【β版】千葉篤胤の転生記_10

篤胤としては次の目覚め先は運任せと思っていたが、自分が願えば「だれに」と「いつ」はできるかもと可能性を前回の目覚めで実感した。

[1回目]

「だれ」は結構すんなり決めれた。この過去世界のはじまりでもあり、3回連続目覚めた千葉氏7兄弟のうち2番目である師常(モロツネ)。いつはよくわからないので一旦置いとく。ただ下手すると1か月後とかのパターンもあったのですぐにでもというイメージだけは持っておくようにしたい。前回の経験を生かして、篤胤は意識が戻りつつある瞬間から「師常師常師常師常師常」と呟き続けた。そして目覚める…

「篤胤。自分の名前を続けざまに呼ばれても怖いんだが」

法則は叶った!篤胤は師常の意識へたどり着いた。ただ日胤(ニチイン)と同様、呟き連打はマイナス感情を持たれるので工夫が必要だ。篤胤と師常はお互い近況を伝えあった。京にいる胤頼(タネヨリ)と日胤や源頼朝とも会った事を篤胤は伝えた。胤頼の飄々ぶりに師常は「あいつめ…」と呟いた。師常からは他の兄弟の動向を聞いた。三番目の胤盛(タネモリ)はあれからまた下総を出て各地に探りに出たようだ。胤盛がいまどこにいるかは師常は知らないらしい。四番目の胤信(タネノブ)は武者修行として下総の隣国である上総の棟梁、上総広常のところに入り浸っているとのこと。胤信の武芸の相手ができるのは上総下総では広常しかいなく、広常も本気出せるのは胤信しかいないからお互いいいんじゃないかと師常は言った。あとの面々は下総にいるという。ちなみにと篤胤は師常に暦を確認したが、頼朝と会った日より3日後だった。いつはまずまずと思った。

[2回目]

やはりこの時代に来ている以上、願うなら本来の自分の時代に帰りたい。一時的な事かずっとかは別としても、ここは自分にとっては異世界であることには変わりない。千葉一族の面々とはいい思い出か夢だったと思うことにしていざ我が世へと「自分の世界へ」とか自分の名前である「篤胤」とか現代へ繋がりそうな事をさんざん連呼しながら目覚めるも…ここ最近のお馴染みのあたり一面草原光景が広がっており、なにかバランスを崩し落ちた。かつ地に落ちた折に結構な痛みが走った。落馬した模様。そして痛覚があるということはこれまた久々の完全取り憑き。「大事ないか!胤通(タネミチ)」と師常が声をかけてきたので胤通(五番目)の中にいることは判明。篤胤は師常に完全取り憑き状態である事を伝えた。あくまでも目覚めは千葉一族内のこの世に限られるらしい。篤胤は現代に帰るのはしばらくあきらめることにした。篤胤としては完全取り憑きはどう起こるのかはまた実験を続けるしかないという事と、完全取り憑き時は自分で動く必要があるので、馬術や戦い方とか知っておかないとまずいとも思った。師常にも完全取り憑き時の不安を伝え、今日は丸一日師常に馬の乗り方を学んだ。

[3回目]

篤胤は次の目覚め先として2回連続で下総だったので、訓練がてら胤盛へトライすることにした。ちょっとした旅気分を想像した。前回までの反省より、名前連呼は目覚めた瞬間の印象がよろしくないので、あくまでも胤盛へのイメージを強く持つ形で目覚めるも…

「篤胤。いま取り込み中ですので」

感覚から胤盛の意識内であることと全速力で走っているのも分かった。なにかから逃亡中らしい。もしこれが完全取り憑きで目覚めたら取り返しのつかないことになったと篤胤は恐ろしさを感じた。今後は気軽な気持ちで胤盛を目覚め先に願うのは控えよう。

[4回目]

7兄弟中、まだ取り憑きを経験してないのが、一番目の胤正(タネマサ)と四番目の胤信。胤信は上総広常との武者修行中のリスクがあるのでやめておく。胤正とはほぼ話したこともないので挨拶がてら挑戦してみることにする。胤正へイメージ強く持ちながら目覚めた…ら眼前に胤正がいて、刹那ぎゃあぎゃあ意識内に騒いでる声が。

「父上!頭の中に変なのがいる。怨霊じゃ。怖い。気持ち悪い。助けて!」

拒絶感丸出しの意識がガンガン流れてくる。これは胤正の子供の意識内?胤正はなだめようとするも一向に収まらず、「もしや篤胤か」と睨んで聞いてきた。拒絶感が増々大きくなり、そのまま篤胤の意識も落ちていった…


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