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新紙幣の思い出

今月から新紙幣の発行が開始され話題になっている。私はまだ手元に新紙幣がないが、いつ手にすることになるのか楽しみだ。そんな中で、駅で仕事をするうえで現金の取り扱い方も記憶に残っているのでここに記しておく。

駅の券売機では「新紙幣利用できます」という表記を最近見かけるように、現在は北里柴三郎と野口英世の両方が使えるようだ。私が勤めていた時期は夏目漱石と野口英世が使えたはずなので、駅の券売機のような高機能なものは、もともと二種類の紙幣が使える機能が備わっているということだろう。
私が駅員をしていた2016年~2019年は特に新紙幣の切り替わりなどがある時期ではなかったので、新紙幣絡みの対応は特にないが、夏目漱石で支払う人はごくまれにいた。
当時、夏目漱石を券売機に投入するとどうなったのだろうか。あまり券売機の構造に詳しくないので誤りがあるかもしれないが、券売機内部には受け入れた千円札をお釣りとしても出せるようになっているが、「ギリギリ読み込めるけど汚損されている券」はお釣り用にはならないように弾き、別の場所に保管される機能がついていた。夏目漱石も確かこのお釣りに出ない場所に弾かれる仕様だったのではないかと思う。この汚損券が弾かれる場所を締切時に確認し忘れて誤差が出るというのはよくあるミスだった。毎回確認しているはずなのに、弾かれた券がある時に限って確認し忘れているのが不思議だ。

また、券売機は機械なので、著しく汚損されたものや濡れたものなどは機械に通りすらせず、読み込めない。そういった読み込めない紙幣を「これしか手持ちがないんです」と改札口に持ってくる人も結構いた。改札口ならすぐ紙幣を交換してくれると思う人も多いかもしれないが、改札も現在は現金管理機という機械でお金を管理しているので、券売機で読み込まないものは改札でも読み込まない。ではどうするか。一旦改札を離れて事務所内の金庫まで行き、汚損された紙幣と交換して使ってもらうことになる。最終的には交換できるので良いものの、少し手間がかかる。最近はスーパーのレジなども手作業でお金を出し入れするのではなく、機械化されたものが増えた。金額の誤りが発生しづらくて便利な面が多いが、読み込まない券の対応は各社発生しているのだろうなと思う。

では金庫にある汚損した紙幣はそのままで大丈夫なのか。それに関しては、駅では現金輸送会社が売り上げを回収していくという仕組みなので機械に通る必要はなかった。ただ、私が以前バイトしていたコンビニでは売り上げをATMで振り込んでいる様子だったので、そういった方式の場合は読み込まないと結局銀行で紙幣を交換する必要があるだろう。ただ、そこまでするのは面倒なので「自分の手持ちの紙幣と交換して、レジが自動ではない店舗で使う」という汚損紙幣の循環が発生しているのではないかと思う。ちなみに、見た目は綺麗な紙幣でも、少し油がついていると全然機械で読み込まなくなる。紙幣を扱う時は油に注意してほしい。

機械を通らないものだと、1円玉や5円玉を持ってきて、「手持ちがこれしかなくて」という人も意外といる。自動券売機で1円玉と5円玉は使えないが、本国の通貨なのに乗車券代として使えないのは問題なので、改札口に持ってきてもらえれば両替して対応していた。そして意外なことに、改札口やみどりの窓口の現金管理機では1円玉や5円玉も通常通り使える。なので、金庫まで出向くことがなく両替を行えた。以前勤めていたバス会社のバス運賃箱も1円玉・5円玉が使用できた。機械だと1円・5円は使えないイメージが強いが、意外と使えるところは使える。

ただ、100の文字が小さい旧100円玉、全体的に大きい旧50円玉、岩倉具視の500円札、伊藤博文の旧旧旧1000円札も各1~2回ずつくらい持ってこられたことがあるが、ここまでくると改札の機械は受け付けず、金庫で両替パターンとなった。

さて、今まで述べてきた例はメインで流通しているものが大量にあるなかで、ごく稀に来る旧紙幣・硬貨の対応という場面だった。これが、今年は旧紙幣から新紙幣に切り替わるということで、券売機界では一大イベントだろう。恐らく、最終的には野口英世を釣銭で出ない設定にすると思われるものの、今それをやってしまうとまだ北里柴三郎が全然流通していないので成立しない。新旧両方がお釣りで出るモードの期間が数ヶ月間くらいあり、そこから新紙幣しかお釣りで出ないモードになっていくのだろう。
20年前の新紙幣の際は私は中学2年生で、月2000円の小遣いしか日々手にしていなかった。そのため、この紙幣の流通の移り変わりは全く覚えていない。気付いたら野口英世が流通していたという感じだ。大人になった今、中学生と比べて紙幣を目にする機会は多数あるので、各社の券売機がどのように対応していくのかを見届けようと思う。

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