『手当たり日記 98』 信頼される大人 2024年2月15日

2月14日の日記。

6時ごろ起床。花粉症と睡眠不足のせいで、目が重くて眠い。1時間で朝食も摂り、コーヒーを淹れてボトルに注ぎ、準備を済ませて家を出た。今日は水曜日で、取材先の会社がノー残業デーらしく、早く現場を上がれる可能性がある。可能性があるだけで、だいぶ心の負荷が減る。

電車に乗り込んで、本を開いて読もうとするが、頭がぼーっとして集中力が切れてしまう。取材現場や、プロジェクトのメンバーと仕事のやり取りする時は、スイッチを入れて気を張る。もはや躁状態に入り、調子のいいことを言っておどけたり、強引に頭を回転させて喋りまくったりする。寝不足や疲労感がひどい朝、会議や取材中に気分が悪くなってしまったらどうしよう、と思うのだが、向かっている途中から体のだるさを感じなくなることが多い。それでエネルギーをほとんど使い果たしてしまって、それ以外の時間は脳がパワーセービングモードに入ってしまう。現代社会って、みんなこういう感じなんだろうか。そう考えると、僕自身が、現場で取材相手に大人として信頼されるように、頑張って背伸びして、相手に安心感を持ってもらえる言葉遣いを選んで、必死に自分に与えられてしまった役割を成り立たせている、健気で弱いこどもに思えてくる。

近代を経て僕らはどんな大人像を得たのだろう。かつては、しこたま働いて、しこたま遊ぶ、しこたま豊かな生活を消費するのが、みんなが目指した大人像だとすると、現代は、適度に働いて、無理しないで、それでも豊かな生活を消費するのかあるべき大人像、と語られているように見える。自分をイツワって、ガムシャラに働いているヤツは前時代的な未熟モノ。大人であれば、自分に素直に、無理なんてしない、のだろうか。そう思いつつも、今やっている仕事の中でベターな結果を出すために、「信頼される大人」として取材現場に入る。

帰り、幸運なことにノー残業デーが実現して、18時半ごろに現場を出られた。疲労感があってとにかく眠い。駅までの道の途中にあるコンビニで、お決まりのお守りキューピーコーワゴールドを買った。明日元気になれますように、の祈り。電車に乗り込んで空いている席に座り、今日の取材メモをスマホに打ち込む。目の奥がズキズキ痛かった。スマホを置いて寝ようとするも、「信頼される大人」スイッチがなかなか落ちなくて、頭の中がソワソワと動いてしまい寝られなかった。

乗り換えのため、下車。次の電車を待っていたら、向かい側のホームを通過する電車に、ジャニーズ系の男性タレントがプリントされていた。1両置きに、コスプレのような格好をした男性の写真が左から右へとシュールに流れていく。何かの広告なのだろうか。なぜかやたらと注意をひかれ、目がギュルギュルギュルと通過する電車を追ってしまい、酔って気分が悪くなった。

夜は昨日買っておいたイワシをつかい、人参、きゅうり、しめじ、玉ねぎを使って南蛮酢炒めを作った。

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