FIY.18 面会制限
この夏、甲子園での高校野球は4年ぶりの声出し応援可のもとで、慶應義塾高等学校が107年ぶりに優勝と大いに盛り上がったようですね。「盛り上がりが足りない」というコール、最初はなんのことかチンプンカンプンでしたが、今や、時々心の中で「盛り上がりが足りない」を歌って自身を鼓舞することもあるくらい・w
日本も遅ればせながら、世の中は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のフェーズに入ったということでしょうか。。。コロナのことを言っています。
それでも、病院ではコロナはまだまだしぶとい。ここに来て、また波が隆起していることを実感します。今年の5月に感染症法上5類とされてから、当院では一旦、面会禁止が解除されましたが、夏休みのタイミングで面会時間と面会者を原則家族のみとする制限を再設定しています。また、私が家族の代理受診で行った他の病院では、依然として全面的に面会禁止となっていました。
先日の朝、患者相談窓口に一人のご老人が来られました。中折れ帽にキラキラ光る音符のピンバッジを着けてオシャレな装い。私と目が合うと、「ちょっといいかな」と片手を挙げて曰く、「なぜ、家族じゃなきゃ面会がダメなんだ。私の家族は一人息子だけだけど、息子は私が入院したって、殆ど面会には来やしないよ。それより、いつも色々お世話をしてくれる近所の友達がいるんだ。その友達が面会に来てくれるほうがとてもありがたいのに、家族じゃなきゃだめだなんて。年寄りが入院中、一人で過ごさなきゃならないのは本当に侘しいものだよ。分かるかい。これは私だけじゃなく、そういう一人暮らしの老人は沢山いると思うのだけど。ちょっとどうにかしてくれないかな」と。
本当におっしゃる通りだと思いました。
今や、家族が患者にとって一番近しい人とは限らない場合が珍しく無くなってきていることを改めて気付かされました。家族って何なのだろうと考えさせられます。
面会は治療の一部と言われるくらい、入院中の患者に力を与えます。なので、心情としては面会を禁じたり制限をかけることは避けたいですが、一方で、限られたスタッフで日々の病棟の安全を守っていくという観点から、特にコロナのリスクが残る状況では面会管理は厳しいとも思ってしまいます。
そのような中では、原則として制限を設けた上で、個別のケースによって柔軟に創意工夫などしながら対応するというのが最も現実的な落とし所でしょうか。そうした対応ができる体制、職場環境を整備していきたいと、働き方改革的には思うところです。
【Info sources】※本題ではないですが。。。