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ふと、思ったこと


中学生の時、私が書いたある感想文が表彰された。
それは、職業体験の感想文だった。

他の同級生の感想文も表彰され、その同級生も私も感想文をなにかの会で発表した。

自分が感想文に何を書いたのかは全く覚えていない。
しかし、同級生の感想文は記憶に残っている。


表現がすごかったから。


彼は工場に職業体験に行き、職人さんと交流した。
職人さんは油で汚れた真っ黒い指をしていて、
同級生は、はじめて見た時には「汚い」と思ったけど、職業体験を通じて、職人さんの仕事への想いや情熱を知り、とても感動したようだった。


感想文の最後に、
「工場からの帰り道、汚れた指が黒く光った」
というような表現をしていた。




中学生とは思えない言葉選び。
特に仲が良い同級生ではなかったけど、アラフォーになった今でも覚えている。



その同級生は、大学生の頃に事故で他界してしまい、実際に社会に出て働くことはなかった。
アルバイトくらいはしていたかもしれないけど。


人って死んだらおわりだ。
死後の世界のことはわからないけど、この世ではもう何もできない。


でも、言葉は残る。思い出も想いも残る。



私が文章を書くのは、きっと何かを残したいからなんだと思う。


私が生きてきたことには価値があるんだって。


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