【ガンバ大阪】2021リーグ戦開幕。昨年の積み残し、4-3-3?
お疲れ様です。今年も間もなく、Jリーグが開幕します。今年も気が付いたこととかを投稿していこうと思いますので、よろしくお願いいたします。今回は、先週末の富士ゼロックススーパーカップの川崎戦を通して感じたことなどを記していきたいと思います。
昨年の積み残しは何だったのか。
昨シーズン、リーグ2位とはいえ得失点差が+4。勝つときはロースコア、負けるときは大量失点というケースが多かった。このあたりがサポーター、識者からは「安定性の欠如」ととらえられ、本当の強さとはとらえられていないのがガンバ大阪の現状だろう。いくつか見る順位予想もなかなか辛いものがある。また、優勝した川崎フロンターレに対して3戦全敗、圧倒的に許してしまったボール保持という事実もまた「圧倒された」という感覚にとらわれるのも無理はない。
個人的には、ロースコアで勝ち切った試合の多さ、先制されても粘り強く戦えた試合も多かったので、2位という結果はチームの努力の結晶で過剰に悲観的になる必要はないと考えている。また、川崎フロンターレとの力の差はあると理解しつているが、やるべきことをやっているのにそれを上回る個の技術によって許した先制点で試合の流れが川崎側に流れていったこともあり、たらればではあるが、先制点を奪えていればロースコアで勝ち切れる可能性もなくはないのかなという気もしなくもない。という感触である。
昨シーズンは2位だったのだ。勝った試合は4-4ブロックの堅牢さ、カウンターでゴールを奪うことでスコア優位の中で試合の主導権を握り、僅差の勝利に持ち込むことを数多くできるのは強いからだ。でも僕たちはガンバ大阪である。このままでは物足りない。目指すところは、ボールを保持しながらスコア優位も得て主導権を握ることで相手を圧倒するところを目指したい。というのが2021年のガンバ大阪の立ち位置であり、昨シーズンからの積み残しなのだろう。
自陣ゴール前の守備、ミドルゾーンでの守備、前線からのプレス、個々の守備能力に十分に準備ができた一方で、守備から攻撃への移行の準備と後方からのビルドアップに課題を残し、カウンター、高さを活かし、個々の突破力・ボールスキルでゴールを奪っていた。今シーズンに向けては
・守備で奪ったボールをどう攻撃につなげるか
・後方からのビルドアップをいかに精度高く行うか
・相手陣深いエリアでボールを保持し続けることで奪われてもすぐに回収できるようにする
以上3点を達成したい。監督自身も「欲張り」と言っているが、欲張りに全部できるチームを目指すのが2021年のガンバ大阪だと思う。
補強のおさらい
主な補強はチュセジョン、レアンドロペレイラ、チアゴアウベス。
チュセジョンはこれまでいなかった中盤のアンカータイプの正しいポジショニングを維持し続け対人守備に強くボールを散らす役割。レアンドロペレイラには高さ・強さ・うまさで90分のプレーが厳しいパトリックとともに最前線の目印となりゴールを奪う役割。チアゴアウベスには左利きのアタッカーとして、右利きの選手が多いガンバの中でアクセントをつけたいという思いのある補強だと思う。
大卒の佐藤はCBの人員の層を厚くすること、レンタルバックの林は退団したGKの代わりにレギュラー争いをさらに活性化させること、一美には退団した渡邉千真の役割を担うことが求められる。
噂されるウェリントンシルバについてはプレーを見る感じ、アデミウソンの後継として、ドリブルでボールを前進させる役割を求められるように感じている。
川崎戦で披露した新システムをどう呼ぶか。
さて、今回の本題ともいえるフォーメーションの話である。
2020年まで
①「4-4-2」(2センターバックのダブルボランチ)
②「5-3-2(3-1-4-2)」(3CB、アンカー)
というシステムを採用していた。2トップでプレスのスイッチを押し中盤ででボールを拾いたいという思いもありつつ、後方の人数に依存していた部分もあって徐々に撤退戦を強いられていたのここ2シーズン~3シーズンの宮本監督体制なのだと思う。これはこれで持っておいたほうがいいもの。でもこのままじゃだめだから新しい配置を試す。それが各記事やテレビ放送で指摘されたフォーメーション、「4-3-3」なのだと思う。
「4-3-3」は正しい表現なのか?
ゼロックス杯川崎戦を見た私の感想は4-3-3で表現するのはあまりよろしくない。ブロックを作っての守備の時の立ち位置は4-3-3ではなかったし、攻撃の時も4-3-3と表現するのはあまり適切ではないように感じたからだ。個人的な感想としては守備は「4-5-1」、攻撃は「2-3-4-1」だと思う。
ディフェンスに関しては、前線からプレッシングは昨シーズンと同様、MFの5人とFW1人でボールを奪えるように突き進む。相手がボールを蹴ったらCBを中心にボールを回収し、近くの選手にボールを預け時間を作る。中盤での守備は4-5-1の隊形を組む。だけどボールの位置を見て5のうち1人は前線に飛び出して4-4-2のような形になることもある。自陣ゴール前の守備はしっかりと人数をかけてゴール前の守り方ということになっていた。
攻撃については課題である後方からのビルドアップに改善が見られた。GK、2人のCB、アンカーでひし形を作り、相手FWに選択肢を惑わせて中途半端な判断を誘う。SBはアンカーの隣に立ち、ボールの受けどころとなる。一気にワイドに張ってオーバーラップはしない。この役割を「2-3」の5人が担う。新しい取り組みが浸透すれば謎のパスミスは減りそうな予感が漂っている。積み残しについては一定の解決が見込めそうである。付け加えるならば、川崎戦の2点目につながるPKは後方からのビルドアップがクリーンに行われた成果でもあるので早くも効果がでている。
アタッキングサードに入ったら、「3-4-1」の8人の出番だ。サイドでボールを預けるたときの選手の立ち位置が興味深かった。ウイング、インサイドハーフ、サイドバックの3人の三角形を組み、ポジションを入れ替わる。ただし、大外のレーンに入る人数は1人に可能な限りとどめる。その斜め後ろでアンカーがフォローに入ることで4人の関係性をつくる。
上記4人の関係性を作りながら、①逆サイドのウイングと②インサイドハーフ、③センターFW、④同サイドのインサイドハーフ、サイドバックもしくはウイングのうちの一人。計4人は必ずペナルティエリアの中へ。アンカー、同サイドのインサイドハーフもしくはサイドバックはこぼれたボールを拾えるような位置に立つことでゴール前の迫力(人数)を作ることでゴールを奪う。ことを狙っている。川崎戦の1点目をこんな感じだと思う。大外で小野瀬が受けた時にウイングの矢島はペナルティエリアに入り、ゴール前の迫力を作りこぼれ球に反応して見事なゴールを決めた。
前方でボールを奪われたら・・・
近くの選手がボールにアタックして、ボールを早く回収するようにいく。1トップの相手の場合、2CBで数的優位を、2トップの相手の場合、2CB+1の3人で数的優位を作り跳ね返す準備を怠らないようにする。
以上が、川崎戦から見えた新たな形のまとめ。
各ポジションの役割も少し変わる可能性
おそらく4-5-1(2-3-4-1)を使うとポジションの役割も下記のように変わると思う。
GK 守備。ゴールを守る。守備の司令塔、声出し続ける。攻撃。ビルドアップのスタートとサポートを担う。
CB 守備。相手CFとのデュエルに勝ち、シュートを撃たせない、シュートブロックを行う、空中戦に勝ちクリアする。攻撃。ビルドアップの起点。ボールタッチ回数が増える。前方または斜めにパスを出して攻撃のスイッチ。
SB 守備。相手サイドアタッカーとの一対一に勝つ。クロスを上げさせない。ボールを奪い、近くの選手に確実に当てる。攻撃。ビルドアップの繋ぎ役兼受け手。インサイドレーンでボールを受けアンカー、インサイドハーフ、ウイングにボールを散らす。前方に顔を出しセンタリングを上げる、シュートを撃つ。
アンカー 守備。常に適切なポジションを取り続け、ピンチの目を摘む。こぼれ球を拾い続ける。攻撃。常にボールを受けられるポジションに立ちづづける。ボールを散らし相手守備の目線を変える。
IH 守備。相手センターハーフとの一対一に勝つ。CF、WGのプレッシングに連動、ボールを奪えるように立ち位置をとる。ボールを奪う。攻撃。ドリブルで前線に運ぶ。ウイング、SBとの三角形の軸となりサイド攻撃の軸に。ミドルシュートとラストパス。
WG。守備。前線プレスの起点。相手のプレーを制限し、CB、アンカーがボールを簡単に奪えるように動く。プレスバックでボールを奪う。攻撃。相手サイドバックとの一対一に勝つ。ドリブルなどで局面を打開、センタリング、ラストパス。逆サイドからの攻撃ではシューター。
CF WGが作った制限に合わせて次のボールの行く末を読みプレッシャーをかける。相手のビルドアップのをけん制。攻撃。苦しい状況でもボールをキープして時間を作り、自分たちの時間を作る。ペナルティエリアの目印。シュートを決める。
小野瀬がサイドバックで起用された理由も、矢島がウイングで起用された理由以上で記した役割がそれぞれのポジションでこなせると判断されたからだろう。こんなタスクをこのエリアの選手にやってほしい。だからこの選手を起用するという考え方。今までの各ポジションの役割からの変化は求められる選手の要件も変わる。藤春のように変化に適応していく選手もでてくるだろう。
相手に合わせて各ポジションの役割を変えずとも選手を入れ替えることで対応するということも考えられる。対戦相手の傾向にあわせて、起用する選手、フォーメーションが変えられるようなるレベルに3月中に仕上げられれば上位進出の可能性はぐっと広がるだろう。そのためには勝ち点も必要。また、川崎戦で披露した「4-5-1(2-3-4-1)」がすべてではない。これまで活用してきた3CBシステムや、4-4-2も相手や状況に合わせて使うときが来るだろう。それにいちいち驚くのではなく、狙いを読み取る作業を続けてみたい。
最後に
ということで、開幕の神戸戦を間近に控えている。ACLのグループステージが集中開催になったことで日程は過密だが、「オーストラリアでのアウェイゲームの後、中3日で試合」ということはなくなったので、わりとポジティブな気持ちでいる。とにかく、ACLに入る前にトップ3以内に入っておくことが重要。浮かれずにマジで一戦必勝していかないとやばいという気持ちをもってすべての試合に臨まなくてはならない。そして、試合が無事開催されるということに今年も最大の感謝をもってJリーグを楽しみましょう!