそうでした。いや、それ以上でした。
「遠足尾根」という、いかにも牧歌的でゆるい感じの初心者向け登山道をチョイスしたのは、名前からしてこれなら俺でも行けるかも、と前々から気になっていたからです。
歩いた方々のブログなどを読んでみると
「尾根歩きが快適で〜」
とか
「久しぶりの登山でリハビリのために〜」
とか書いてあるので、真に受けてしまったんです。
結果からいうとまぁ無事登頂できました。ほぼ標準タイム通りです。これが早いかといえばあまり早くはなくむしろ遅く、他の方々を見ているとおそらく僕の倍くらいのスピード、つまり標準タイムの半分くらいで登頂している模様。
ただ、遠足尾根のハイライトに出るまでがきつかった。登っている時というのはほとんどご飯の類いを食べないのですが、この日はよっこらしょ、と座りこんでしまう位、なんだかきつかった。
「もう今日はこのおにぎりを食べたら帰ろう」
「快適な尾根歩きが楽しめる」と言われているところに出たところで目の前には頂上も見えてたのですが、この時はもう何がなんでも帰ってやるんだ、俺は。下山するんだ、と。
引き返すつもりだから、それこそもうハイキングの終わりの気持ちで、薄曇りの中景色を眺めながらおにぎり食べました。もう帰るんだと思いながら食べるおにぎりは喉のとおりもよくて、とても美味しかった。その後に飲んだ麦茶はまるでビール。あのきつさは一体なんだったんだろう。ずっとこの時間が続けばいいのにって。
予報にあったいっときの小雨が降る気配もなく、遠くからはおそらく映え用の写真
をとりあう若者の笑い声が聞こえてきたりして一息つくと、思うわけですよ。
「またあのきついと感じたところを戻るのはちょっと嫌だな……」
「あの若者のところまで行ってから引き返そうかな」
って。んでそこに着くと、元気な若者を前にUターンするのもなんだか気恥ずかしいし、
「ごめんね〜おじさん足遅いんだけど、がんばって頂上行くよ〜?」
って顔をして先へ進むとガーデン的な小道がきれいで、さらに引き込まれてしまい、というのを繰り返しながら足は遅いながらも結局登頂してしまうわけです。
………
不思議だったんですよね。まぁ帰りたくなるのは当然としてどうして歩くのを止めてしまうほどにあの日は帰りたくなったのかって。今まではそういうことはなかったのに。
チョコ。
この日はチョコがなかったんです。忘れたのではなく、正しくはカバンにしっかり入れてあったのですが荷物に紛れて引き上げられなかった。
今思うに、おそらくハンガーノックに近い状態であったのではないかと察するわけです。
いつもならチョコを1粒2粒口に放りながら歩きます。今回はそれが出来なかった。
気力が削がれるというは、エネルギー不足で頭が回ってないことの証ではないかと今振り返っているのですが、帰りはまぁ怪我なく下山できたのできっと上りではそういう状況だったのでしょう。
エネルギーを補充して頂上は眺めよく頭が冴えたら思うわけです。これまでなかった座り込みを一人反省しつつ、やっぱり俺今日疲れてるのかなって。
「よし、早く帰ろう。最短距離で帰ろう」
行きとは違う最短登山道をチョイスしたのが間違いだった。
「急がば回れ」
とは、初心者の僕にある言葉なのだと、感じた下山だったのです。(続く)