因縁の羽田で結束バンドが最高の景色を見せてくれました。
『結束バンド ZEPP TOUR 2024 We will DAY3 東京公演』に行ってきました。
約束された最高のライブとはまさにこのライブのことではないだろうか。
いや、それ以上の最高の景色を見せてくれた結束バンドにただ感謝しかない。
ということで、結束バンドメンバーの各ボーカル毎に今回のライブについての感想を記していく。
(※もちろんネタバレありまくりです)
◯水野朔さん(山田リョウ 役)
いつも『カラカラ』のイントロがかかるだけで血が滾ってしまうのだが、今回はいつも以上に興奮したような気がする。
その理由としては、まず登場がかなり早めだったこと。
3曲目でいきなり水野さんの登場は少し意表をつかれた。(4曲くらいは長谷川さんボーカルの曲をやると思っていた。)
そんな中で披露された『カラカラ』はいつも通りの美しい歌声だったが、以前ロッキンで聴いたときよりも力強さを感じた。
曲の魅力を損なうことなく、尚且つ歌うたびに曲の表情が変わっていく。
そんな『カラカラ』だった気がした。
昨年の「恒星」の時同様、MCのときは本当に楽しそうだった。いつもよりテンション高めの水野さんが見られるのが結束バンドのライブの良いところのひとつである。
そんな楽しげなMCから一転して、『惑う星』では『カラカラ』の時以上の力強い歌声を聴かせてくれた。
『カラカラ』はファルセットを多用して美しい歌声を聴かせてくれる曲なのに対して、『惑う星』ではファルセットを使用していない。
クールな山田リョウがこんなに力強く叫ぶように歌うだろうか。
そんな疑問を持つことが愚かだと思うくらいに、水野さんの歌声はちゃんと「山田リョウの叫び」だった。
クールなリョウの叫びに完全に心を打たれた。
◯鈴代紗弓さん(伊地知虹夏 役)
ロッキンのときも思ったが、鈴代さんがステージに登場すると一気にその空間が明るくなる。まさに太陽のような存在。
そんな太陽神のお姿はもちろん今回も健在でした。
ステージを所狭しと駆け回り、上手にも下手にも後方にも前方にも、とにかく客席に手を振る。ときにはしゃがみ込んだりもしながら。
あのとき手を振られたオタクの命は無事だったのだろうか。
『なにが悪い』ではこれまで通りの明るさで虹夏を体現していた。
しかし、そこから僕はまだ見たことのない伊地知虹夏(=鈴代紗弓)を目撃する。
『UNITE』は、虹夏が好きなジャンルでもあるメロコアに分類される曲。
『なにが悪い』とは全く違う曲調のこの曲をハードに魂をこめて歌い上げる姿に完全にやられてしまった。
もうね、タイトルコールの時点でハートを撃ち抜かれてしまって、曲が終わる頃には呆然とするしかなかった。
鈴代さんのイメージとしては、元気とか明るいとか癒されるとか、朗らかな印象ばかりを持っていた。虹夏はもちろん、他の作品の役を演じているときやラジオで話しているときも常にそのイメージを一貫して感じる、そんな声優さんだと思っていた。
だが、この曲のときだけは、鋭く、激しく、力強く。
魂のパフォーマンスで五感をぶん殴られるような、そんな体験だった。
鈴代紗弓という声優のまだ知らなかった魅力を見せつけられた瞬間だった。
◯青山吉能さん(後藤ひとり 役)
登場して最初に思ったのが「衣装がお姫様っぽい」ということだった。
今回はチケットの整理番号がかなり後ろのほうだったことからいっそのこと最後列から見ようとなり(音を聴け、音を)遠くからステージを見ていたので、衣装を細部まで見ることはできなかった。(特に下半身はほとんど見えなかった)
その状態でも、白い衣装で高めの位置で髪を束ねたポニーテールが清純な雰囲気を醸し出していたのはわかった。
そんな出立ちで披露された『夢を束ねて』は、とても淑やかな歌声だった。
美しいパフォーマンスでその場の空気をガラリと変えて、その後すぐにステージを去ってしまったので、まるで幻でも見ていたのかのようだった。
ライブ中盤ではそんな清廉さを見せていた青山さんだったが、ライブ終盤では全く違う顔を見せてくれた。
聴き慣れた静かなイントロが流れ出し、見慣れたレスポールを抱えて出てきた青山さんは先ほどとは全く違う雰囲気を醸し出していた。
そして、力強い声で
「最後の曲です!!」
と言ってギターをかき鳴らし始めた。
先ほどまで清純さの象徴だったポニーテールが激しく振り乱されて、今は力強さのアイコンになっているようだった。
最後に披露された曲は『Re:Re:』。
ロッキンでご本家さまのこの曲を聴いた時も、映画館でエンドロールと共に流れるこの曲を聴いた時も、感謝の気持ちが溢れ出した。
そして、この日も全く同じ感情を持った。
青山さんがギターを弾いている姿を見るといつも思い出す言葉がある。
「ミスしたところも可愛いね」に絶対になりたくない。
この言葉は、昨年のライブ「恒星」に向けて青山さんが『転がる岩、君に朝が降る』の弾き語りに挑戦するドキュメンタリー企画である「ギターヒーローへの道」のときの青山さんの発言である。
青山さんはこの企画をきっかけにギターを始めたので、後藤ひとりを演じるまではギター初心者だった。
その状態から決して長くはない練習期間で大勢の前で弾き語りを披露するのだから、多少のミスがあってもファンは怒ったりはしない。ファンというのはそういうものだ。
でも、それをわかった上でよりよいものを見せたいとか何か壁を乗り越えたいとか、そんな強い意志を感じるこの言葉を聴いてから青山さんのことがより好きになった。
そんな「恒星」から一年半が経過したが、やっぱり今でも声優さんがギターを演奏することに対して決して高度なパフォーマンスを求めていないという見方をしている人はたくさんいると思うし、それが当たり前であることに変わりはない。
今回のライブでも、そんな状況でも完璧なパフォーマンスを見せようという意志の強さを、青山さんが力強く奏でる一音一音から感じたような気がした。
アンコール1発目も青山さんが登場し、『転がる岩、君に朝が降る』を弾き語りで披露した。
この曲を生で聴くのは3回目だったのだが、毎回違った表情を見せてくれる。
以前、後藤ひとりとしてステージに立つときにどういう風に立っていいか正解を見つけられていないと語っていたインタビュー記事を読んだことがある。
そして、このわからない状態が後藤ひとりなのかもとも仰っていた。
だからこそ、この曲はステージごとに違う表情を見せてくれるのかと思った。
毎回そのときどきの後藤ひとりを見せてくれる青山さんが、今回も最高の後藤ひとりを見せてくれた。
◯長谷川育美さん(喜多郁代 役)
まずこれだけは先に言っておきたい。
アーティスト活動してるわけでもない声優さんが、1回のライブでこれほどの曲数を完璧にこなせるのおかしいからね!
もしかしたら細かいミスとかもあったのかもしれないが、そんなものを一切感じさせないパフォーマンスを飄々とやってのけている風に感じた。
この一年で結束バンドの顔として様々なところで歌ってきた経験値がそんなパフォーマンスを作り上げているのかもしれない。
時には激しく、時には可愛く、時には振り絞るように。
曲によって多種多様な表現を使い分ける姿に完全に魅了された。
個人的に印象に残っているのは、『忘れてやらない』の「いつか死ぬまで何回だって」のところ。
首を振りながら軽やかに歌う様子が可愛すぎた……。
かと思えばですよ、『秒針少女』ではこれでもかと情感たっぷりに歌い上げる。
あんなにごまかしが効かない曲を圧倒的な歌唱力で表現してくる姿はほんとに、"超ボーカル"だった。
ちなみに、今回のツアーでは育美さん以外の3人の持ち曲が増えたので「恒星」のときよりも育美さんの負担が減るんだろうなぁと思っていたら、蓋を開けてみれば今回も「恒星」のときと全く同じ曲数を歌っていた。
おい!!長谷川育美を休ませろ!!!!
でも、たくさん聴けて嬉しいです!!!!
ありがとうございます!!!!
◯バンドメンバー
バンドメンバーについても語っていきたい。
今回のZeppツアーは東京公演のみバンドメンバーが若干違う。
やはり東京公演に三井律郎さんがいないのは少しだけ寂しいなと思ってしまったが、東京公演のメンバーもそんなことは忘れてしまうくらい素晴らしい演奏を見せてくれたと思う。
どうしても声優さん4人のパフォーマンスに目がいきがちだが、やはりバンドものの作品なのだからバンドメンバーにも注目したいところ。
とはいえ、僕もバンドには明るくないので楽しみ方をまだまだ模索中なわけだが。
ただ、結束バンドの楽曲にはわかりやすいバンドメンバーの見どころがいくつかある。
例えば、『あのバンド』のイントロだったら、『星座になれたら』のギターソロだったり。
そのあたりのメンバーによる音の違いとかもわかってくるとより楽しめるかもしれない。
なかなか僕みたいな音楽ド素人ではそれは難しいかもしれないが、そんな僕でもはっきりとわかることはある。
現地で感じる音の圧である。
一音一音がはっきりと体に刻まれる感覚が楽しめるのは、一流のバンドメンバーの皆様のおかげであることは明らかなのだ。
◯構成・演出など
ここからはライブ全体の構成や演出に関して印象に残った点について語っていく。
今回特に印象に残ったのが、照明の演出である。
ライブ開始前からそれぞれのメンバーカラーの照明が使用されていて愛を感じるなぁと思っていたが、いざライブが始まると曲に合わせた演出が随所に見られた。
例えば、『夢を束ねて』のサビの「茜色に染まるあの日々が」のところでオレンジの照明が使われたり、『星座になれたら』のサビの部分でプラネタリウムのような照明になったり。
こういった演出がそれぞれの曲や演者のパフォーマンスの素晴らしさをより際立たせていた。
また、セットリストに関しても語りたくなる点が多く存在する。
まずは、『月並みに輝け』で始まり『Re:Re』で終わるという構成。
言わずもがな劇場総集編を意識した構成となっているわけだが、こういうストレートな構成を捻りなくやってくれるのが「こういうのでいいんだよ」感があってめちゃくちゃ良い。
かと思えば、2曲目で『青春コンプレックス』という激強カードを切ってしまう大胆さ。
前回の「恒星」のときはトリを務めたこの曲をこんな序盤に置くことで、この一年半で結束バンドには数々の名曲が誕生したということを物語っているように感じた。
メンバーの登場順もこれまでとは若干変わっている。
「恒星」やロッキンのときは、
長谷川→水野→鈴代→青山(敬称略)
の順で登場していたが、今回は、
長谷川→水野→青山→鈴代
となっていた。
それぞれの持ち曲の数のバランスが変わったためにこのような構成になったのではないかと思うのだが、これまでのお決まりの流れみたいなものが出来つつある中でそれを壊してくれるのも新たな刺激に繋がって良いなと感じた。
今回最も意外で尚且つ納得させられたのがアンコール最後の曲。
これまでの流れなら『青春コンプレックス』とか『ギターと孤独と蒼い惑星』とかその辺の手堅い曲で終わるのかなと思っていたのですが、実際に最後に披露された曲は『光の中へ』だった。
個人的にはそもそもセトリ落ちするのではないかと思っていたくらいだったので、かなり意外だった。
しかし、今考えてみるとこの曲ほど大トリに相応しい曲はない。
結束バンドの曲の大半は、喜多ちゃんがボーカルでリョウさんがコーラスとなっている。
しかし、この『光の中へ』に関してはぼっちも虹夏もコーラスを担当している。
そう、この曲は結束バンドの曲で唯一4人全員が歌っている曲なのである。
こういったアニメ系のコンテンツのライブではやっぱり最後は全員集合して一緒に歌うというのが定番であり、ファンもそれが見たいと思っているはず。
しかし、これまでの結束バンドのライブではそういったことはなかった。(例外として、ロッキンのリハでの『忘れてやらない』や昨年4月に開催された「ぼっち・ざ・ろっく!です。」でのミニライブはあるが)
それについては、あくまでバンドとしての実在性のようなものを高めるための演出として4人で歌うということを避けてきたのだと僕は解釈している。
そんなバンドとしての矜恃とファンの望みの両方を成立させることが出来るのが『光の中へ』なのである。
曲の最後で4人でステージに立つ姿を見た時にそのことに気付き、なんて完璧な選曲なんだ……と呆然としてしまった。
そんなことも含めて、今回のセットリストは本当に素晴らしかった。
◯因縁の羽田で最高の思い出
ここからはライブ以外の個人的な話。
前回の「恒星」は案の定チケット戦争に敗れてしまい、残念ながら現地での参加は叶わなかった。
その「恒星」のときと同じ会場で行われた今回のライブ。
あのときの悔しい気持ちを取り返すかのように、今回のライブでは最高の時間を過ごすことができた。
今回のライブは高校時代の同級生と3人で観に行ったのだが、それもまた良い思い出になった。
正直にいうと友人と一緒にライブに行くことに不安を感じてはいた。
その理由は、友人たちが「ぼざろ」に対してどれほどの熱量を持っているか計りかねていたからだ。
チケットが取れてから当日までの間に連絡を取り合う中で、
あれ、俺の熱量だけ浮いてない?
徐々にそんな風に感じ始めた。
相手のことを考えず自分の熱量を押し付けて気まずい感じになってしまわないように気をつけなければ……。
そんな感じで迎えた当日。
物販のために僕だけ昼から会場入りして、やたらと天気の良い天空橋駅近辺でのんびりと時間を過ごしながら、ライブへのワクワク感と友人と一緒にちゃんと楽しめるかの若干の不安の両方を抱えていた。
しかし、いざライブが始まってしまえばそんな不安は杞憂に過ぎなかったことがわかった。
一緒にライブを観終えた友人たちの様子を見るかぎり、しっかりと楽しんでくれたようだった。
ライブ後は予約していた居酒屋で打ち上げに行った。
ライブ後のビールが世界で一番美味いことを僕は知っている。
そんな美味い酒を飲みながら、ライブの感想を話したり全然関係ないことも話したり。
そんな感じでライブ自体でもそれ以外でも、思い出に残る時間を過ごすことができた一日だった。
ありがとう、結束バンド!!
追加公演も楽しみにしてます!!!!