とある声優さんに2度も救われた話【すずほめ】
先日、声優の鈴代紗弓さんの番組で僕が送ったメールが読まれた。
文化放送超A&G+で放送中の『はーい!鈴代です!今行きまーす!』(通称:すずほめ)という番組である。
僕は去年の春頃から数ヶ月に1通くらいのペースでこの番組にメールを送っており、何度か採用もされていた。
これまでのメールが採用されたことももちろん嬉しかったが、今回読まれたメールに関しては筆舌には尽くし難い喜びと感謝の気持ちが溢れている。
今回は、その喜びと感謝の理由について記していこうと思う。
◯番組との出会い
僕は声優さんのラジオ、いわゆるアニラジをよく聴くので『すずほめ』の存在自体はかなり前から知っていた。
A&Gを聴いているとよく番宣CMが流れていたからだ。
ただ、その当時は鈴代紗弓さんのことは名前くらいしか把握していなかった。(「『ハイスコアガール』に出てた人」くらいの印象だった。)
しかし、2022年の冬に『ぼっち・ざ・ろっく!』にハマり、鈴代さんが演じる虹夏ちゃんが僕の人生の中でも5本指に入る推しキャラになったことで僕の中での鈴代さんの存在がかなり大きいものになった。
『ぼざろ』の放送が終わってからしばらくの間はロス解消のための手段の一つとして、結束バンドメンバーが出演するラジオ番組を聴くということをやっていた。
そんな中で聴き始めたのが『すずほめ』だった。
ちょうどそのくらいの時期にYouTubeでのアーカイブ配信が始まって、聴きやすくなったことも大きかった。
またそのタイミングで、アニラジにメールを送ることにもハマり出していた。
アニラジリスナー歴は10年くらいなのだが、メールというものをほとんど送ったことがなかった。
その時期に仕事でラジオについて勉強しなくてはと思うことがあり、メールを送ることで何か学べることがあるかもという理由でいくつかの番組にメールを送り始めていたのだ。
そんなわけで、早速『すずほめ』にもメールを送ることにした。
内容としては、「アーカイブ配信をきっかけに番組を聴き始めました」みたいな感じの感想メール。
これが見事採用された。
このことをきっかけに、数ヶ月に一度くらいのペースで『すずほめ』にメールを送るようになった。
○初めて送った「自分のこと」
今まで採用されたメールの内容には共通点がある。
それは「自分の個人的な話ではない」ということだ。
ぼくがそういった内容のメールを送らない理由が2つある。
1つは、メールの採用率をあげたかったから。
パーソナリティが目を通してくれれば採用されるかどうかは重要ではないという考えももちろん共感できるが、せっかくメールを送るなら出来るだけ採用されたいと思うのもまたリスナーの性である。
僕にもそういう思いが少なからずあった。
メール投稿を続けてみてしばらくすると、なんとなくのコツがわかってきた気がした。
ラジオのメールは「傾向と対策」である程度採用してもらえる。
そんな風に感じ始めた。
ひとつの番組をある程度聴いていると、その番組で読まれやすいメールの傾向が存在していることがわかってくる。
『すずほめ』の場合だったら、鈴代さんの出演作や番組の感想、情報解禁に関するふつおたが多く採用されているように感じる。
あと、鈴代さんが番組内で発言したことへのリアクション的な内容のメールも良く採用されていると思う。
逆にコーナーメールはほぼ読まれない。(ふつおた読みすぎてコーナーが飛ばされることがほとんどなので)
その傾向に合わせたメールを送っていたので、必然的に自分の話を送ろうとは思わなかったのが1つ目の理由である。
もう1つは、単純にネタがなかった。
番組にメールを送り始めた頃はまだギリギリ芸人だったし、それ以降も作家という肩書きで細々とではあるが活動していた。
お笑い界と声優界、別の世界ではあるが広い括りで見れば同じエンタメ業界。
端くれとはいえ、その業界で活動する人間がラジオにメールを送っていいのかというよくわからない躊躇いがあった。
なので、送るにしてもせめて仕事に関する話はやめようと思っていた。
そうなってくると自分の話をメールで送ろうと思ったら、仕事以外の話をしなければならない。
ただ、当時の生活としては当然お笑いだけで食べていけないのでバイトもしていた。
加えて、お笑いの活動とバイトの時間以外のプライベートのほとんどをアニメやラジオに費やしていた。
残念ながら生まれてこの方彼女もいないので、恋愛的なこともない。
友達はいないことはないが、なかなか遊ぶ時間もお金もなかったので、年に数回くらいしか遊ばない。
そう、メールで送るような話が僕の生活の中では生まれなかった。
それが2つ目の理由だった。
そんな僕が今回初めて「自分の話」をメールで送った。
それがこのメールだ。
このnoteでも過去に記事にした話(のごく一部)を送った。
(実家に帰るまでの経緯と東京に戻ってきてからの話を書いた記事です↓)
なぜこんなメールを送ろうと思ったのか。
過去の記事にも書いたのだが、休んでいた間は本当に多くのアニメやラジオに助けられた。
鈴代さんをはじめとするたくさんの声優さん、数多くの作品や番組、それに関わるすべての人に冗談抜きで生かされたのだ。
落ち込んだ気持ちが少し落ち着いた時期に、助けてくれた人たちにその感謝を伝えたくなった。
その代表として、いつもメールを送っていた『すずほめ』に感謝の気持ちを送ろうと思ったのだ。
それが今回のメールを送ろうと思ったきっかけだった。
◯3ヶ月の間のこと
こういった収録番組のメールは大体送った直後から2〜3週間の間に読まれることが多いのだが、その間の放送でこのメールは読まれなかった。
なので、不採用になったと思っていた。
まあ、ちょっと暗い内容だしなぁ。
僕はネガティブなので、自分の話になるとそういった負の感情が文章に乗ってしまいがちな気がする。
そういうのが伝わるから、番組の空気的に採用されなかったのかなぁ。
まあでも鈴代さんが目を通してくれてれば、いや、通してくれてなくてもいいか。
自己満足で送りたかっただけだしなぁ。
そんな風に思っていた。
このメールを送ったのは2024年9月5日。
読まれたのは、11月26日の放送回だった。
ちなみに僕はこの回をリアタイすることができなかったので、採用されたことに気づいたのは翌週月曜の12月2日に公開されたアーカイブを見たときだった。
まさか3ヶ月遅れで採用されるとは思っていなかったので、自分のラジオネームが呼ばれたことに驚いた。
実はこのメールを送ってから読まれるまでの3ヶ月の間もかなり気持ちが変化があった。
メールでは転職活動中と書いていたが、このメールを送った直後くらいから現在まで転職活動をストップしてしまっている。
理由としてはかなり単純で、心が折れてしまったからだ。
こう書くと何社も面接を受けて落ちまくっているように感じるかもしれないが、実際のところはたった3社しか受けていないし、しかもそのうち1社からは内定をもらっていた。
2社目に受けたところから内定をもらったのだが、条件的にブラック企業の臭いを感じて、社会人の友達に相談した後に辞退させて頂いた。
その後3社目に受けたところから不採用通知をもらったときに、僕みたいな人間が希望の条件で働くことなんて不可能かもしれないと何となく感じてしまった。
後先考えずお笑いの世界に飛び込んで何の成果も残せないまま無闇にもがいていたら、気付けば30代も半ばに差し掛かろうとしていた。
そして、子供の頃からの夢であったお笑いを辞めた今、やりたいこともない中でどうやって仕事を探せば良いのかも正直わからない。
そんな状態で受け取る不採用は、なんだか自分の存在を否定されている気分になった。
この感じ何かに似ているなぁと思ったら、オーディションと同じだということに気づいた。
芸人時代にそれなりにオーディションを受けさせてもらう機会があったのだが、一度も通ったことはなかった。
オーディションを受けているときの試されている感覚や、受かるために必要以上に自分を大きく見せようとしている人たちを見るのがあまり好きではなかった。
後日届く不合格の連絡がそんな自分を否定しているかのような感じがするのもまた嫌だった。
そんな風にネガティブな思考に頭が支配されて、現実逃避してしまったのだ。
(現実逃避の手段として部屋の大掃除を始めたことにより、汚部屋を解消できたのは良かったが。笑)
そんな僕を心配してか、同期の芸人が作家としての仕事をひとつ与えてくれた。
その芸人の単独ライブのようなものが近々開催されるのだが、そのスタッフの一員としての仕事である。
他にやることもないので引き受けはしたが、途中で何度も逃げ出したいなと思った。
キャパ500人の会場のチケットが即完したときが一番逃げ出したいと思った。
もしかしたら自分のミスでそんな大勢のお客さんをガッカリさせるかもしれないと思うと、相当なプレッシャーを感じた。
とはいえ、現状はなんとか逃げ出さずに本番を迎えられそうな状態ではある。
この3ヶ月はそんな感じで過ごしていた。
◯2度目の救い
そういう状態だったので、メールが読まれたときは少し申し訳ない気持ちにもなった。
メールの時点では前向きに転職活動をしていることになっているので、なんだか嘘をついてそれこそ自分を良く見せようとしている気がしてしまった。
しかし、そんな申し訳なさなんかどうでも良くなるくらいメールを受けた鈴代さんの言葉は僕にとって嬉しいものだったし、僕の書いた文章一つ一つに丁寧に向き合ってくださっているようにも感じた。
「転職した先で何かあるかもしれない」
「その時々で自分に向いてることも変わる」
まずその言葉で転職に対してびびっていた自分の気持ちがかなり楽になった気がした。
加えて、僕の芸人活動に対して
「1人の人を元気付けるだけでもすごいこと」
という言葉も言ってくださった。
先にも述べたように僕は芸人として何の成果も残せなかったと思っている。
貴重な20代の半分以上を無駄にしてしまったのではないか。
子供の頃からやりたいことだったので後悔こそしていないが、決して人に誇れるような経歴ではないと思っていた。
そんな僕の数年間を、少しだけ肯定してもらえたような気がした。
こんなにもたくさんの人を笑顔にし続けている憧れの存在である鈴代さんから、こんな言葉を言ってもらえるなんて。
そう思うと、いつまでも怖気付いている場合ではないと思った。
半年前に救って頂いただけでは飽き足らず、またしても鈴代さんの言葉と声に救われてしまったのだ。
鈴代さんは僕のことなんか知らないし、僕だって鈴代さんの表舞台に立っている部分しか知らない。
互いが同じ世界にいる人間と考える方が難しい存在である。
それでも、いや、それなのに、寄り添って丁寧に言葉を選びながらラジオを通してメッセージをくださったことは僕にとってかけがえのない出来事だった。
◯これからの目標
まずは恐れずに今やっている仕事を完遂すること。
そして、転職活動を再開していつか仕事が見つかったら「すずほめ」に報告メールをすること。
しばらくはこれらの目標を達成することに集中して生きていきたいと思う。
僕は本当にメンタルが弱いので、また心が折れそうになることは絶対にあると思う。
そんなときは、鈴代さんの言葉をお守りにして前に進めれば良いなと思う。
推しに励まされちゃったらさ、頑張るしかないよなぁ。
(余談)
自分のメールの前に、M-1に挑戦したリスナーさんのメールが読まれていた。
どんなネタやってるのか見てみたいし、一緒にネタ作りとか出来たら面白そうだなぁとかぼんやり思いました。