[9]F1で働くには、求人が出てからでは遅いかもしれないということ
F1エンジニアに憧れる人へ。実際に目指してきた経験を元に、F1に憧れる人へ連載を始めました。筆者は:日本の高校→イギリスの大学→英F1チームインターン(2017-18)等してました。
・収録マガジン:「F1で働く」
・前回記事「[8]今もF1の中心地はイギリスだから、本気なら早く一度来た方が良い」
こんにちは、わたぽんです。
F1チームでの働き先を見つけたいなら、求人情報を当たる。先々週の記事では、就職情報の見つけ方を紹介しました。
しかし率直に言うと、それだけじゃちょっと遅いよな…というのが本音です。求人が出た頃には、既にその枠は埋まっていたりする。応募しても、その時点で既に不利だったりする。
どういうことか?
今週はF1求人事情、もう一つの側面について紹介しようと思います。
求人が出た頃には遅いかもしれない理由
F1における通常の求人は、
「現メンバーが移籍してチーム内にポジションが空くから、新しいメンバーを募集しよう」
「新しいポジション作るから、外部から集めてみよう」
というような時等に出されます。F1には新卒一括採用とかはありません。ポジションが空けば、新しい人を雇うのが基本です。
イギリス人だったら、これを知ってるだけでも十分かと思います。しかしあいにくながら、日本国籍を持つ者としては、これだけじゃまだ押しが弱いかもしれない。
というのは、F1の求人にはもう一つの形がありえるからです。それが、
「既に該当ポジションの候補者はいてほぼ決まってるが、それを確定するために求人広告を出す」
というパターン。
というのも、F1チームの多くがあるイギリスでは、外国人の雇い方に色々と面倒なプロセスが存在してます。その一つが、求人広告について。
イギリスでは外国人を雇う時、各企業(チーム)が自国内でその人の替えが効かないことを証明しなきゃいけない。
それぞれの職には、求められる条件があります。特定のシミュレーションソフトに造詣があって、理論を理解してて、レース経験があって…。その条件に当てはまる人がもし自国内にもいたら、理論上、企業側は海外の人を雇ってはいけないことになるのです。これは自国の雇用を守るためのルール。(面倒よね)
その証明方法が、求人広告を出すということ。「求人に対して他に良い人材が応募してきませんでした」と言って、初めて企業は外国人を雇える。
だから、求人広告が出た時には、既にそのポジションが埋まってるかもしれない。ほぼ埋まってるポジションのブラフ広告に応募したところで、それを上回って自分が選ばれる確率はかなり少ない。
ではどうすれば良いのか? その問いに対するヒントが、次にあります。
人伝いが優遇されるF1
F1では、人伝いでの求人が多々あります。
まあ、コネですね。笑
コネって言い方すると悪く聞こえるんですが、実は案外、理にかなったシステムでもあります。
例えばどんな人かよく知ってて周りとうまくやれることを知ってる人と、全く知らない人、どっちが良いですか?
あるいはいつも適格な判断をする上司が「こいつはチームに良いかもよ」と紹介してきた人と、外部から突然応募してきた未知の人、どっちがチームと合う確率高いですか?
そう考えると、ある程度繋がりのある人や、信頼する人からの紹介の方が、楽に良い人材を見つけられたりする。
特に海外からの求人に対しては、これがとても有効に働く。それは以前も書いた通り、日本から応募してきたところで、その人のことや背景がさっぱり分からない謎めきさ、が根底にあるからです。
そこに信頼する人等からの推薦やコメントがあれば、まあ多分人としては大丈夫だろうとなる。実力の担保もしてくれるかもしれない。そしたらあとは、面接で実力を見せれば、採用してくれる確率も高まる。
コネってバカにされること多いですが、ヨーロッパでは普通。むしろ外国人にとっては、より重要なポイントになったりします。
いきなりF1へ行こうとしないのも選択肢の一つ
F1の中に知ってる人を…と言っても、そう簡単にF1の人と会ったり、仲が深くなれないかもしれません。そんな時は、F1に限らず見てみることも大事です。
例えばF2やF3等にも、元F1関係者やF1と繋がりのある人がいたりします。F1でのインターンやお手伝いは難しくても、下部カテゴリーならなんとか入り込めるかもしれない。
F1チームとはいえ、レースはレース。ならば、レース経験を積めることは重要な経験となります。ならば、F1のインターンに入り込むために、まずF1以外の場所で経験を得る。そんな考えもありかもしれません。
F1を目指す人のためのTips
求人情報というのは、あくまで一般公募する場合に出てくるもの。あるいは、ビザ条件クリアのために出されるもの。求人情報を待っているだけじゃ、ベストを尽くしたとは言えないと思っています。
自分から主体的に動いていく。そうして初めて、道が繋がっていたりすることもあります。
求人だけにとらわれず、幅広く考えてみてください!