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FYI.4 自ずからのACP

もう、この暖かさは桜が咲いてしまいますね。。。
本日は満月。
 
先週末、オンラインシンポジウム「ACPの考え方と実践」を受講しました。いろいろと勉強になりました。

ACP(Advance Care Plannning)とは、日本老年医学会で「将来の医療・ケアについて、本人を人として尊重した意思決定の実現を支援するプロセスである」と定義されています。日本では厚生労働省が2018年に「人生会議」と名付けて、普及活動を行っています。

ACPは元々、1970年代に米国で生まれた「患者の自己決定」という考え方が発展して、前身はAD(Advance directive:事前指示)、所謂リヴィング・ウィルから来ています。自己決定の考え方は今、SDM(Shared decision-making:共同意思決定)となり、併せてADからACPになってきているということです。これについて、ADが法制化された米国のような発想は、どこか日本には馴染まないのではといった違和感や抵抗感が、まだ残るのが現状ではないかと思います。これは、前回書いた「安楽死」で感じたことにもつながる話です。
 
シンポジウムでは、日本には「自ら」ではなく「自ずから」という言葉があるように、日本人は「自ら決める」のではなく「自ずと決まる」という受け止め方も持っている。だから、「自分が、自分が」と意思をすべて言語化しなくても、特に高齢者は、かつて自己表現を控えることを求められてきた時代に生きて、自己主張を躊躇する人が多く、彼らに意思の言語化を求めることは時に酷であり、本人を中心に関係者が察する力を働かせながら一緒に考えていくことで、方向が「自ずと決まる」という在り方もあるのではないか、とのお話がありました。
 
そして、ACPのPは、PlanではなくPlanningとなっていること。つまり、計画そのものではなく、計画を立てる「過程」を指すのであり、「答え」を出すことに拘るのではなく、その過程そのものの「対話」を大事にしていこう、ということです。
 
オレンジホームケアクリニック理事長の紅谷浩之さんの言葉が紹介されていました。心に刺さりました。以下に共有します。

「決めなくてもいいから、いっぱい話をしよう。
どこで死にたいか、病気になったときどうしたいか。
そんな話ばかりしなくてもいい。
何が好きか、何を大切にしているのか。
決めなくてもいいから、いっぱい話をしよう。
たくさん話し、迷った先にみんなで出した答え。
決めなくてもいいから、いっぱい話をしよう。
こんなとき、私は、あの人は、どんな選択をするだろう。
その過程の先には、きっとみんなでうなづける未来がある。」
 
私が勤めるような急性期病院では、個々の患者さんとゆっくり何度も話をする時間を設けることは難しいですし、すぐにでも決めなければならない差し迫った問題もあります。そして、それらの問題は大抵ジレンマがあるなど、容易に決断できるものではありません。だからこそ、対話を通して本人やご家族との間にいかに良い関係性を築けるかが、非常に重要なのだと改めて思いました。
 
【Information sources】

〇日本老年医学会「ACP推進に関する提言」2019年
ACP_proposal.pdf (jpn-geriat-soc.or.jp)

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