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フランスの旅(5)~ルーアン

Bonjour ! 皆様こんにちは。パソコンの具合が良くなかったせいで、少しの間ご無沙汰しておりました。気が付けば我が街浜松も桜の花ざかりとなりましたが、週末の雨でだいぶ散り始めているようです。私は今は亡き村下孝蔵(むらした こうぞう)という歌手が昔から大好きなのですが、彼の歌の中に『花ざかり』という沁みる曲があるので近くまたじっくり聴いてみたいと思います。

その村下の歌をバスの中で思い浮かべながら、たどり着いたのが北仏ノルマンディー( Normandie )の州都ルーアン( Rouen )。今さら説明の必要もないと思いますが、オルレアン( Orléans )を解放したのもつかの間、イギリス軍に捕まり裁きを受けたジャンヌ・ダルク( Jeanne d'Arc )が異端として火あぶりの刑に処せられたのもこの街でした。実は遠藤周作がフランス留学で最初に滞在したのもルーアンで、ロビンヌという人の家にホームステイをしてフランスでの生活のイロハを叩き込まれていたそうです。その間、遠藤もジャンヌが処刑されたという広場をよく訪れていたとか。西洋と日本の宗教観の違いに悩み終生これをテーマに作品を書いていた彼は、篤い信仰を持ちながら不条理な最期をとげた救国の少女にどのような思いを抱いていたのでしょうか?

さてクリスチャンでもないただの旅行者の私はと言えば、その広場の前にそびえるルーアン大聖堂( Cathédrale Notre-Dame de Rouen ) のデカさにただただ圧倒されるばかり。19世紀の画家クロード・モネ( Claude Monet )は、よほど強い思い入れがあったのかこの大聖堂をモデルに30枚以上もの絵を描いています。なおこの大聖堂の建築が始まったのは12世紀半ばで完成したのがなんと1544年。ジャンヌがこの街で処刑されたのが1431年だったので、彼女が死んだ時にはまだ建築中だったという訳です。ほんと、昔の人は気が長いなあ。

不思議な太鼓( le tambour )の音が聞こえてくるな、と思って聖堂の外に出ると、見ればアフリカ( l'Afrique )のどこかの国から来たかと思しき人たちのグループが、お国の太鼓をリズムよく鳴らして大勢の人の前で演奏していました。そのリズムに合わせて、金色の髪をした白人の女の子が楽しそうに踊っていて、それを同じ髪の色をしたご両親が笑顔を浮かべて見ていました。長い歴史をもつ大聖堂の前でのこの光景に、私は二つの異なる文化が溶け合う瞬間を見たような微笑ましい気分になりました。と思う間もなく、帰りのバスの窓から移民排斥を唱える極右( l'extrême droite )のポスターがはっきり見えたではありませんか。これを見て、いろんな意味でフランスという国は懐が広いと言うか、複雑な事情を抱えているのだなと思いました。

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