【9日目】ウルグアイ牧場滞在記2019
DAY 9 2019/09/03(火曜日)
6時15分起床。
朝食を済ませ仕事場へ。
全員で馬の支度をして、仕事に出かける。
フェンスを越え、パドックへと向かっていくガウチョたちの背中を
相変わらずとぼとぼと歩く馬の上で見送っている。
なかなか言うことを聞いてくれないと相談すると、ムチを貸してくれた。
早く馬に乗れるようにならないと、仕事の足手まといになってしまう。
いつもは15分で歩くのを止めて小屋に戻ろうとするけれど、今日は小屋の前まで来ても馬から下りない。心を鬼にする。
小屋から離れる時はとぼとぼ歩く馬も、
戻るときには全速力で走りだすことが分かった。
だから何度も何度も遠くへ行って、走って戻るを繰り返す。
何度も繰り返していると、かなり危なげに、
振り落とされそうになりながらも走れるようになってきた。
しばらくするとミゲルと、オーナーのアルバロ・メンデス氏がサルトから戻ってきた。
アルバロ氏に挨拶するために家へと戻る。
(帰宅してすぐ、ウゴーと打ち合わせをするアルバロ氏)
ガウチョたちの荒々しい雰囲気はなく、優しげな実業家といった雰囲気。
今回の滞在を受け入れてくれたことに感謝を伝える。
その後、ミゲルと一緒に羊の糞のギョウチュウ検査を行う。
1つのパドックの10~15地点からランダムに糞を拾って、顕微鏡で寄生虫の卵の数を調べる。
寄生虫の卵の平均数が800個を超えた場合、口径での投薬を行う。
今回の検査対象は、1歳未満の子羊グループ。
子羊の場合、免疫がないため寄生虫の卵が多くなるという。
寄生虫の卵は、草に付着している。
動物の体温で孵化するため、パドックに動物を入れなければ草についた卵は数週間で死滅する。
しかし放牧を行う以上、パドックに動物を入れないことは不可能なため、
定期的にモニタリングし、どう対処するかが放牧管理のポイントになる。
週に1~2度、糞を集め、検査を行っている。
(採取された羊の糞)
(1.9~2.1gの糞を計測する)
(20mlの食塩水を入れ、糞を溶き、漏斗でろ過する。食塩水を使うのは、寄生虫の卵が表面に浮いてくるため)
(二重式プレパラートの隙間に糞を溶いた水を入れる)
(プレパラートには経路が刻まれており、経路に沿って卵の数を数える)
(寄生虫の卵。楕円形。)
(1個の卵は100倍にして記録する。卵の数、平均値、日付が記録される)
今回の検査では、基準値の2倍以上の卵が見つかった。
そのため、このグループを小屋に集め、
投薬のスケジュールを立てるという。
(デザートはコーンを固めたプリンのようなもの。)
午後一番の作業は、先週とは別グループの牛たちへの注射と体重計測を行う。
それが終わると、アルバロ、ミゲルと共に、パドックの見回りに出かける。
途中で牛たちを移動させるガウチョたちと出会う。
(トラックの入れない、ぬかるんだパドックは歩いて見回りをする)
地面の状態、草の状態を確認し、
次の放牧地として適切かどうか判断する。
パドックの一部はぬかるんでいるものの、思ったほど先週の雨の影響は少なく、
明日はバイクを使って羊たちを移動させるという。
見回りの途中で、アルバロがSAN RAMONで最も美しいという
川のほとりに連れて行ってくれた。
水の流れる音、鳥の鳴き声、落ち着いた美しい場所
(木々の洞窟)
近くには、木々が洞窟のようになった日陰地があり、
夏になるとミゲルは友人たちと1週間のキャンプをするという。
足跡から、沢山の動物たちがこの場所に出入りしているのがわかる。
世界最大のカピパラの足跡や、小さなスカンク?の足跡が残っている。
日本でいう森は、鬱蒼とした木々が重なり合う山のイメージがあるが、
なだらかな平原が続くウルグアイでは、こうした木々の生える土地を森と呼んでいる。
(沼地では、ヌートリアが道を作っている)
歩く途中で子羊の死骸を見つけた。
カランチョ(大型の鳥)が食べた形跡だという。
カランチョが狙うのは弱った羊のみで、
最も柔らかい部分から食べ始める。
最初に目玉、続いて口、その後あばらの肉を食べる。そのため、死骸には独特な形跡が残る。
ベースに戻ると豚の屠畜を行っていた。
豚を捕まえることは難しいため、ライフルで仕留めるそうだ。
仕留める現場は見ることが出来なかったが、
銃弾とライフルが近くに置かれていた。
毛を取りやすくするため、かぶせた布の上から熱湯をかけ、
しばらく待ってから、魚の鱗を取るように毛を取っていく。
つるつるになると、中華街で売られている豚の状態になる。きれいなピンク色。
夕食後は、アルバロ、ミゲルとともに暖炉の前でマテを飲みながら談笑し、21時ころに就寝。
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