ロクディムALIVE_010〜東日本大震災の次の日にライブした話
「ロクディムALIVE」はロクディム共同主宰・渡猛がロクディムの歴史を振り返っていく「完全主観ノンフィクション小説」です。
前回の話しは以下。
2011年。
東京で色々なゲストとコラボライブをしつつ、ロクディムはジャパン・ツアープロジェクトを開催しようと動き始めていた。
しかし3月11日がきた。
東日本が大きく揺れた。
東京も大きく揺れた。
ワタリは確定申告をするために家を出ようとした時に揺れた。
しかし、当時住んでいたのがマンションの一階ということもあってかそこまで揺れなかった。
でもなぜかことの大きさを感じた。
それは阪神淡路の震災を経験しているからかもしれない。
「これは大変なことになる」
そこまで揺れていないのになぜかそう思ったのは今でも不思議なことだ。
停電や余震や津波。まだどこまでの被害かはっきりわかならい状況が続く。
そんな中、ロクディムは次の日の3月12日にライブをする予定だった。
東京は経堂という町にある「笑和堂」という飲食店でご飯を食べながら観るライブだった。
11日は東京も交通機関か混乱していて帰宅難民がたくさんいた。
笑和堂はお店をお客さんの立ち寄り所として開放したりしていたはず。
どうするか?開催するのか?余震もあるし。
経験したことのない「非常事態の中で即興すること」について考えた。
いつもは気にもしていなかった「先が分からない中で自分たちが何を言ってしまうのか分からないこと」にたいする怖さも感じた。
これはこのあとに語られる福島での即興ライブのときにも出てくる。
ロクディムと話し合い、お店の人とも話し合い出した答えは
「暗い顔をして状況が好転するならよいけれど、そうではない。せっかく健康で元気なら思い切りやったほうがよいだろう」ということだった。
ライブ開催決定。
でも余震もあるだろうからもしかしたら誰も来ないのかもしれない。
そう思ったがいざ蓋を開けてみると10人近くが集まった。
それだけですでにロクディムが勇気をもらった。
オープニングで開催の経緯を話しする。ステージがあるわけでない空間で、言葉をかける。かけあいが生まれる。節電でいつもよりも暗い中で楽しい会話。美味しい食事。ロクディムはいつものようにライブをした。
ライブ終わり、お客さんと話す。
1人の女性が話ししてくれた。
「夜になるにつれ、どんとん街が暗くなってって、1人暮らしだからどんどん寂しくなって怖くなって。だからここにきました。きて良かった。笑っている時は、地震のことを忘れられました。ありがとう」
自分がやりたくてやってきた表現が、もちろん今までだってお客さんとともに笑ってきた表現だけど、この命がかかっている状況の中でお客さんから言われることでより輝いて聞こえた。胸に響いて涙が出そうになった。
自分のやってきたことが少なくとも人の役にたっている。
それがこれからのロクディムの支えやチカラや勇気になっていく。
開催してよかった。
ジャパン・ツアープロジェクトでの最初の地は長野の松本だったけど地震の影響でライブする話はなくなってしまった。
しかし、福島県出身のカタヨセヒロシがロクディムを集めて「福島でライブがしたい」と話すんだけど、それはまた今度!今日はここまで。
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ロクディムALIVEについての想いは以下の「プロローグ」を御覧くださいませ。
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