見出し画像

テート美術館展

先日、テート美術館展に行ってきました。

場所は六本木の国立新美術館です。

駅の広告で気になり、
久しぶりに大きな展示会に行きました。

結論、とても良かったです!

その内容について書きます。

※展示内容についても触れるので、
これから行く予定、かつ新鮮な気持ちで作品を観たい!という方は
実際にご覧になってから戻ってきてください。

テーマは「光」

テート美術館展はその名の通り、テート美術館の収蔵品で構成される展覧会です。

テート美術館とは

イギリスにある以下の4つのギャラリーからなる組織の名称です。

  • Tate Britain

  • Tate Modern

  • Tate Liverpool

  • Tate St Ives

ちなみに私は行ったことありません。
ロンドンに行ったらぜひ訪れたいギャラリーです。

公式サイト


時代やジャンルを越えて集う「光」

展覧会のテーマは「光」です。

メインビジュアルになっているのはジョン・ブレットの作品。
テーマをわかりやすく表した作品で、駅の広告で見たときもその神々しさに目を惹かれました。

本展は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目する企画です。

https://tate2023.exhn.jp/

公式サイト


副題や公式サイトの説明にもあるように、光をテーマに、幅広い年代、ジャンルの作品が集っています。

実際行ってみると、ラファエル前派の影響を受けたブレットの作品以外にも、ロマン主義や印象派、写真作品や現代美術のインスタレーションなど、
多様な作品がありました。

一見脈絡がないようで、光というテーマで時代を追うように展示されていて、一連の流れは分かりやすかったです。

広告で見たブレットの「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」は、実際目の前にしてみるとより一層素晴らしく、光のもつ神々しさに心洗われるような気分でした。

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」

その他の絵画作品の中では、やはりターナーの作品が注目されていたように思います。

「陽光の中に立つ天使」

また普段私が敬遠しがちな現代美術も親しみやすかったです。

「星くずの素粒子」

撮影可能な展覧会・・・!?

ここまでお伝えした通り、作品自体や展示の仕方はもちろん素晴らしいものだったのは言うまでもありません。

ただ、この展覧会に行ったことがより面白い体験になった要因がありました。

それは、多くの作品が撮影可能だという点です。

多くの人が各作品をスマホで写真に収めていました。

(最近の主流がどうかはわかりませんが)
基本的に美術館の展示作品は撮影禁止というのが通例だと思っています。

ただこの企画、なんと一部が撮影可能というより一部が撮影禁止というもので、最初は内心驚きました。

事前情報なく行ったので、

え、良いの?

と思いながらも、折角なので私も写真を撮りました。


会の終盤になるにつれて、慣れてきたのか違和感は少なくなりました。

同時に、写真作品やあるいはそこから着想を得たような近現代の作品が出てきて、ふとあることに気づきました。

光がテーマの作品を写真で撮るという行為。

これは、「」を表現した物体の色(キャンバス上の絵の具)を光の色(スマホの画面)を通して見ているのだ、と。


お前は何を言ってるんだと思ったあなた、正常です。

とにかく、光の色と物体色(反射の色)は発色の仕組みが異なります。

それをスマホの画面という光で表示されるものを通して「光」を表現した作品を観るというのは、現代ならではだな、と思いました。

もしかしたら、自分のこの体験すら企画の一部となっているのかと感じました。

訪れた人にとって、絵を描くという行為がそこまで慣れ親しんだものではなくとも、スマホで写真を撮るということは比較的身近なはず。

それを通してただ鑑賞するのではなく、ある意味、会を創ることに参加していることにつながっているのだと思いました。

やられたー!

果たしてどこまで意図されたものかはわかりませんが、まんまとハマったと感じました。

それだけでなく、写真に収めることで気づきもありました。

面白かったのは印象派の作品を写真に収めた時のことです。

近くで見た「モレ=シュル=ロワン」。平面的な描き方がよくわかります。

元々印象派は光そのものを捉えるような、平面的な描き方がされています。

そのこと自体は知っていましたが、スマホの画面を通して観た時改めて

あ、なるほど!

と思いました。

画面を通してみると、より写真的なイメージになりました。

写真を通して作品を観ると、平面的というより、風景写真を観ているかのような感覚になりました。

こんな風に写真によって印象が変わったり、新たな気づきが得られるなんて、思ってもみませんでした。

予想外でしたが、結果的に面白い体験ができました。

まとめ

「テート美術館展」を簡単にまとめると、以下のポイントになるなと思います。

  • テート美術館の収蔵品から選りすぐられている

  • 「光」をテーマに多様なジャンルの作品がある

  • 18世紀末から現代までの約200年間の美術史に触れる

  • 多くの作品が撮影可能

  • 撮影を通して鑑賞が体験になる

つまり、テートという箱の中で、光というテーマの横ぐしを通しながら、200年という時代の縦のつながりを体験できる展示会でした。

その中で、「撮影」という体験を通して気づきも得られ、この体験自体が企画への没入感や満足度を高めていました。

久しぶりに美術館に行ってみて、大満足でした。

東京では10月2日まで、大阪では10月26日〜2024年1月14日の開催です。
気になる方がいればぜひ訪れてみてください。

私もまた気になる企画があったら行きます。

それでは!

いいなと思ったら応援しよう!