今、Instagramのガイドラインに大変動が起きている。
Instagramキャンペーンに関して、2020年6月にFacebook社のガイドラインに変更がありました。
Instagramキャンペーンを実施している企業は、すぐに対応が必要な内容になっています。
インセンティブ付きのキャンペーンがガイドライン違反に?
Instagramはこれまで、インセンティブ付きのキャンペーンを実質的に黙認していました。
しかし、今回の変更で「フォロー・いいね・コメントなどのアクションを促し、その対価を提供すること」がガイドライン違反になりました。
上記のガイドラインでは、すべてのInstagramキャンペーンが禁止になったわけではなく、あくまで「フォロー・いいね・コメントなどの見返りとして景品等を提供する行為」のみが禁止の対象となっています。
例えば、よくある「フォロー&いいねしてくれた方の中から抽選で10名様に商品をプレゼント」のようなキャンペーンは今後はできないとも考えられます。
一方で、ガイドラインでは「有意義で純粋なやり取りを大切にしてください」と定められているので、例えキャンペーンであっても、フォロワーやエンゲージメントの獲得自体が目的でなく、ユーザーとのコミュニケーションを主目的としたキャンペーンであれば容認される可能性があります。
もっとも、判断はFacebook社に委ねられているので、不安要素がある場合には実施はおすすめしません。
※2020年11月20日 追記
コミュニティガイドラインの該当箇所の文章がアップデートされました。
内容に大きな変更はありませんが、下記のような小さな修正が加えられています。
・「その他の関わりの見返りとして」から「やり取りの見返りに」に
・「現金に相当する景品」から「現金同等物」に変更
・「提供を申し出ることは、禁じられています」が「提供を申し出たりしないでください」に変更
文末の「禁止」が「しないでください」に置き換えられ、表現が緩和されたようにも見受けられます。
また、「景品の提供」という文言が削除されたことから、「この規約はキャンペーンの禁止規定というよりも、フォロワーやいいねの購入を取り締まるための規定です」というニュアンスを感じます。
なぜインセンティブ付きキャンペーンは禁止になったのか
この変更の背景は、Instagramがこちらも先日改訂したヘルプセンターのテキストから読み取ることができます。
要約すると、「キャンペーンに関する投稿はユーザーが嫌うコンテンツのため、コミュニティ品質向上の観点から表示を制限する」と明記しています。
ちなみに、Facebook・Instagram広告でキャンペーン告知投稿を出稿すると、下記のような注意喚起がなされるようです。
「フォロー、いいね、コメントなどのアクションを催促するような広告は、広告のパフォーマンスを下げますよ」ということですね。
まとめると、Instagramは、ユーザーが嫌うようなコンテンツ・広告の表示を減らすよう、調整を行っているようです。
ガイドライン違反にあたるからといってすぐにアカウント停止の可能性があるとは思えませんが、リスクはあります。
該当する投稿を実施中・実施予定の場合は、リスクを理解しておく必要があります。
話はこれだけでは終わりません。
インフルエンサーなどのPR投稿にもルールが制定される
InstagramにおけるPR投稿について、Facebook社が新たなルールを制定することが決まりました。
2021年6月までに、ユーザーが企業などからインセンティブを受け取った「PR投稿」には、その「Paid partnership」を明示することが義務化されます。
具体的な整備は段階的に進められると思われますが、これによりステルスマーケティングに対してFacebook社が公式に規制する姿勢を見せたということになります。
日本では「#PR」で企業案件であることを告知するが通例でしたが、「#PR」の認知度は実は50%程度です。
これでは「#PR」を付けようが実質的なステルスマーケティング状態ですから、プラットフォーム側が対策を打ち出したのも当然と言えます。
「#PR」の認知は、全体では半数の51%が「知らない」と回答
(引用元:https://www.tribalmedia.co.jp/news/13629)
ちなみに、YouTubeには既に企業案件(スポンサードコンテンツ)の申告義務があります。
対価を受け取ってスポンサーのために動画を公開した際には、それをYouTubeに報告しなければなりません。
SNSを活用したマーケティングが一般化し、消費者側と企業側で情報格差が大きくなってきています。
より健全なプラットフォーム運営のために、ルールが必要になったということでしょう。
ここまでのまとめ
・「フォロー」「いいね」「コメント」の見返りとして「現金や現金同等物」を提供することはガイドライン違反にあたる
・コンテストや景品を宣伝するコンテンツは「Instagramのおすすめ」の対象にはならず、既に表示が制限されている
・2021年6月までに、対価を受け取って投稿されたコンテンツには今後定められる方法で「Paid partnership」を明示する必要がある
「SNSは広告媒体ではない」というメッセージ
さて、このような大変動をどう捉えるべきでしょうか。
僕は、これらの変化には一貫したメッセージが含まれていると思います。
「SNSは広告媒体ではない」ということです。
本来、SNSというのは「誰かと誰か」あるいは「誰かと何か」が互いの相性や共通点などを確かめ、繋がりをつくり、より良い生活を実現していくためのプラットフォームです。
以下のnoteでも触れられていますが、Instagramのブランドミッションは「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」です。
Instagramがユーザーの自然なエンゲージメントに基づいてアルゴリズムを設計しているのは、それがInstagramの目指す未来を実現するための方法だからに過ぎません。
Instagramはマーケティングチャネルである以前に、コミュニケーションのためのプラットフォームなのです。
インセンティブ付きのキャンペーンやステルスマーケティングは、確かに簡単にエンゲージメントを獲得することができる手段です。
しかし、短期的な数値改善は達成されても、それによってブランドの価値が向上するわけではないことを理解しておかなければなりません。
キャンペーンやインフルエンサーはあくまでオプションで、基本となるのはオーガニック運用と、そこでのエンゲージメント獲得であることを再認識する必要があるでしょう。
エンゲージメントはもっと重要になる
これまで以上に、ユーザーからの自然なエンゲージメントの重要性が高まっていることが分かっていただけたでしょうか。
「言われるまでもなく、エンゲージメントが重要なのは知っていました」という方も多いかもしれません。
しかし、Instagramを運用している企業でも、エンゲージメントの意味合いを正確に理解していないケースは多くあります。
例えば、「エンゲージメント」の数値は「いいね」「コメント」「保存」の合算値ですが、それぞれのアクションはなぜ発生しているのか、どんな投稿でより多く発生するのか、といったことを自信を持って説明することはできるでしょうか?
例えば、エンゲージメントはどこで発生して、それが他のどの指標にどんな影響を与えるのか、ということを理解したうえで運用ができていますか?
日々の投稿に追われ、このような分析や言語化ができていない、というInstagram担当者の方は意外といらっしゃいます。
オーガニック運用では試行錯誤をしていく中で答えが見えてきますが、振り返りの際に絶対に必要になるのはデータです。
データがなければ、議論の始点も終点も見えず、永遠に「なんとなく」「とりあえず」「肌感では」「〜という印象です」という話しかできません。
だからこそ、まずはデータを蓄積する必要があると思っています。
データの蓄積が競合優位につながる
先日、Facebook社が公式に「スクレイピングへの対抗策を実施していく」ことを表明しました。
これまではInstagramに関するデータを(ポリシー違反ではあるものの)過去分も含めてスクレイピングで取得することができていたのですが、今後は規制が進み、そのようなツールの利用はできなくなっていくと思われます。
つまり、過去のデータを自由に取得することはできなくなります。
Instagramの公式APIでは、過去のデータは基本的には提供していません。
一部を除き、公式APIにアカウントの連携を許可して以後のデータのみしか収集できないのです。
したがって、早い段階で公式APIの利用許諾を受けたツールを使い始めておくことでしか、データの蓄積ができないということになります。
エンゲージメントの重要性が高まっている今、データの蓄積自体が競合優位性につながります。
できるだけ早く、関連ツールの利用を開始することをおすすめします。
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