#推し短歌③水戸市
南東を知らせる風よ 教室を窓から満たす納豆の香
はい。推し短歌3記事目、水戸市でございます。
日頃、家族の話を書きすぎているので身バレはちょっと怖いのですが、今は市民じゃないし大丈夫だろ、という感じで推します、水戸市。
単純に出身地で、そこまで地元ラブ!って自覚はなかったんですが、でも実は名前にしている「新原」も「わたり(渡里)」も水戸の地名から取っていたりするので、やっぱりなんだかんだ好きなんだと思います。てへ。
さて、水戸といえば納豆ですよね。
だけど実は納豆消費量(2022年)の全国1位は福島県で、茨城は2位。市町村別でも1位は福島市で、水戸市は4位。
外から見えるほど、日本一の納豆好きではないらしい、というのがちょっと切ない所です。
なのですが、少なくともウン十年前の小学校の社会科見学が「納豆工場」になってたぐらいには、市民にも納豆イメージを推進していた自治体でもあります。
今はどうなのか分かりませんが、当時のアレは私にとって、本当に「無情」という感情を味合わされたイベントでした。
だって教科書に書いてある「工場見学」はパン工場だったんですよ。パン工場って聞いたら夢とか希望とか溢れてるし、なんならジャムおじさんみたいな人までいるかもしれないポテンシャル秘めてるし、そういうのに行けるんだろうって期待したのに、蓋を開けたら自分たちの行き先は納豆工場って、ちょっと待ってよそこ!?そこなの!?オシャレさが微塵もないじゃん!?ってめっちゃ動揺しましたよ。小学生女子だもの。
あわよくばケーキとかお菓子とか、もうこの際いっそお煎餅でも良いし、飲み物とか洗剤とかでも全然良い。何故納豆なのか!他に何か、何かないのか!!って本当に抗議したかった。でも粛々と納豆工場見学は実施されて、お土産に納豆を一パックずつ貰って帰るわけですよ。帰りのバスの中に充満する納豆の香り。もう哀愁しか感じない。
いや別に納豆は嫌いじゃないんです。めっちゃ好きかと言われるとそこまでではないけど、別に全然嫌いじゃないし、今も冷蔵庫には常備してあります。
でもですよ?高校の授業中に窓から入ってくる納豆の香りで、「あー、今日はあっちの風向きか」って分かるってどういう青春なの?輝いてないよね?輝きようがないよね?
教室の窓際の席の、ちょっとカッコいい男子の横顔とかチラ見してたら納豆の匂いなんですよ。ふと彼がこっちに気付いて目が合ったとしても、苦笑いするしかないじゃないですか。その瞬間に彼と目線で通じ合うとしたら「今日も納豆だね」「だな」っていう会話に確定してるじゃないですか。ロマンスもへったくれもなくなるってもんです。
えー、そんな感じで、そこかしこに納豆の記憶が混ざりがちな水戸市ですが、年々駅前も寂れて行ってる感じがして大丈夫かよって思ったりしてますが、でもなんだかんだ地元だし、嫌いじゃないし、全体的に言うとやっぱりちょっと好きです。
そういう訳でもう一首。
小四の納豆工場見学は嫌だったけど 水戸が好きだよ
納豆好きな方もそうじゃない方も、水戸は割と良い所だって覚えておいてもらえると嬉しいです。でもここまで納豆の話しか書いてないのに、別のイメージ持てって言っても無理か、すみません。
ただ何と言うか、割と田舎だけど割と住みやすい、そんな感じのいい加減さで、やっぱり割と好きなんです、水戸。
そういう温度感の「推し」もあって良いよね、ということで。どっとはらい。