見出し画像

両親の自撮り写真を現像したら、笑えるのに泣けた

いつも一緒にいる両親。
2才の息子は、じいじばあばの区別があまりついていないようだ。
いつも二人一緒にいるから、「じいじばあば」で一つの単語なのだ。
じいじを呼ぶ時も「じいじばあば」。
ばあばを呼ぶ時も「じいじばあば」。

「じいじばあば」とセットで呼ぶ息子に、軽く、でも少し本気で注意をしてしまうときがある。
「じいじ」と「ばあば」だよ、それぞれで呼んでほしいな、と。

「いつも一緒なんだからいいじゃない」と両親は言うけれど、私は怖いのだ。

考えたくもないけれど、もし、セットじゃなくなったら。
一緒にいることがこれだけ当たり前の両親がセットじゃなくなったとき、
「じいじばあば」と息子に呼ばれることで、どちらかが悲しい思いをするんじゃないか。
寂しい思いをするんじゃないかと思うから。

そんな両親が自撮りを覚え、じいじばあばに会えなくて寂しいと泣いている子どもたちに写真を送ってくれた。
タイマーなどに苦戦し、やり方がわからず、何枚か撮り直したうちの一枚らしい。

笑った。
70歳近いのに、いつまでも陽気なんだから。
きっとビール3杯は飲んだんだろうな。
まぁ陽気に歳は関係ないか。
そんなことを思いながら現像した写真を見ていたら、
笑っていたはずなのに涙が出てきた。

上京する時
「行っちゃうのかぁ。ずっと一緒に住めたらよかったのにね。楽しかったねぇ。頑張るんだよ。」
と少しだけ震えた声で、寂しそうに笑って送り出してくれた母の顔を思い出した。
田舎に残らなくて、ごめん。
自撮りなんて、私が一緒に住んでいたら覚えなくてもよかったのに。
二人にさせてごめん。
そんな思いが溢れてきた。

でも、次に送られてきた画像を見て、すぐに涙はひっこんだ。

この二人、スキー場でも自撮りをしている。
とうの昔に娘を超えた自撮りの上級者だ。
そしてこの自撮りした日は、「のっぴきならない用事がある」とのことで子守りを断られたあの日に違いない。

意外と新しい物好きの両親に贈ったチェキ。
撮影してすぐに現像できるチェキは、
両親にはドストライクだったようだ。
確かに携帯に保存されている写真の現像は
我々世代だってややこしいし面倒だ。

フィルムをもったいぶってなんとなく現像してこなかったが、
残さなかったらなかったことになってしまう。
私も気軽に笑って残していこう。

しっかり自分の生活を楽しんで
ちゃっかりチェキを使いこなす両親に、
ビールでも持ってそろそろ会いに行きたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?