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直腸癌と診断されて ー願いも虚しくー
近くのクリニックで大腸内視鏡検査を受ける日、いつものように車で向かった。検査が終われば保育園と児童クラブへ3人の子どもたちを迎えに行き、そのまま柔道の稽古に連れて行かないといけなかったから。
検査では、鎮静剤を使うことを勧められたが、車の運転を控えていたため、鎮静剤なしで検査してもらうことにした。
初めての検査は、痛かった。
お腹の中を自分のものではないものがグルグルと移動している。よくSF映画で見るような、宇宙人が体内で暴れる感じってこうなのかと考える余裕があったのも束の間、腹部の痛みが激しくて、どうしても呼吸がゆっくりできずに力が入る。体位を変えるのもやっとの状態で、カメラが映す画像を見るのも痛みのせいで辛く、医師が説明している声も聞こえにくかった。
ただ、腸に何かあるのは見えた。血が見えたから、私の血便はここからなんだと思った。腸の半周くらいは、他と違う。腫瘍だと悟った。
良性であって欲しい。
痛みと機械の音で、医師の説明も聞こえず、ただただそう願った。
服に着替えて診察室で改めて説明を受けた。「改めて」と言っても検査中の声は私に届いていないから、初めて聞く結果だった。
ここに腫瘍があります。
このサイズだと大きな確率で癌でしょう。
どうして8月の検査に来れなかったの?と医師に問われ、父の話をすると、「自分のことどころじゃなかったんだね」と返事が返ってきた。その後、頭をポンと触られて、紹介先の病院の話に移った。
あの時は、父も苦しんでいた。必死に病と戦っていた。私もそんな父のそばにいられたことは後悔していないが、それから人間ドックまで自分の身体を気遣えなかった後悔が残る。
一昨年は母
昨年は父
そして今年は私
一つずつ消えていく命の灯火が、次は私の番だと言っているような気がした。
・・・・・・・・・
どうしても自分の思うように、希望するようにはならないことはたくさんあります。
今回も私は何度も何度も「悪性ではありませんように」と願いました。
でも結果、癌だった。
強く願った分、死への恐怖も大きくなったのかもしれません。
それに、私は死ぬ準備をしていませんでした。
人は必ずいずれ死ぬのに。
後悔と恐怖だけで私は気持ちがいっぱいになっていました。