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一戦必湘


俺たちの湘南

5/6月曜日、私は特別な一日を過ごした。

どこへ行ったとかではないが、いつも通りDAZNでサッカー観戦、大好きなクラブの応援、そして何より大切な試合を見届けた。

相手は地元のサガン鳥栖さん。

昨年ホームレモンガススタジアム平塚で大敗を喫した相手。
まさに土俵際に追い詰められた苦しい時期で絶望を見せられた試合でした。どんなに敗戦が続いても切り替えられたが、個人的にあの一戦だけは目の当たりにしたからか、ずっと心にモヤモヤがあった。
恐怖を真に拭うには、同じ相手に挑み勝たなければいけない。

あの後も苦境は続いたが、湘南は自分たちの原点ともいえるスタイルへ回帰し、起死回生、なんとかJ1の舞台に生き残った。

今季早くもリーグ11節を終え、再び最下位の窮地に追い詰められた湘南ベルマーレ。何かがかみ合っていないだけで、歩みは小さくても間違いなく前には進んでいる。湘南は昨季から町野選手と大橋選手、2人のスコアラーを見送った。それでも前線の鈴木章斗選手、ルキアン選手がなんとか点を取り、インサイドの池田選手、平岡選手も重要な役割を担う中点を取ってきた。昨年の同時期と比べると減ってはいるが、得点は毎試合と言っていいほどに取れている。無論、失点が増えていることも事実である。

2大ストライカーを見送った以上、攻撃の再構築が急務で、守備はベースさえ残すことができればいつでも固めることができる、そういった思惑も感じ取ることができてはいた。

そんななか開幕から得点を決めてきた鈴木章斗選手は負傷離脱、ここまでフル出場(前節は途中交代したが)を続けてきたルキアン選手もベンチ外に。

巷では裏天王山と呼ばれるほど、対戦相手の鳥栖さんも順位は近かった。とはいえ選手一人ひとりの技術はピカイチで、攻撃がはまればまた同じ目に遭うほど危険な対戦相手。特にマルセロヒアン選手や横山選手で仕掛けられたら、難しい局面も想定された。

序盤から集中して攻撃も積極的に展開していたが、前半にセットプレーから湘南は先制点を与えた。セットプレーの被弾は今年の課題でもある。立て続けに失うか、やり返せるか・・・どちらに転ぶ可能性もあった。

答えは・・・

アウェー札幌戦でプロ初ゴールを決め、迷いの消えた畑選手がサイドを駆け上がり何度もトライ。仕掛け続け生まれたルーズボールに懸命に足を延ばした畑選手。それに呼応した阿部選手がボールを拾う。左ニアゾーン2人が待ち構え、サイドを再選択するか放ってみるか。インタビューによると阿部選手には得点の匂いをすでに感じていた。同じくその匂いを感じていたストライカーが。福田翔生選手だ。今季待望のJ1初ゴールを決め、連続で得点を決める、緑と青の彗星によるリーグ4ゴール目。解説の水沼さん(元代表FW)の解説がしっくりくるほどに、しっかりと狙っていた。直前に一瞬首を振ってスペースを確認し走り込む。お互いの意志が重なり、意表を突いた阿部選手のクロスに福田翔生選手が飛びついて同点弾。最高の得点。息を吹き返した湘南は、果敢に攻め込む。オフサイドではあったが一度はネットを揺らした。(オフサイドでも一度ネットを揺らすことができれば、相手は無意識でもラインを下げるので効果は絶大)前半終了。DF、キムミンテ選手と大野選手にはすでにイエローカードが与えられ、個で剥がすことができる鳥栖相手には、守りづらくなりそうであった。前半集中できていても後半に崩れることが続いている今季。湘南の山口監督もそこを感じ取ったのか、アンカーに代表帰り(U-23アジアカップに招集され、代表は優勝し五輪への切符を取るも、出場はGSの1試合のみと消化不良、ベルサポの私も悔しかった)田中聡選手を投入。

先発で入った茨田選手は、どちらかというと攻撃のタクトを振る存在。田中聡選手は攻守において躍動する存在。昨年欧州挑戦を終え、チームを救った田中選手がアンカーで第一関門となるので、後ろは一歩引いて冷静に次のプレーを見極められる。絶大な効果をもたらした。

そして、後半開始まもなく、カウンターから逆転弾が生まれる。高速カウンターでエリア外の池田選手にボールが入る。いつもなら撃ちにも行けたが、後ろから走ってくる阿部選手に横パス。フリーで受けた阿部選手は迷いなくダイレクトで右足一閃。弧を描きゴールに吸い込まれる。待望の決勝点となった。そのあと、鳥栖の横山選手を中心とした猛攻をなんとか凌ぎ(セットプレー後のカットインミドル、湘南の失点パターンと横山選手自身のストロングが一致し、個人的に最警戒していたシチュエーションでした。全員わかっていたのでしょう、全力でコースを塞いでブロックするも、さすが横山選手、ここしかないというところに飛ばしてくる。ボムグン意地のスーパーセーブ。このシチュエーションは両者が神懸かっていた。リプレイを見ると山田選手と大野選手が最後まで追いつめていたことがわかり、ベテランの意地もひしひしと伝わる最高のシーンでした)

試合は終了。どっちに転んでもおかしくない鍔迫り合い、紙一重な試合でした。

おそらく現状の100%120%を出せた、フルパフォーマンスとも言えたこの試合。こんなオープンな試合展開を1年通して繰り広げることは不可能だろう。まさに綱渡りでもあった。この試合は勝てた。しかし偶然勝てた試合では意味がない。勝ち続けるしか、道は開かない。

次の11日の町田戦。おそらくフルパフォからの反動で、難しい時間も想定される。首位の町田ゼルビアさんも勢いがあり、やはり強敵。過去湘南に所属したGK、谷選手も調子を上げている。

フルパフォを出し切って勝てた稀有な試合だからこそ、勝ち続けて再現性を高めていきたい。勝って兜の尾を締め、偶然を必然に。それをできると信じています。

勝利を掴め、俺たちらしく。
~一戦必湘~


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