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大切にしているのは、安全安心なおいしいものをつくること。(株)セブンハンドレッドファームの事業を紹介します。

わたしたちは、栃木、東京、名古屋、大阪を拠点に様々な事業を展開するグループ企業です。そのうちのひとつ(株)セブンハンドレッドファームはゴルフ場の片隅から農業を始めた株式会社で、現在は栃木県さくら市を拠点にイチゴやコメの栽培を行っています。

今回は、セブンハンドレッドファームが行っている事業内容や設立背景、どのようなことを目指しているかをご紹介します。

地域と共に成長を目指す(株)セブンハンドレッドファーム

セブンハンドレッドファームは、栃木県さくら市喜連川を拠点に「第一次産業」のひとつである農業に取り組む会社です。

同市にあるゴルフ場「セブンハンドレッドクラブ」や温泉宿泊施設「お丸山ホテル」、農産物直売所「菜っ葉館」なども、わたしたちのグループが運営する施設です。セブンハンドレッドファームはそれらと連携して、地域と密接に関わりながら成長していくことを目指しています。

セブンハンドレッドクラブ(写真:太田拓実)
お丸山ホテル
菜っ葉館

現在、セブンハンドレッドファームが手掛けているのは農作物の生産と販売がメインです。育てているのはイチゴとコメの2つ。

イチゴは、6反歩(60アール)の農地に25棟のハウスを建てて生育しています。品種は「とちあいか」をメインに、「とちおとめ」も栽培。「とちあいか」の一部は市の特産品になって欲しいという願いを込めて「さくらベリー」という名前で商標登録し、自社ブランドとして販売しています。

生産したイチゴは、グループが運営する各施設で販売し、ゴルフ場やホテルでは食材としても扱っています。2024年8月時点で、来シーズンに向けての育苗を行っており、同年9月にはハウス内へ定植作業を行います。

育苗中のイチゴの苗

イチゴは昨年度、「とちあいか」の苗だけでは少ない収量しか見込めなかったため、「とちおとめ」も取り入れていましたが、来シーズンからは「とちあいか」のみに切り替え、生産・販売を展開します。さらに首都圏にも販路を拡大し、「さくらベリー」のブランド力を高めていくことを計画しています。

こちらは「さくらベリー」を販売開始した際の記事です。

こちらは、農業に本格参入した当時の新聞記事です。(下野新聞「SOON」)

コメは昨年度試験的に作付けし、今年度は1町5反(1.5ヘクタール)の農地で本格的に栽培を開始しました。9月には稲刈りを行い、収穫したコメは、イチゴと同じくグループのゴルフ場やホテルで食材として提供する予定です。

田植えの様子

来年には新たな挑戦として、イチゴ狩りができる観光農園をオープンします。栃木県ではイチゴ狩りができる施設は数多く存在しますが、「高速道路の出口から車で15分」など、車がないと行きづらい場所にある場合がほとんど。私たちはお客様が電車で行くことができて、気軽に立ち寄れるような観光農園が必要だと考えています。

この他、イチゴを生育するだけでなく、お客様のニーズをかなえるような商品のブランディング、マーケティングを進め、さくら市の地域の皆様はもちろん、県内外から多くの観光客を呼び込むような施策を行っていきます。

ゴルフ場の片隅で小さくスタートした挑戦がきっかけ

セブンハンドレッドファームの始まりは、小さな挑戦でした。2018年にゴルフ場を経営するセブンハンドレッドの社員の「ゴルフ場の広い敷地を使って何かお客様が喜ぶことができないか」という想いから、ゴルフ場の片隅で野菜作りが始まりました。

片隅でつくった野菜を朝に収穫し、ゴルフ場の売店で格安で販売するという取り組みも始めました。これは5年ほど継続し、少しずつお客様との新たなつながりが生まれていきました。

小さく始まった野菜作りは、2023年に当時さくら市が運営していた「菜っ葉館」の指定管理者という形に発展。少しずつ積み重ねた野菜作りや販売といったノウハウを生かす機会をいただきました。

セブンハンドレッドファームも、菜っ葉館も、社員の「やってみたい」という想いの実現を推奨する社風から生まれた挑戦だったのです。

ゴルフ場で栽培された野菜ということで大変好評でした

この小さな挑戦は、さらなる挑戦につながりました。2022年には新たな地域の特産品を生み出そうと、ゴルフ場の新規事業としてイチゴ栽培をスタートしました。

当初は夏の猛暑で苗が全滅してしまうなどの失敗もありましたが、地域の農家さんに支援と指導を仰ぎ、なんとか生育に成功。生育成功後も、引き続き農家さんにご指導いただきつつ、JAが主催するイチゴ生産者が集まる部会にも加入。部会で行われる研修会などにも参加しながら、イチゴ栽培の知見を懸命に学んでいきました。

ありがたいことに、こうした私たちの取り組みに注目していただける機会も増えていきました。今年7月にはテレビ東京の約2分程度のショート番組「FIND!GOOD!FOOD!未来を変える食の冒険」の取材を受け、農業を始めるきっかけから現在までの取り組みや、地域おこしへの想いについて紹介していただきました。取材に際して、イチゴづくりを教えて頂いている農家の斉藤剛さんなどにもご協力いただきました。

インタビューを受ける斉藤さん

2023年には、イチゴに加えてコメの栽培などにも取り組みはじめ、事業を拡大していきました。時を同じくしてセブンハンドレッドから分社化。(株)セブンハンドレッドファームとして歩み始めました。

農業で地域資源を活かし、地域活性化につなげたいという想い

ゴルフ場の片隅で始まった小さな挑戦からスタートしたセブンハンドレッドファーム。そもそも、ゴルフ場を営んでいた会社が農業に本腰を入れていこうとした背景には、地域への強い想いがありました。

きっかけは、セブンハンドレッド代表である小林忠広が公益社団法人栃木県観光物産協会が所管する「とちぎ観光地づくり委員」に選任されたこと。さくら市と連携し、ゴルフ場を積極的に地域のイベントに活用していただいていることや、地域の歴史や文化を守るべく、閉館したホテルを再建し、商工観光との連携を行っていることなどが認められての選任でした。

小林がとちぎ観光地づくり委員会の一員として、栃木県のみならず、商工観光に携わる方々と意見交換をする中で、改めてさくら市や近隣地域にある資源の魅力や可能性に気づくと共に、これまで以上に街づくりや地域振興に対する想いが強まりました。

「地域活性化のためには主要産業である農業が欠かせない」
「地域資源を生かした街づくりで、さくら市や近隣地域をもっと元気にしたい」

こうした想いのもと、ゴルフ場の小さな取り組みとして始まった活動を事業として成長させ、地域に貢献するためにセブンハンドレッドファームを設立しました。

農業を事業として成長させることは、単に経済的な面での地域への貢献に留まりません。
私たちは、農業を通じて持続可能な地域づくりにも取り組みます。持続可能な地域づくりのためには、国や行政だけでなく、個人や事業主、民間企業が主体となって環境に配慮しながら自立した取り組みを継続的に行っていくことが必要です。

日本の多くの地域がそうであるように、さくら市も少子高齢化や後継者不足による農業人口の減少で耕作放棄地が増えていく傾向にあります。農地が管理されなくなると、食料自給率の低下、環境の悪化、防災機能の低下など、様々なリスクが生まれます。こうした地域の課題を解決するためにも、農業は重要な役割を担います。

また、農業が持続し、発展することは、人間にとって価値があるだけではありません。環境保全にも配慮しながら農業を営むことができれば、日本の原風景である美しい景観を守り、人と自然が共生する里山を未来へ継承する仕組みをつくることにもつながります。

美しい里山の風景には、そこにいる生き物たちの様子も含まれます。その風景を残すためには、環境負荷を抑えた農業により、生態系を維持し続けなければなりません。私たちは、未来の子どもたちのために、今ある資源をうまく活用し、循環する仕組みをつくり出して公益性を高めると同時に、循環の大切さを広く伝えていきたいと考えています。

将来を見据え、「食環境」をつくることも重要です。厚生労働省は、人々がより健康的な食生活を送れるよう、人々の食品(食材、料理、食事)へのアクセスと情報へのアクセスの両方を、相互に関連させて整備していくことを「食環境づくり」と表現し、推進しています。

私たちも、地域において食に関わる事業者として、持続可能で健康的な「食環境づくり」に取り組んでいきます。そのために、人々の栄養や自然環境に配慮した商品の開発や供給、食や健康に関する情報提供などを行っていきます。

農業に力を入れることで、グループ全体とお客様がもっと幸せになれると確信して

ゴルフ場の新規事業として生まれた農業に取り組むことで、地域の環境や食を守る新たなビジネスモデルを示していきたいと考えています。そのため、こうした取り組みは、社会貢献活動というわけではなく、私たちのグループの事業を発展させていくためにも非常に重要な活動です。わたしたちは、セブンハンドレッドファームの事業を2つの観点で捉えています。

1つはグループ内での「自産自消」です。これは既存事業であるレストランやホテルなどで提供する料理や社食、社員の日々食事など、グループ内で必要となる食料をグループでつくり、グループで消費していこうというものです。

ゴルフ場のレストランで期間限定で提供しているイチゴの食べ放題

また、外部から仕入れるよりも少ないコストで社食で用いる食材を手配できたり、社員が農産物を安く購入できたりすることで福利厚生の充実にもつながると考えています。食という生きていく上で欠かせない要素を会社で補い、社員が長く健康に働き続けられる環境を整えることも、セブンハンドレッドファームの事業価値であると捉えています。

もう1つは、農業の事業可能性です。

セブンハンドレッドファームでは、農作物の生産だけでなく、製造・加工から販売・流通も手掛ける「第六次産業」に取り組むことを目指しています。第六次産業化を行いながら、地域資源の付加価値を高め、魅力的なブランドをつくっていこうと考えています。

検討しているのは商品開発などに留まりません。魅力的な栃木の観光資源や農産物をアピールしながら、自治体や地域の商工会議所と連携した取り組みを展開し、農業と観光をかけ合わせた観光地づくりを進めていきます。現在、さくら市に住まう方のなかには「観光資源はなにもない」と答える人も少なくありません。私たちが微力ながらいまある資源を活かし、観光地としての魅力も高めることができれば、地域の方々がさくら市の魅力を再発見することにもつながるはず。それは地域の未来を作り出す若年層や子どもたちが地元の良さを知り、誇りを持つことにもつながります。将来にわたって、人々が安心して生活できる地域社会を実現するためにも、魅力的な観光地にしていくことは大切です。

イチゴ狩り体験の様子

また、六次産業化に関わる取り組み以外にも、ゴルフ場のコース整備の技術を生かした園芸分野への参画も進めていきます。ゴルフ場は広大な敷地を有し、その維持や管理を通じて気候と緑の生育を理解し、造形美も追求する園芸のスペシャリストでもあります。園芸サービス業においても事業を展開していくことで、地元の景観整備や美しい借景の維持を地元企業の力でかなえられるようにしていければと考えています。

実は、庭園や花壇を作ったり手入れしたりする園芸サービス業も、第一次産業に含まれています。そのため、私たちはいわゆる農業に「第六次産業」に園芸サービスという「第一次産業」を付加して「第七次産業」が事業の範囲であるという捉え方をしています。セブンハンドレッドファームの名称は、この第七次産業という意味と、もともとの取り組みが始まった会社の社名である「セブンハンドレッド」とを結合させ、名付けました。

「地域の未来を耕す」ために、安全安心なおいしいものをつくり、新しい地域のブランドを生み出す

私たちは、先人達によって培われてきた地域の産業の魅力をより一層強化し、時代の変化や人々の生き方の変化を受け入れ、それに合ったビジネスを展開することで、人々の交流を促し、地域全体の活性化を目指しています。

さらに、ゴルフ場経営やホテル経営で培ってきた自社のリソースを最大限に生かし、農業と融合させることで、今までになかった地域の魅力の創造ができるのではないかと考えています。
セブンハンドレッドファームでは、これまでお伝えしてきた様々な事業を通じて「地域の未来を耕す」ことを目指して事業活動を行っていきます。

「地域の未来を耕す」に、「地域の農業を将来に向けて持続可能なものにする」という意味と、「農業に携わる方を増やしていく、また応援する」と同時に、「農地を耕し、借景を守る」という思いを込めています。

この未来を目指す上で、私たちが日々大切にしていること。

それは、「安全安心なおいしいものをつくること」です。

私たちが考える未来の実現に向けて、安全安心でおいしい農産物を生産することをお約束します。農薬の使用を控えた病害虫対策、育苗、土作りの方法を研究しながら、衛生管理を徹底し、安全性にしっかり配慮します。そして安定した収量を収穫できるよう、日々の生育管理に取り組んでいきます。

さらに、こうした活動を多くの方に知っていただく活動も進めていきます。私たちがどのような工程で、どんなことを考え、何に配慮しながら生産・販売をしているのか。それを、お客様にもわかりやすい形で発信し、安心していただくと共に、新しい地域のブランドを生み出し、地域のファンを増やしていきたいと思います。

安全安心なおいしいものをつくるだけでなく、そのことを知っていただくための活動を進めるのは、良いものをつくるだけでは「地域の未来を耕す」を実現することが難しいと考えているからです。安心安全なおいしいものをつくろうとすれば、それだけ手間ひまがかかり、その分値段も高くなります。価格での勝負になると、海外で大量に生産され、輸入される農産物には勝てません。

しかし、安さには代えられない作り手の想いや、安全性や品質などにこだわる丁寧な仕事を知ってもらうことで、農作物の価値を高めることができます。そして質の高い農作物が手に入りやすくなることは、お客様にとっても喜びとなるはずです。

セブンハンドレッドファームは、まだ立ち上がってから日が浅い会社ですが、「地域の未来を耕す」という実現したい未来に向けて、「安全安心なおいしいものをつくること」を日々大切にしながら、これからも試行錯誤を繰り返していきます。

地域活性化を目指す様々な人と手を取り合い、このさくら市という地域に合ったもっとも良い農業のかたちを探求し続けていきます。今後も、セブンハンドレッドファームとして新たな動きが生まれたときには、随時お伝えしていきます。

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