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芝浦機械 -製造業を製造するSHIBAURA

 こんにちは。
 ワタライです! まだまだ寒い日が続きますね。
 2月を過ぎれば少しはマシになるのでしょうか。

 このnoteは日本が世界に誇るものづくり企業について私見を交えながら解説をしていきます。
 ご意見ご感想がございましたら、コメント欄にお願いいたします。


事業内容について

 今回解説する会社は芝浦機械(6104)になります。
 読んで字の如く機械メーカーになります。ここは白と青を基調としたデザインで機械が統一されている気がします。

 静岡の沼津に本社工場があり、そこで機械を作っているメーカーとなります。

 機械メーカーといえば、マシニングを専門に製造していたり、研削盤を専門に製造していたりとある程度特化しているものですが、ここはとにかく製造している工作機械の幅がとても広いです。

 あと、ここは工作機械の土台(ベット)も自社で作っているのも凄いですよね。精密な精度を要求される工作機械はベットが弱いと加工精度が安定しないので、重くてしっかりとして尚且つベッド自体の精度が必要なのは言うまでもありません。

 ちなみに毎年やっているソリューションフェアで鋳造工程を見学出来ます。(コロナで中止になっているので見れないのが、残念ですが)

 土台の話を先にさせて頂きましたが、芝浦機械は大きく分けて、3つの機械群に分かれています。
①成型機カンパニー 
②工作機械カンパニー 
③制御機械カンパニー 

があります。

今回は①と②について説明していきたいと思います。

https://www.shibaura-machine.co.jp/documents/jp/ir/library/hosoku/2021_Q3.pdf より

 2022年3月期第3四半期決算に記載があった通り、主な受注セグメントは成型機カンパニーとなります。まずは成型機カンパニーから説明していきます。


成型機カンパニー

 成型機とは読んで字の如くですが、熱で素材を溶かし金型など型に流し込んで成型する機械です。

 上のグラフにもある通り、成型方法、素材によって設備が変わってきます。

射出成形機
 射出成形機とは主にプラスチック素材を熱で溶かし、金型に流し込んで成型する設備になります。

 プラスチックはガラスに比べ安価、軽量化、量産が可能なため大量生産品に向いている加工となります。

 素材によって透明性が高いため、容器は勿論、光学部品(スマホレンズ)や自動車部品(HUD)などに向いていると言えます。

 プラスチックと一口に言っても様々な用途があるので、対象業界がとても多い設備と言えますね。

https://www.shibaura-machine.co.jp/jp/product/shashutsu/lineup/ecsx3/ シリンジ
https://www.shibaura-machine.co.jp/jp/product/shashutsu/lineup/ecsx3/ コンパイナレンズ


押出成型機
 こちらは押し出すことで成型する設備になります。

 この設備で成型されるものはざっくり言うとシート(フィルム)になります。

 用途に応じて、樹脂を混合し様々な性能を添加してシート状にするイメージで良いと思います。

 射出成形より大きくて薄いものを成型するイメージで良いと思います。

 光学部品(導光板用シート、大型ディスプレイ用拡散シート)や食器容器用シートなどを製造するのに使用されています。

 最近では中国への液体燃料電池セパレータ用フィルム向けへの受注が好調ですね。

 液体燃料電池セパレータフィルムとは中々聞き慣れないセリフだと思いますので、それぞれ分けて解説していきましょう。

 液体燃料電池とは液体(電解液)を燃料とする電池になります。ここで挙げられている液体燃料電池とはリチウムイオン電池のことを指します。

 次にセパレータフィルムとは、セパレートするフィルムになります。

 下の図を見て貰えばイメージを掴むことが出来ると思いますが、+(正)極と-(負)極が接触してショートしないようにするフィルムとなります。

 リチウムイオン電池はEVでも使用され、注目されていますね。

 こういった製品を作るためには、芝浦機械の押出機が必要ですから、製造業の根幹を担っていると言っても過言ではないかと思います。

https://www.films.toray/products/setela/ より

ダイカストマシン
 最後はダイカストになります。
 基本的には型に素材を流し込んで形を作るものになります。

 ダイカストはアルミや亜鉛、マグネシウムの合金を高温で溶かして、金型に流し込む成型方法です。プラスチックなどに比べて硬い金属を流し込むため、精度の高いものを製造可能です。

 自動車部品(エンジンや、ボディ)などはこのような設備で作られています。ダイカストマシンで鋳造した部品は切削工具などで、トリミングしバリ取りを行って最終製品にしていきます。


工作機械カンパニー

 成型機が型を用いて、何かを作る機械とするならば、工作機械はその型を作る機械とでも言うべきでしょうか。

 成型機用の金型を製作するための機械も芝浦機械は製作しています。

 汎用研削盤や門型マシニングなども製造しておりますが、ここでは超精密加工用設備について説明していきたいと思います。

 超精密、超微密加工については、先のオーエスジーや日進工具などでお話させていただいたので、割愛致します。

 芝浦機械では、そういった工具メーカーの工具を取り付ける設備を製造しております。超精密な型を製造出来れば、成型機で成型する製品の精度を上げることが出来ます。

 精度を要求される成型品を製作する設備は、射出成型機やフィルム押出機となります。

 その中でも光学部品用途向けの型は要求精度が高く、一般的な工作機械ではその要求値を満たすことが難しいです。

 (光学部品はカメラレンズや、自動車のレンズに使用されます。精度が悪いとピンボケに近い状況になってしまうため客先からNG評価を受けてしまいます)

 超精密加工設備の特徴しては、スピンドルの回転精度が従来品よりも高精度である点と、駆動部がリニアモータ駆動となっている点です。(通常の研削盤ではボールネジ駆動となっています)

 スピンドルの回転精度が高精度と言うのはなんとなく、超精密だから高精度だからと想像がつきそうなので、駆動について説明致します。

 何が違うかと言うと、研削盤のテーブルの動き方が異なります。

 リニアは磁力で動いており、ボールネジはネジが動くことでテーブルが動きます。ネジで動くということは、ネジの山と谷の段差を通過する振動がテーブルに伝わります。

 その僅かな振動が製品精度に関わるため芝浦機械の超精密加工機はリニアモータ駆動となっております。

 ただ、やはりネジ駆動に比べて、馬力は出ないのが難点ですね。

 つまり、馬力が必要な加工はボールネジ駆動、超精密な加工はリニア駆動という感じです。

https://www.sodick.co.jp/st/tech/linear_motor.html にわかりやすい動画がありましたので、下に貼っておきます。こうして見ると精度に差が出ると言われてしまえば確かに……と頷く他ありません。

https://www.sodick.co.jp/st/tech/movie/linear_motor.mp4

https://www.sodick.co.jp/st/tech/movie/smart_linear_scale.mp4


株価について

https://jp.tradingview.com/chart/?symbol=TSE%3A6104 より

 芝浦機械(6104)の本日の引値は3060円となっております。

 つい最近4000円近くまで上昇していた記憶がありますが、気づけば、この2ヶ月の上昇分を打ち消してしまったようですね。(地合いなのかはたまた別の理由なのか定かではありませんが……)

 上昇した時は中国EV向け関連のセパレータ製造装置の受注が好調とのニュースを受けてEV関連の思惑があったと記憶しております。

 上記のように直近の株価は若干ジェットコースター気味ですが、会社的には、2023年度ベースで以下のような目標を掲げています。

https://www.shibaura-machine.co.jp/documents/jp/ir/library/20200204_1.pdf より

 配当性向とROEを重視した経営計画プランのようですね。株主還元にも意識を置いているというアピールをしていますね。
 ただ、芝浦機械の決算資料を見ていると成型機、工作機械共に営業利益、利益率共に良くないんですよね。

 工作機械はほぼ0%という結果になってます。

 理由としては、部材調達コストの上昇と書いてあります。工作機械の価格設定は把握しておりませんが、どちらかと言えば、コスト上昇をそのままか価格に転嫁しやすい業種かと思いますが違うのでしょうか。

 果たして、営業利益率を8%にする方法は一体あるのかが気になります。(人件費や固定費を減らして利益率を上げるような雰囲気を受けますが)

 個人的な直近の目標株価は地合いが安定すれば、4,300円程度と考えております。

 ですが、これからの先の決算発表で営業利益率を注視する必要が高いと考えております。

 利益率目標を達成するには、5GとEV関連の要望に対して適切にアプローチする必要があると考えます。

 業界としては自動車業界と光学業界をターゲットに進めていくと思います。

https://www.shibaura-machine.co.jp/documents/jp/ir/library/20200204_1.pdf より


終わりに

 ここまで読んでくださりありがとうございました。
 どんな業界、分野でもそこに特化したメーカーが存在することを少しでも知っていただけたら嬉しいです。

 今までの記事を読んでくださった方はきっと工具銘柄に少し詳しくなれたと思います。

 何かございましたら、コメント頂ければ幸いです。
 それでは、また次の記事でお会いしましょう!

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気になる方はぜひ!!

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