インターハイ 男子新体操2021
今年も夏のビッグイベントが一つ終わりましたね。
2年ぶりに無事開催されたインターハイ。
青春をかけた高校生の熱き戦いに非常に胸をうたれました。
昨年はコロナウイルスの影響により初の中止を余儀無くされましたが、そこから1年…。
未だに練習が満足にできないチームもあったと思いますが、そんな状況下でも諦めずに一生懸命男子新体操に向き合ってくれたこと、非常に嬉しく思います。
選手の皆さん、素晴らしい演技を本当にありがとうございました。
そして、監督・審判の先生方、大会を無事開催してくれた運営の方々、本当にありがとうございました。
そしてそして、直接の観戦は叶わなかったものの、インハイTVで男子新体操を観戦してくださった皆様、一緒に盛り上がれて嬉しかったです!
僕のつぶやきへのいいね・リツイートありがとうございました🙇♂️
今日は、誠に勝手ながらインターハイの感想を書いていこうと思います。
今大会のキーポイント
今大会のキーポイントは、何と言っても「初出場選手の多さ」だったのではないでしょうか?
以下、ジムラブさんの記事「明日開幕!新潟インターハイ〜男子個人」より抜粋
今年の男子個人出場者は34名だが、この中のじつに29名がインターハイ個人初出場だ。2年前、当時1年生ながら出場していたのは石橋知也(神埼清明)、森園滉貴(芦北)、中野幸太郎(坂出工業)、室賀友祐(松本筑摩)、穴田和希(金沢錦丘)の5名で、石橋の11位が最高位となっている。
個人にせよ団体にせよ、1年生からインターハイに出場するというのは非常に難しいことです。
そのため、1,2年生はもちろん、3年生でさえほとんどの選手が初めてのインターハイという、珍しい状況の試合となりました
これは監督の先生方にとっては大きな不安要素だったのではないでしょうか?
経験が少なく試合慣れしてない選手は、緊張からくる体の強張り(こわばり)や制御できないほどのハイテンションにより、いつもとは違う演技をしてしまいがちです。
しかもそれがインターハイという大舞台であれば尚更。
このことがあったので僕は、有名校が転ぶ可能性も十分にある大会なのだろうなという予想をしていました。
個人競技
個人競技に関しては、21日の日程終了後にツイッターで呟かせて頂いたものが、僕の感想の全てです。
以下、僕のツイッターのつぶやき↓
高校生の個人。
4シェネや3シェネ前転、3回連続のタンブリングや2回半捻りからの繋ぎなど、正直、やっている技自体は大学生と変わらなくなってきている。
じゃあ大学生はどこで差をつけるのかというと、何一つ流れが切れていない演技構成とそれをこなす実施力。
+その人にしかできない or 今まで誰もやったことのないオリジナルな技。
というところになるのかな。
そういう意味では、今回優勝した岩田選手は頭ひとつ抜けていた印象がありました。
これを踏まえて、来月のインカレ個人の観戦を楽しみにしたいです。
#男子新体操
#インターハイ2021
今大会の個人を見て、大学生に技が追いついているな、と本当に思いました。
「追いついて “きている” 」ではないんです。
「追いついて “いる” 」なんです。
ほとんどの選手が+0.1加点*を狙った技をしているし、それだけでなく技のバリエーションも豊富。
技だけで見れば、インカレで戦うことができるだろうなという選手が多数いました。
※個人競技に限り、加点項目があります。
投げ上げ中の4動作や、視野外の投げ上げ・キャッチなど…
詳しくはこの本でチェック↓
ただ、やはり動きに関しては大学生の方が上だなと感じました。
胸の使い方や下半身の綺麗さ、深さなど…
動きに関する項目は、やはり個人競技を専門的にやっているだけあって大学生の方が上です。
さらに、構成に関しても同じように思いました。
手具・動きの流れの途切れなさや、動きのバリエーション(高低差、緩急、跳躍)、独創性など、作り込み度は大学生の方が上だなぁと。
そんなに大学生と比べなくてもいいじゃないか、と思う方もいらっしゃると思うのですが…
今大会、そういった大学生との違いを少しでも埋めようとしていた選手が上位に入ったと僕は思っています。
これって、「じゃあ単純に大学生の演技を真似しようとすればいいのか」って言われるとそういうことでもなくて…。
なぜその構成の流れにするのか、なぜその動きをそこでするのか、なぜそのタンブリングの収め(終わり方)にするのか…
といった、「なぜ」を徹底的に突き詰める研究をしないといけないと僕は思います。
上位の人と並びたいのであれば、真似をすればいいと思います。
しかし、上位の人を追い抜きたいのであれば、【真似→意図の考察→自分への当てはめ】が必要です。
みんなしている技が同じになってきている以上、勝負の決め手はそういったこだわりの差です。
器用に技をこなせる選手がたくさんいたので、そのいい部分はしっかりと残しつつ次のステップへ進めると、これからさらに新体操が楽しくなってくると思います。
団体競技
いやー、団体に関しては自分の専門なだけに語りたいことがたくさん…。
ですが、やっぱり井原高校と神崎清明高校はスゴかったですね!
井原高校が18.225、神崎清明高校が18.050。
見事18点台を叩き出した2校ですが、この点数がどれくらい凄いかということをまず説明しますね。
2018年度のインターハイでは、優勝した神崎清明高校が18.050、2位の井原高校が17.375。
2019年度のインターハイでは、優勝した井原高校の得点が18.075、2位の青森山田高校が17.675。
この数字を見てわかる通り、18点台を出す高校チームというのは年に1チームいるかいないかという感じなのです。
そして、さらにスゴさをお伝えするために大学生と比較します。
今年の5月に行われた東インカレの団体では、優勝した青森大学は18.050、2位の国士舘大学は17.150。
昨年行われた全日本選手権では、優勝した国士舘大学が18.225、2位の青森大学が18.100でした。
はい、そうです。
大学生顔負けの点数なのです。
凄いですよねぇ、本当にすごいと思います。
試技順2番の神崎清明高校がいきなり18点台を叩き出すという凄い展開から始まった今大会。
前評判などがあまりなかったのでただの予想でしたが、僕は神崎清明高校がそのまま最後まで逃げ切ると思っていました。
しかし、試技順17番の井原高校がさらにその上をいくという、なんともインターハイらしい白熱した戦いに心が震えました。
とにかくオリジナリティにこだわった演技を見せつけた井原高校と、圧倒的なスピードとパワーを見せつけた神崎清明高校。
正直、どちらに軍配が上がっても文句の言いようがないほどの内容だったと思います。
僕がお気に入りなのは、井原高校の第1タンブリング。
連続バク転からの連続ヘッドスプリングには痺れましたねぇ。
観戦していた方々にとってはなかなか珍しい技だったと思うのですが、あれはハンドスプリング、いわゆる転回という技を頭をつきながら行う技です。
頭のつく位置や手で地面を押すタイミング、空中姿勢など、難しい要素が多い技ですが、非常に高い完成度で行われていました。
地味なんだけど難しいあの技を、あのスピード、あの綺麗さ、あの同時性で行う徹底力と、それをこの時代に演技に組み込もうと思った発想力。
もうお手上げです…笑
そして、神崎清明高校。
ついつい早すぎて高すぎるタンブリングに目がいきがちですが、僕はあえて構成の流れの気持ちよさに着目したいです。
毎年そうなのですが、神崎の構成は緩急が非常にうまい。
走るところは気持ちいいくらいに走ってくれて、惹き込むところはスッと自然に惹き混んでくれる。
それができるのは、構成がいいのはもちろん、選手たちが演技の雰囲気をしっかりと理解しているからだと思います。
何とも心地いい緩急のつけ方と、寸分の狂いもない隊形移動は本当に努力の賜物だと思います。
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どうしても上位の学校を取り上げがちになってしまうのですが…
惜しくも上位に入れなかったチームでも、「いいなぁ」と思うフレーズがたっくさんありました。
実は僕、こんなことをずっと思っています。
「高校生のうちは、無理して上位を狙わなくたっていい。」と。
もちろん、高い点数、高い順位を目指すことはとっても大切なことだけれど、それがもし高すぎる目標だった場合、技術の習得手順に誤りが生じます。
もし焦って高い順位を狙った場合、そこに生まれた手順の誤りというのは、最終的に大学生になって日本一を獲りたいと思った時に障壁になります。
何事にも基本があり、手順があります。
僕は常にそういう目で新体操を見ているので、すごいタンブリングやとてつもない柔軟性だけに惹かれたりはしません。
今大会で見た中には、すごいタンブリングはできなくても、1つ1つの動きを丁寧にこなしているチームがたくさんありました。
それでいいんです。
「俺たちなんて全然…」なんて思わずに、これからも精一杯努力して、精一杯新体操を楽しんでください😊
まとめ
いやー、久しぶりに見る新体操楽しかったー!!✨
本当に生で見たくなりました。
さぁ、次は9月14日〜16日にかけて静岡県で行われる全日本インカレですね!
こちらも同じく学連さんの方からライブ配信がされると思いますので、大学生の熱き戦いもお見逃しなく!!
ではまた次回!
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井藤 亘(いとう わたる)
🇺🇸フロリダ ディズニーワールド常設ショー
Cirque du Soleil 「Drawn to Life」
男子新体操アーティスト🤸♀️
個人HPリンク
YouTube:WATARUN VLOG
Twitter:@wataru_cirque
Instagram:@wataru_cirque
・インターハイ団体優勝
・全日本新体操選手権大会団体4連覇
・テレビ東京「年忘れにっぽんの歌」鳥羽一郎コラボ 出演
・BS11「ザ・チーム〜勝利への方程式〜」出演
・TBS「音楽の日」三浦大知コラボ 出演
・Avex主催 「STAR ISLAND」サウジアラビア公演 出演
・中学、高等学校第1種教員免許状
・日本スポーツ協会公認 スポーツリーダー