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パンデミックの後に吹くサステナブルな春の風

こんにちは。博報堂グループでスタートアップスタジオを運営しているquantumの渡辺です。変わりゆく時代の中で感じたことをつらつらと書いていきたいと思います。


晴れ渡る空に満開の桜。

ここ最近の春の陽気は、全世界を巻き込んだ激動の1年間の、「次の一年」の始まりを告げています。

この1年は、私にとってもプロジェクトの進め方から組織の運営方法まで、全てがガラッと変わった年で、リモートワークが日常になりオフィスに行く頻度が激減するなど、以前とは全く違った生活スタイルになっています。

緊急事態宣言も明けて街には人出が戻りつつありますが、マスクで埋め尽くされた街の顔色を伺うように、以前とは違う色の風が吹いているように感じます。


パンデミックがもたらした「ソーシャルディスタンス」と「ステイホーム」が、SNSの波に翻弄されがちな現代人に強制的に自省の時間を与えたのか、

ウイルスの脅威に不安を感じながら自分と向き合う時間が増えたことで、私自身も自分の健康や周りの環境、仕事に対する考え方が変わってきたと感じています。


コロナと免疫が連れてきた長期的な視点

これまでは仕事中心の生活で、ある意味健康にはそれほど気をかけずに過ごしてきたのですが、健全な免疫機能が求められる今回のパンデミックの中で、日常的に健康への意識が高まり、その健康への意識の高まりが自分を取り巻く環境や時間の使い方に影響を及ぼしています。

生物の根源的な欲求である生存本能に起因しているのか、家族や友人など他者にうつすまいという他愛の精神からなのか、免疫を健全に保って健康を維持したいという気持ちが、短期的な思考や行動を抑制し、長期的な視座で物事を考えられるように変わってきたような気がします。

その結果として最近いろいろなところで聞くようになったSDGsやサステナビリティという考え方も、社会からの受け売りの言葉ではなく、自分自身が生きていく上で非常に重要なものと実感するようになってきました。

自分や周囲の人たちを守るために、自分の生活だけでなく、自分を取り巻く環境も合わせてサステナブルである必要がある。

そんな風に意識が変わった一年でした。


変わりゆく意識と加速するESG投資の結節点

自分との対話を通じて少しずつ意識が変わっていった中で、ふと周りを見渡すと、同じように働き方を変えたり、住む場所を変えたり、家族との時間を増やしたり、これまでの東京中心、仕事中心の生活を少しずつ変化させている人が増えてきており、パンデミック2年目を迎え、今年はその流れがより一層強くなっていくのではないかと思います。


一方で、昨年末から今年にかけてSDGsやESG投資に関する動きもこれまで以上に活発化しているように感じます。菅総理の所信表明演説でもカーボンニュートラルの話が上がりましたが、今年に入って行政や金融機関を筆頭にSDGsやESG投資に関する様々な取組がニュースを賑わせています。

もちろんこのような取り組みは新型コロナが発生する前から検討されてきたものですし、今回の感染症との直接的な関係はあまりないでしょう。

ですが、これまで続けてきた持続可能な取組の練度と、私のように大衆が感じているコロナ後の持続的な生活に対する意識の変化が重なり合い、いよいよ2021年の今年はそれが社会全体の動きとなっていくのではないかと感じています。


新規事業に不可欠なサステナビリティ

これまでは、地球環境を考慮して国や行政が主導してきた持続可能性に関する取り組みですが、パンデミックを経てその重要性を個人レベルが理解しはじめた2021年以降、今後生まれる新たな事業やスタートアップにおいても、サステナビリティの観点が不可欠になっていくように思います。

確かにこれまで成長を第一の目標においてきたスタートアップや新規事業は、持続可能性よりも収益性を優先してきた部分が少なからずありました。

ですが投資をする事業会社や金融機関に加え、消費者サイドの価値観も持続可能な社会を評価する時代へと突入していく中で、今後は成長と収益性だけを追い求める企業は投資家からも消費者からも評価されず、淘汰されていくことになります。

もちろん、新規事業・スタートアップである以上収益性は不可欠な項目で、社会に良いことをしていてもお金を稼げなければ事業は継続できません。サステナブルでありながらしっかり収益性のある事業を作る、それがパンデミック以降の新規事業の必須要件になっていくでしょう。

例えば、ロンドンにあるOxwashでは、Ubereatsのように自転車を使って、エコフレンドリーな洗濯サービスを提供しています。クリーニングプロセスを再構築し、水のリサイクル利用を通じて洗濯用排水や洗濯で発生するマイクロプラスチックの削減を実現しています。

ユーザーからしてみればクリーニングのデリバリーという価値を通じて代金を支払うので、環境への負荷を減らしながらしっかりとした収益化が見込める、まさにサステナブルでありながら収益性のある事業になっています。

また、ロンドンのUpCircleでは抽出後のコーヒーやチャイの茶葉など、普段は捨てられてしまう商品から肌に有効な天然物由来の成分を抽出し、スキンケア商品として販売しています。

こちらもユーザーは化粧品自体の効能や価値を感じて商品を購入しますが、商品が売れればそれだけ廃棄物を減らすことができるので、ビジネスが普及することで、環境負荷を減らすことにつながっています。


今回紹介した2つのスタートアップのように、今後は収益性だけでなく、環境や社会の持続性を考えたビジネスが次々に生まれ、評価を集めていくことになるでしょう。

我々quantum自身も「新たな未来のかけら」としてサステナブルの観点を取り入れながら、パンデミック後の新たな事業を生み出していきます。

今後マガジン形式でOxwashやUpCircleのような収益性の高いESG企業をnote上で発信・分析していきますので、皆様が今携わられている新規事業開発の参考にしていただけたら嬉しいです。


quantumは世の中を明るく、人々の生活を豊かにする製品・サービス・事業を次々と生み出している会社です。このように次の未来を見据えながらこれからも様々な事業・取り組みを世の中に発信していきますので、一緒に次の新しい事業を生み出しましょう。





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