裁判員制度の裁判員を体験⑧あっという間に評議は始まるの巻

開廷3日目。
裁判長による「何か言い残したことはありますか」との問いかけに
被告人が答える最終弁論をもって閉廷となりました。
たった3日(実質2日半)というのに、なんだかぐったりです。
あい反して、こんな短くていいのかなという気持ちも湧いてきます。

この日の残り時間ともう1日が評議の時間でした。
補充裁判員は評決には参加できませんが、評議は皆で行います。
裁判員の守秘義務はこの評議にかかわることが主になり、どういう議論になったのか、誰が何を主張したのか、などについては語ることはできませんが、評議は和やかかつ活発でした。反対意見も賛成意見も、自分はなぜそう思うのかというところまで含めて、率直に語られていたと思います。
裁判長のファシリテートがよかったのか、メンバーがよかったのか、意見が言いやすい場であったことには感謝するばかりです。

判決を確定させる前には、判決にかかわる「司法による定義」の説明がありました。
まず、何をもって「殺意」と認定するのか。
殺してやる!といった「殺したい意欲・意図」が世間では殺意と認定されているかと思いますが、司法の場での「殺意」とは、“それを行ったら、死ぬと知っていたかどうか”というところで、皆がとまどうことになりました。裁判員制度のwebにも掲載されている例としては、「10階建てのビルの屋上から突き落したら死ぬだろうと思えるけれど、それが5階ならどうか、2階ならどうか」。
ちなみに私は仕事柄、医師と「確実に死なすならここだよね~」という会話をしたこともあり(苦笑)、その話をしつつ、「殺意の認定」については一般常識と違うかも…と議論からちょっと距離をおかせていただきました。
このような説明を受けたのち、判例データベースを検索し、裁判員裁判での求刑はどんな感じなのかを見ていきます。事件のあらまし(どんな間柄なのか、被告人がそのような行為に及んだ理由など)、被害者の容態などでどのような求刑になっているかをざっと見ていくのですが、いやぁ、「相手の言動」が理由の事件が多いこと多いこと。
口は災いの元をリアルに見せられ、皆で驚愕しました。

その後は、裁判資料、自分のメモを基に、自分はここがこう疑問だったのだけど…と話しつつ、時間ぎりぎりまで評議を続けたのでした。

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