私だけ
今日は誕生日。
私が誕生日であろうがあるまいが、世の中は何事もないように動いている。強いて言うならば、チョコレートが少し行き交っているくらいであるが、これは私の誕生日だからだからではなく、私の誕生日がバレンタインデーなどと言うイベントと同じ日であるためだ。
少し前までは、私は誕生日という特別な日なのに世の中がいつも通りであることに、少しの悲しみを覚えていた。今思えばこれはとても幼稚な考え方で、なんで自分本位なんだと思う。だが、もう私はそんな境地にはいない。
私の今日の感情はというと、「特別な日に私はこんなにウキウキしているのに、“世の中人”はそれも知らずにいつも通りの変わり映えしない日々を送っているのか。私はこんなにもウキウキしているのに。」という優越感というか、なんだか隠し事をしているようなドキドキとした感情である。これは私だけの秘密。こんなにワクワクしているのは私だけ。なんだか特別感。ありがとう誕生日!
ケーキなどを買ってしまったが故に、「満員電車の中、そのケーキを傾かないように家まで持って帰る」というミッションまで発生してしまった。ここでは「満員電車」を攻略することがミッション遂行のために鍵となるだろう。と、おーっと!そんなことを言っていたら袋が足に当たった少し揺れてしまった!早速ピンチ!そんな実況をしながら、マスクの中ではニヤニヤしている。そしてこれもバレてしまったらミッション失敗だ。なんてハードなミッションなんだ、、、。
なんとなくこの感覚って誕生日以外でも味わうことがあるよな、と思い返してみれば、病院に行った、いい買い物をした、恋人ができた、とか、気分が上がることの帰り道に近い感覚になることがあるように思う。だがしかし、やはり誕生日というのはどうあがいても年に一度しか訪れてくれない大特別イベントなのだ。それが高揚感を高める。
ミッションを遂行すべく、私は帰路を急ぐ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?