せな(11)
「ハーフ」「ミックス」
「ハーフ」「ミックス」と呼ばれる、親のどちらか一方が日本国籍で、もう一方が外国籍の人は日本に多くいます。例えば、
2021年度に出生した子どものうち、2%、50人に1人はこれに当てはまります。こうした人のうち、日本国籍を持っていたり、日本にルーツを持っているにも関わらず、「外国人」として扱われる経験をしたことがある人は少なくありません。
「日本語上手だね」「どこから来たの」と言われたり、警察官から外国人登録書を見せるよう言われたりすることがあります。
「ハーフ」と「女性」
1970年代に「ハーフ」の呼称が広がってから、「ハーフ」のタレントやスポーツ選手などがもてはやされるようになります。その結果、当時の『ハーフ』には、容姿を過度に美化したり、女性を性的な対象として描いたりといった特殊なニュアンスが結びつくようになったと社会学者の下地ローレンス吉孝さんは言います。
今でも、「ハーフ顔」「ハーフ風メイク」などの表現が雑誌やメディアで広く使われており、「ハーフ」とは美しい外見であるはずというステレオタイプがあります。また、そのステレオタイプは多くの場合、白人系に限定的であり、多くの「ハーフ」がそこに当てはまっていないことを無視しています。
「ハーフ」の「女性」は、女性以外の「ハーフ」、あるいは「ハーフ」ではない「女性」とはまた違った体験をしています。このように、交差する複数の社会的アイデンティティを持つ人が経験する日常とそこにある差別を可視化する言葉として、インターセクショナリティ(交差性)という言葉があります。