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中野喫茶室ー2場④
曲終わり、少し考え、意を決し、立ち上がるタレント
役者 (少し笑い)笑えねーっつーの!
レジに行き
店員2 お会計済んでますので
役者 あそっか
店員1 間に合うといいですね
役者 ・・・行かねーし!(言いつつ、走って出ていく)
店員1 ありがとうございました
作家 いやんもう!僕苦手よ、こういうの苦手よ、もうハラハラしたよ、ね、ね、緊張したよね!
店員1 盗み聞きはよくないですよ~
作家 聞こえるし!聞こえてるし!みんな聞いてたし!聞いてたでしょ!?
店員2 ドキドキしましたね
作家 しますよ、ドキドキしっぱなしですよ、悪い子だなあの子、ねえ
店員2 俺、ぶっとばしてやろうかと思いましたよ、あのマネージャーとかってのもなんなんすか
作家 あの人もひどいね、てかぶっとばすってほんとに?俺そんなことできないよ、え、君すごいね、柔道部?
店員2 サッカ―部っす!
作家 じゃキックでしょ!
店員1 はい片付けてー
作家 すごいよね、やっぱ顔がいい子はちょっとアレだよね
店員1 アレ、ですか?
作家 アレでしょー!だって、すっごい嘘ついてたでしょ、あの子。僕途中からしか聞いてなかったけどあれ、先輩を売ったんでしょ?
店員1 売ったんですかねえ
作家 明らかに売ったでしょ!
店員1 ま大したことないですよ、追いかけていきましたし
作家 あの子は偉いね、最初あっちの方がアレかと思ったんだよ、でもあっちのが結果アレだったね
店員1 アレですか
作家 わかるでしょ!アレよアレ。も、今時の子っぽいなって思ったけどアレはアレだわ、もうアレ、すごいわー
店員1 ハハハ、いやーやっぱり作家さんは表現力が豊かでいらっしゃる!
作家 え?
店員1 え、作家さんでしょ?それ、小説かなんかですか?
作家 え?あ、コレ?コレ?あコレ台本なんです、コンクールに送ってみようかと思って。え、僕、作家だって言った?え、言いましたっけ?あれ、
店員1 いやなんとなくそうかなって。
作家 恥ずかしいじゃないですか、え、えー気づいてたんですか
店員1 職業柄人間観察が趣味だとか?
作家 やっぱお芝居の醍醐味と言ったら人間ドラマでしょう?なんかね、こう、事件起こらないかなと思って張り込みです。ドラマと言ったら喫茶店でしょ。
店員1 事件ですか~
作家 なかなかねーそう劇的なことってあんまないのね、もっと、なんかコップの水をバシャ!とかってやつ?あれ一回見てみたいんだけどなー、なかなかかけないもんだなと思って
店員2 それはードラマのお話でしょう
作家 そんなことないですよ、事実は小説より奇なりですよ。今のも惜しかったもん
店員1 趣味悪いですね~・笑
作家 え!違いますよ!仕事ですよ仕事!まだ仕事になんないけど仕事の種探しです!
店員1 音楽でもいかがですか?
作家 音楽・・・ああ。
立ち上がり、人間ジュークボックスに行き、譜面をめくる作家。
作家 じゃ、これお願いしようかな。
【音楽】 「M5(童謡的な短い何か)/ナリナリ」