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千葉篤胤の転生記_14~治承・寿永の乱
ここは下総にある千葉氏の館。当主である常胤を筆頭に、胤正・師常・胤盛・胤信・胤通・胤頼と勢ぞろいしていた。
これから頼朝の名代である安達盛長が頼朝への加勢打診をしに館を訪れることになっており、一族総出で迎えようとの図らいだった。
師常の片目だけが赤い。篤胤は今は師常の意識下にいる。
胤頼がふと話し始めた。
「頼朝様も危機一髪だったけど安房までたどり着けてよかったよ」
頼朝は1週間ほど前に挙兵を決意し、伊豆の目代を北条時政らと襲撃して討ち取った。その後、三浦党と合流し平氏側と戦う予定が当日は豪雨で三浦党が頼朝一行と合流できず、無勢のまま海路で安房へと脱出してきていた。
そうこうしているうちに安達盛長が館へ着いた。加勢打診は先日に北条時政と三浦義澄と胤頼の間で大枠として共有していたことであるも、正式にはこれが初めてとなる。
安達盛長は常胤に礼を述べつつ、この度の頼朝挙兵へ加勢してほしい旨を伝えた。
「千葉常胤様は頼朝様の父上である義朝様へ何度も加勢頂きました。この度、頼朝様が挙兵いたしました。今一度常胤様のお力を頂きたく願います」
常胤は安達盛長の願いを聞いている最中、昔の事を思い出したのか、感涙しつつも
「喜んでお引き受けいたします」
と頼朝の元へ馳せ参じる返事をした。
治承4年8月、この日より千葉一族は治承・寿永の乱の壮大な物語の表舞台へと立つことになる。