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コロコロ変わる名探偵
「源頼朝様は何故死んでしまったのだ」
千葉常胤が息子たちに問うた。
次男の師常が「落馬では」と答えた。
千葉常胤はそうじゃ。不運よのと呟いた。
四男の胤信が「寿命」と言い放った。
千葉常胤は齢五十では寿命とも云えぬと首を傾げた。
三男の胤盛は「なにか毒でも盛られたのでは」と囁いた。
千葉常胤は恐ろしやと震えたが、胤盛の説が気がかりだった。
千葉常胤は胤盛になぜそう想ったか問うた。
「頼朝様は姫君様達の輿入れを何度か朝廷へと試みました。朝廷と近づきすぎる事で鎌倉方の誰かが、頼朝様が第二の平家となり衰退するのを恐れたのではないでしょうか。毒を盛られ続け、弱った御体となり、馬から落ちて...」
千葉常胤は背筋が凍る気がした。
つかさず長男の胤正が発した。
「結局、落馬にてお亡くなりになったので、死因自体は『落馬』でいいのでは」
千葉常胤はそうじゃのうと頷いた。