【海外起業】日本人に残されたチャンスは少ない
日本人が海外で勝負するチャンスが減っている理由を解説します。
海外で新しい生活を始めたい、海外でビジネスを広げたい、あるいは貿易業に携わって暮らしていきたいと考える人は多いと思います。
特に長期の海外旅行の経験者はそのような夢を持っている人は多いと思います。
今回は、なぜ昔に比べて、海外でビジネスを始めたり、移住したりすることが難しくなっているのかについて、お話ししたいと思います。
最も大きな原因は円安と外国の物価高です
2009年頃までの中国は、物価が非常に安く、日本円を持って行けば、その価値は何倍にも跳ね上がり、まるで王様のように過ごせた国でした。
それは中国だけでなく、東南アジアのタイも似たような状況でした。
13年前にタイに行った時、物価は日本の4分の1程度で、一万円が実質的には四万円の価値がありました。
私自身、この経験をしていて、日本で200万円貯めれば、タイで5年間は働かずに暮らせると感じたことがありました。
当時は日本が先進国としての地位を変えることはないと思っていました。
いえ、厳密には中国が力をつけることは想像していましたが、まさかタイの物価がこれほど上がり、円の価値がここまで下がるとは思いませんでした。
結果として、2024年現在、タイで日本と同じ生活水準を保つには、以前よりも多くのお金が必要になり、移住すら難しくなってしまったのです。
タイでビジネスをすることが難しくなった理由
現在、タイに移住してビジネスを始めることは、とても難しい状況です。
そもそもアジアでビジネスをする最大の利点は、持ち込んだお金の価値を、大きくできることでした。
例えば、日本で200万円を貯めたとします。
13年前だったら、タイにそのお金を持って行けば、800万円相当のビジネスが可能でした。
800万円の価値があれば、広いオフィスを借り、スタッフを雇うこともでき、ビジネスが軌道に乗るまでの生活費も賄うことも可能でした。
それが、たったの200万円あれば可能だったわけです。
つまり、ビジネスに挑戦しやすい環境だったのです。
しかし、今では日本人がタイでビジネスを始めるのは、かなり参入障壁が高くなったと感じています。
なぜなら、日本の物価とタイの物価がそこまで変わらず、日本と同じ暮らしをタイでしたい場合、下手をしたら、日本よりもお金がかかるからです。
現在、タイですぐにビジネスを始められるのは、日本で既にビジネスを行い、余剰資金を持つ企業や個人に限られています。
振り返れば、13年前のタイでの起業は、日本人にとっては貴重なチャンスだったというわけです。
当時、タイで起業に挑戦した人たちは、成功しようが失敗しようが、今考えると貴重な経験をしたと言えます。
というのも、今タイに行って起業しようとしても、生活費やその他の条件で、当時に比べてはるかにハードルが高くなっているからです。
なぜこの話が重要なのか?
この話で伝えたいこととしては、日本人が海外でビジネスを展開する際のハードルが時間と共に上がっているということです。
「自分は海外で起業するつもりはない」と思うかもしれませんが、日本での起業も大変な努力が必要です。
ネット通販ビジネスは多くの成功者を生み出しましたが、過去の10年間にあったようなチャンスが、今後10年も同じように続くとは限りません。
ビジネスを成功させることは、もはや簡単ではないという認識を新たにする必要があります。
例えば、日本国内の実店舗などのビジネスは多くのジャンルが既に競争が激しい状況です。
ネットもそうですが、オフラインであっても新しい業態で成功すれば、他の店が真似をして参入してくるので、
その成功は一時的なものになりがちだからです。
そのため、今後10年でビジネスを成功させるためには、過去の成功体験にとらわれず、新たな視点で考えることが大切です。
ネット通販で一度だけ成功し、会社を売って大金を手にした経営者もいますが、彼らが今後も同じように成功するとは限らないと思っています。
一度、ネット通販ビジネスで成功してしまうと「俺なら次もできる」と自信過剰になりやすく、己の力を過信する傾向があります。
過去の成功は、時代の波に乗れたからこそであり、次の10年も同じ成功が、保証されているわけではないと思います。
過去に「マネーの虎」に出演していた経営者の多くが、会社を潰してしまったことを考えると、どんなに大きな成功を収めた経営者でも、次の10年で同じように成功する保証はどこにもないと考えるべきなのです。
また、日本国内に存在する多くの実店舗経営のオーナーたちのほとんどが、金銭的にも大きな成功をしているとは言えないのが現状です。
日本国内でビジネスを展開する経営者の多くは、非常に優秀でありながら、多くのお店はギリギリの利益でやっている店がほとんどだと思います。
つまり、日本ではその分野でずっと生きてきた優秀なオーナーたちでさえ、大儲けできている人は少ないのではないか?ということです。
海外で起業する理由は失敗のリスクを減らすため
そもそも海外で起業する大きな利点の一つは、日本での挑戦よりも失敗する確率を下げることができる点です。
海外で起業を考えるビジネスマンのほとんどが、外国が好きだから海外起業を考えているわけではないということです。
たとえば、200万円で800万円相当のビジネスを始めることができれば、仮に失敗しても、日本で再び資金を貯めて、新たな挑戦が可能になります。
営業の仕事や配達などを頑張り、節約すれば、200万円を1年で貯めることも不可能ではないからです。
つまり、失敗を前提にした上だから、海外での起業を選ぶのです。
また、日本でするよりも大きなビジネス展開を物価の安い外国なら、少ない資金で、すぐに開始することができるから選んでいる起業家も多いのです。
今までの話から分かることは、日本人が少ないお金で大きなビジネスに挑むためには、海外を選ぶのは理にかなった選択だということです。
難しいのは言語を覚えることであって、仮に、言葉の壁を乗り越えられるなら、お金は日本で貯めることが可能だからです。
しかし、少ない資金で大きなビジネスを海外で開始するためには、一つ大切な条件があります。
それが、先ほども何度も伝えている『日本よりも物価が低い国を選ぶこと』なのです。
日本円(日本人)の価値を最大限に活かすためにはこの条件が不可欠です。
たとえば、タイが好きな旅行先であっても、物価が日本と同じであれば、そこでビジネスを始める金銭的メリットはほとんどありません。
むしろ、物価が同じであれば、日本でビジネスを開く方が簡単だからです。
ビジネスを海外で展開する際にはこの点を十分理解しておく必要があります
つまり、資金が限られているから、日本円の価値を活かせる国を見つける必要があるというわけです。
どうしてもタイが好きでタイが良いという場合を除いて、物価が高くなってしまったタイでの起業は、
今やほとんどメリットがなくなっているのが現実です。
物価の安い国を探せ
ビジネスを海外で展開する際、資金力が潤沢にある人以外は、物価の安い国を見つけることが重要になります。
つまり、13年前のタイのような、物価が低い国を選ぶ必要があるのです。
その中から自分に合う国を選び、そして好きな都市を見つけることが、スタートなのです。
たとえば、中国のイーウー市で飲食店を開業した経営者に、なぜ発展している広州ではなくイーウー市に出店したのか尋ねたところ、
「広州は発展しすぎており、日本食屋も既に多く、チャンスが少ない」との回答頂いたことがありました。
これは地域や都市によってビジネスのチャンスが異なることを示しています
今後我々が調査を開始する国は現在のタイよりも物価の安い国であるべきです。
また、その国の、ある都市で流行っている業態を別の地域に移すという戦略も検討する必要があります。
このように、日本円の価値を最大限に有効活用するために、物価の安い国を見つけることは、海外でビジネスを展開する際の重要な鍵となります。
我々日本人に残された国はほとんどない
海外での起業は冒険のように言われますが、そもそも日本であっても確実に成功する保証はありません。
なぜなら普通の人にとっては1000万円を貯めるのも大変で、しかも、その金額では日本国内で大規模なビジネスを展開するのは難しいからです。
起業は本来、難易度が高く成功確率が低いものです。
ネットビジネスは手軽に挑戦できるため、便利な時代になりましたが、
しかし、ネットが登場してから30年以上が経ち、誰もが簡単に稼げる時代も終わりを迎えつつあるかもしれません。
日本の国力の低下による円安、東南アジアの急速な発展と物価の上昇、
そして日本のずっと変わらない賃金を考えると、日本人が外国でリスクを抑えて起業するチャンスは、かなり減少していると言えます。
13年前のタイの物価を知っている人なら、この意味が分かるはずです。
そして、私は日本にこれから世界を斡旋するような大きな会社やビジネスが存在しないことを考えると、日本円のパワーが戻ることは少なく、
現実として、物価の安い国で日本円の価値を活かし、ビジネスに挑戦できる国は10年後にはほとんど残っていない可能性が高いと考えています。
事実、いまから中国に行って実店舗を開くと言っても200万円では何もできません。
中国のど田舎に行き店舗を開くことしかできないと思います。
これは、物価の安い国の中で日本人の多くが暮らしても良い(移住)と思える国の数も少ないことから、間違いないと考えています。