2023年2月26日Tokachi Acoustic Unionワンマンライブ in まくべつ
2023年2月26日の記録。
昨日までの雪は止んだ。
空は快晴だが、空気はとても冷たい。
気温は-4°c
道路の端に積み上げられた雪と、溶けかけた氷の歩道が残る北海道十勝地方、幕別町百年記念ホール講堂に、開場時間の前にもかかわらず、厚いダウンジャケットと防雪用のブーツを履いた人たちが次々に集まってくる。
ギリギリまで音響の微調整を重ねて、いくつかの機材的なトラブルを乗り越えたTAUのスタッフチームを離れて楽屋に向かう道すがら、音楽を心待ちにしてくれている人たちの姿が見えて、僕の胸は熱くなった。開演まであと40分。クールダウンの時間だ。
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とかちアコースティックユニオン(略してTAU)は、北海道の十勝にゆかりのあるミュージシャンで結成されたバンドである。メンバーは7人。
新しくベースで松田英樹が加わったので、20代のメンバーが一人増えたけれど、20代、30代、40代、50代、60代が揃っている、稀有なバンドだ。
奏でる楽器はドラム、ベース、ギター、ピアノ、アコーディオン、マンドリン、そして馬頭琴、三味線。かなりレアな構成のバンドである。
普段はそれぞれが、それぞれの場所で活動している。集合がかかるとパッと集まって、またパッと散っていく。ここで得たものを他の現場で活かして、またTAUという場所に持ち帰ってくる。(他の現場とは、音楽だけに限らない。野菜を育てる農場だったり、手紙を運ぶ場所だったり、図書館の中だったり、猫の譲渡会の会場だったりする。)
ファーストアルバムは、ほとんどの曲を僕とボーカルの流さんが新しく書き下ろした。
85年前に作られた「十勝招き節」の新録音はあったが、基本的には十勝のことを歌った新曲で構成されている。当然のように、デビューライブではそれらの曲が中心になり、それだけでは曲が足りないのでカバー曲や、流さんの楽曲をみんなで演奏したりした。
2回目のワンマンライブを経て、メンバーの中に変化が起こる。嬉しいことに、自分自身のバンドだという意識が芽生えて、それぞれやりたい曲を持ち寄るようになった。そして今回。3回目。今回のライブでは、オリジナル曲と新曲、少しのカバー曲が中心だ。
前回のライブの終演後に馬頭琴の嵯峨治彦さんと三味線の加藤恵理奈さんが即席でセッションしていた曲が、「十勝馬唄」。十勝に伝わる民謡で、馬に目が無い嵯峨さんがバンドアレンジをして持ってきてくれた。
ドラムの佐藤誠吾さんが小学校5年生の時に書いた、”サイロ”に掲載された詩「地ふぶき」がTAUによってタイムトラベルして蘇った。本当は誠吾さんに歌ってもらいたかったのだけれど、「歌うくらいならバンドをやめる」と言われたので、僕が歌うことにした。良い声なのになぁ。
メンバー、スタッフ、全員の想いを乗せて、音楽の時間が始まる。
いくつかの山を越えてきたけれど、まだまだ越えていかなければならないのだろう。
さあ、開演だ。メンバーみんなの列の最後につく。会場は超満員だ。立ち見の人までいる。この光景を見られただけで、本当にやって良かったと思う。観にきてくれて、本当にありがとう。
また、とかちで、あおうね。
北海道・新得町の廃校になった小学校を改装した音楽ホール、新内ホールでレコーディングされたファーストアルバム、すごく良い出来です。ぜひ。
https://otofuke-records.stores.jp/items/6173e66572eb465496ec987b