【10日目】ウルグアイ牧場滞在記2019
DAY 10 2019/09/04(水曜日)
6時15分起床。
気温は4度。かなり寒い。
ミルクを温めて、ホットミルク、ホットコーヒー、クラッカーを食べる。
朝一番の仕事は、羊たちの薬を4号線まで取りに行く。
昨日の午前中にギョウチュウ検査をし、投薬が必要との判断で
薬を注文し、翌日の午前中には受け取ることが出来る。
さすがに家までの配達は無理だが、この地域で荷物が翌日に届くのは意外だった。
ベースに戻り、羊たちを移動させるためバイクに乗って出かける。
スクーターに乗ったことはあるけれど、ギア切替のバイクは初めて乗る。
ミゲルに操作方法を教えてもらい、あとは乗りながら慣れるしかない。
服を着こみ、手には即席で作った手袋(靴下)をはめて出発。
はじめはおっかなびっくり低速で走行していたが、
パドックに着くころには少し慣れてきた。
(遠くにミゲルのバイク、羊たちの群れが見える)
羊たちをミゲルと共に追いかける。
鬼ごっこの要領で、逃げ出しそうな気配を察知して先回りする。
羊や牛たちは、境界線で必ず立ち止まる。
境界線を一頭でも超えれば、たちまち後に続くが、
ほんの少しの差でも必ず躊躇するため、空間をよく認識していることがわかる。
パドックのフェンスはもちろんのこと、
ちょっとした日陰にも反応するため、仕切りのない空間にいても、
地面の暗くなっている部分だけをピョンと飛び跳ねたりする。
音にも敏感に反応するので、
ガウチョたちは声を上げたり、バイクをふかして追いかけていく。
500頭の羊の移動は10分程度で完了する。
10時頃ベースに戻り、ガウチョたちが羊を小屋へ連れてくるまでは待機。
待機中に、ミゲルから羊の人工授精について教えてもらった。
(5頭の種羊は庭で飼育されていて、家の中から見える)
人工授精(ブリーディングプログラム)
【前提】
・種羊は、最も毛質に優れた5頭のオス
・メスは1歳半以上、種羊から生まれた中から300頭を選別する。
・妊娠は年に一回(3月)
・妊娠期間は5か月間なので、出産は8月~9月頃
【人工授精の方法】
1. 去勢していないオス(種羊から生まれたオス)の中から10頭を選び、射精できないように手術する。
2. 手術したオス10頭のお腹に赤インクを塗り、野に放つ。
3. 性行為はするが射精出来ないので、メスの背中に赤インクだけが残る。それで排卵期のメスを特定する。
4. 人口授精を行う(1日15頭 x 20日 = 300頭)
【なぜ毛が細くなるのか?】
種羊から生まれたオス(約150頭)は去勢せずに、野に放つ。
種羊の子供は自然交配を行うため、その子供(種羊の孫)は毛が細くなる。
一方、自然交配で生まれたオスは去勢する。
種羊から生まれたメス(約150頭)は、体重・毛量・毛質データを取り、翌年の人工授精候補(300頭)となる。
種羊から生まれた羊が増えることで、少しずつだが毛が細くなっていく。
25年前の平均繊度が20~21μだったものが、現在では、17~19.5μまで細くなってきている。
また、出産した後は毛質が落ちるため、妊娠中の羊は7月に毛刈りをする。その他の毛刈りは9月頃。
昼食を取り、シエスタ。
午後からは、羊たちの体重計測と投薬、脚の消毒。
昨日見つかった寄生虫の卵を殺すための薬を与える。
(ピストル型の注射の先を口に入れて、ワンプッシュする)
一頭ずつ口に薬を入れていくために時間がかかる。
また、脚に問題を抱えた羊たちは別の部屋に分けて、
爪のカット、注射を行い、脚の消毒。
(1頭ずつ体重計測)
(決め顔のアベルと真面目に働くルイス)
途中からは2グループに分かれて、牛の体重計測、注射も行う。
大きな牛たちの扱いにも慣れてきた。
18時ちょうどに作業が終わり、家へと戻りシャワー。
夕食までは暖炉の前で、ミゲルとマテを飲んで過ごす。
夕食は赤ワインと共に。
TANNATというサルト産のワイン。
絶滅しかけた仏のブドウ品種を持ち帰った人が少しずつ改良したという。
お酒が進み、アルバロと寿司について話す。
アルバロの奥様はサルトで寿司のケータリング店を経営しているらしい。
魚はサーモンとマグロだけのようだが、冷凍刺身は使わないとのことで、
金曜にしか手に入らない生の刺身を使って、週末だけ営業している。
ノリやスシズ、ミリン、ワサビ、ノリマキ、ウラマキという単語が出てきた。
意外と本格的な寿司を作っているらしい。
ちなみに、しょうゆは「サルサ・デ・ソヤ(大豆のソース)」という。
9時ごろまで暖炉の前でゆったりと過ごし、就寝。
今夜は寒くなりそうだ。