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つれづれなる幸せの話

(サムネ画像:私の写真フォルダより)

私の近所には大きな川がある。

住宅地からかなり離れられるほどに広い河川敷をもつロマンあるスポットだ。

家で好きなものに心を踊らせるあまりに溜まったエネルギーを発散させるのにうってつけの野原だ。あとは発声をしたい時とか。


ちょうど夕べも涼しくなりかけの時間にふらりと行った。

人もまばらで、遠くからは花火遊びの音が、近くからは独りでギター練習をする音が聞こえた。

高い土手をランナーや自転車乗りが何度か通り過ぎ、反対を見れば対岸に光るマンションがぽつぽつと見える。

心を奪われるようなその灯りを下手なりにもスマホに撮り、落ちないようウェストポーチに仕舞った。


それからひたすらに走った。跳んだ。短く草の生えた斜面を上へ下へ斜めへ。

下りの速さや斜めに走った時の平衡感覚を乱される感覚はなんとも危なっかしく、それでいて楽しかった。

本物に立ったことはないけれど、前に映像で見た八百屋舞台はあんな感じだったんだろう。

ひととおり気の済むまで走ったり歌を口ずさんだりして、思ったより早く帰路についた。

時間にしてわずか20分と少し。ズボンの中の虫刺されがかゆくなった。


あの河川敷の夜は、いつも優しく鮮烈に私の視界に入ってくる。

日が落ちた後の湿気だけ残したような暑さや藍色の景色、思い思いに過ごす人がまばらにいる場所。

ふだん外からの感覚を多く受け取る私からすると、その景色は日中になかなか見られないとても繊細で、開放的な空間だ。

こんな場所を目の前に持てるのは、なんとなく幸せ。そう思っている。

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